朝目覚めた時、俺は今までよりは酷い眩暈に襲われた。
視界がクラクラしてて、頭が重い。少し、頭も痛い気がする。
今日は学校がある日なのに、これじゃあキツそうだ。でも、学校は休みたくない。
少しずつ、俺はリビングへと足を進める。朝食は作っていられない。牛乳だけ飲んで、俺は制服へと着替える。
そのままいつものように「行ってきます」と声をかけ、鍵を閉めた。
学校に着く頃には、頭痛もひどくなってきていた。
保健室に行くくらいなら大丈夫だろうか。いや、でも、みんなに心配はさせたくない。
ただでさえ、前にみんなに心配をさせて困らせてしまった。
叶笑との未来も応援してくれているみんなには、俺ができることは元気でいることだ。
……両親が死んでしまってからも、顧問の先生にはお金は払わなくてもいいからと、部活までやらせてもらえている。
学費も、少しだけ免除してくれた。
みんなには支えてもらってばかりだ。だから、俺はできるだけ元気に過ごし、授業でみんなを引っ張っていかなければいけない。
……でも、流石に無理があったのかもしれない。せめて、体育の授業だけでも見学しておけばよかった。
俺は、とうとう、バスケをしている途中で倒れ込んでしまった。視界の隅で、みんながどよめき、慌てる姿が見えた。
一番に駆けつけてくれたのは、やっぱり俺の親友だった。
「おいっ、陽斗!はぁはぁ、大丈夫か?!」
結構遠くにいたはずなのに、走って駆けつけてくれるなんて、岩下は優しすぎる。
「どこか具合が悪いのか?それとも、こけたりつまずいただけか?…って、それはないか」
その後もぶつぶつと呟きながら、岩下は何やら対処してくれている。その間に、他のみんなも駆けつけてきてくれた。
「…岩下、本当にごめん。みんなも、迷惑かけてしまって、本当にごめん」
「ん」
岩下はそっけなく返事したけど、俺にはわかる。…不安がっているのだ。
きっと、俺が酷い病気だったらとか考えているのだろう。
「陽斗、大丈夫か?俺たち、全然迷惑じゃないから」
「自分の心配をしろよ。なんだかんだ言って、陽斗はさ、自分のこと後回しのいいやつなんだよ」
「そうそう。前はな、それこそ少しむかついたけどさ、でも陽斗がいいやつだってことは、みんな知ってる」
優しい言葉だらけ。俺は、そんな言葉、もらえる資格なんてないのに。