ネックレスをかけ終わった俺は、叶笑に「いいよ」と言った。

叶笑は「え、私に何かしたの?」って、まだ変化に気づいている様子はなかったから、俺は鏡を手渡した。

「わ、いつの間に!」

そう言う彼女は、頬を赤らめていた。俺しか、この顔を見ていないんだと思うと、俺まで口角が上がってしまいそうだ。

「叶笑、めちゃくちゃ可愛いよ。ネックレスも、すごく似合っている」

「あ、ありがとう」

結構、もう限界だ。叶笑に悪く思いながらも、また、彼女に目を閉じるように促す。

そして、彼女が目を閉じた隙に、俺は彼女の目の前に腰を下ろす。

俺が「いいよ」といって叶笑が目を開けた瞬間、俺は彼女の唇に自分の唇を重ねた。

彼女の反応はというと、ただただ顔を真っ赤にさせて「ナナナナナナナナナナナナナナナ?!」なんて言っている。

慌てふためく彼女にまた俺は意地悪したいな、と思ってしまった。可愛すぎる。

俺は、これがファーストキスだった。叶笑にとっても、俺のがファーストだったらいいなと思う。



 そんな俺たちの幸せは、突然に、終わりを告げた。

学校のチャイムよりも規則性がなく、もっと重い感じのチャイムだった。




ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー




 あなたが守りたいのは、この大切な女性ですか?それとも、この、自分の余命ですか?

よくおとぎ話に出てきそうな湖から出てきた女の人に、俺はこういった。


「俺が守りたいのは、大切な女性である叶笑です」



ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。ーー