俺たちはカレカノなのに、それらしいことはまだ一度もしたことがない。俺にとっては結構苦しい。
彼女を傷つけたくはないし、かといって、このまま我慢し続けるのもそろそろ限界だ。
手を繋いだことはあるけれど、キスとか、それ以上のことはなかなか行動にするのは難しい。
頭の中では、もう、何回も妄想してしまっている。
俺の目標は、クリスマスまでにキスをすること。軽くでも、唇を交わせたなら、俺はとびきり幸せだ。
なんてことは置いといて、本題に話を戻そう。
「ネックレス、こういうのは絶対にやだなって思うようなものはある?こういう色はやだ、とか、こんな形はやだってもの」
「うーん。あ、でも、猫以外の形をしている動物や植物とかのネックレスはあんまり好きじゃないかも」
「猫は何で大丈夫なの?」
「うーん。だって、綺麗っぽくない?特に月を眺める猫の後ろ姿って、すごく魅力的なんだよ」
俺は見たことないなぁ。そもそも、猫に会うこと自体が少ない。……いや、ただ、景色をよく見ていないからかもしれない。
それに、夜の街を出歩いたことなんて、家族が全員揃っていた頃くらいしかない。
一人になってからも、正直、一人であまり街を歩きたくなかった。叶笑のお見舞い以外の用事で外出することなんてない。
「もしさ、猫のネックレスじゃなかったら何がいい?動物系とかじゃなくて、例えば丸よりは四角の形がいい、とか」
「どちらかと言えば、四角とか三角とかの尖った形をしているものよりは丸みを帯びた形がいいかな」
「分かった。参考にしておくよ。その中で、俺が叶笑似合いそうなものを頑張って探すね」
結構彼女の好みが分かった気がする。
こういう人って、人間関係も尖った人よりは丸みを帯びたような優しい人との方が相性がいいんだろうな。
あくまでも俺の考察的な個人的考えなんだけど。
そうして、俺は家に帰った。俺は、きっと両親は空から見ているだろうと思って、部屋の片付けには気をつけている。
料理も父のおかげである程度はできるし、家事は普段からやっていたから生活に大きな問題はない。
でも、自分のためだけにご飯を作ろうと思っても、そんな気力は湧かない。
ただ、母と父へのお供物も、と思って料理はしている。