〜陽斗side〜


 結局あれから何回も相談しているけど、手作りまでは決まっているが何を作るのかがなかなか決まらなかった。

意外と叶笑は優柔不断な人だった。まぁ、そんなところも可愛いなって思うけど。


「陽斗さんて、なんか最近かっこいいよね?」

「分かる!なんか前はガッチリしすぎてて、隣に並んだら自分がカッコ悪く見えたから嫌いだったんだけど、最近は少し人間ぽいというか?」

「語彙力無さすぎでしょ!でもそれな?今は普通にカッコ良すぎて視界に入っただけでなんか幸せ感じちゃってる感じ」

「陽斗さんが付き合いたいと思う人ってどんな人なんだろう?私じゃ無理なのかなぁー」

「いやいやいや、そもそも陽斗さんって付き合うイメージ無いし、もし誰かと付き合ってたら審査しないと?釣り合ってなかったら無理矢理にでも別れさせよう?」

「いいね、賛成!その時は私たちの出番だ!」


 なんて、どこからか聞こえてくる女どもの声にげっそりする。

お前らの物差しで俺たちを測るんじゃねえよ。どっちかって言うと、お前らの方が俺に不釣り合いだっての。

俺に釣り合うのはただ一人だけ。


「あ、陽斗?え、もしかしてなんかご機嫌斜めな感じ?」

そう、静かに聞いてくるのは俺にたった一人だけの釣り合う人。

「あぁ、叶笑!俺は全然ご機嫌斜めじゃないよ?ちょっとウエーって思う声が聞こえてうんざりしてただけ」

「そうなんだ。その人たち、本当の、陽斗がこんなに捻くれているなんてこと、絶対に知らないよねー。ある意味可哀想」

本当に癒される。癒される。癒される。叶笑がいるだけで、もう、さっきの不快感がほとんど吹き飛んだよ。

もう、もはや天使だな。うん、天使以上だ。

なんてくだらないことを思いながら、俺は叶笑と時を過ごす。



「はぁ、どうしよう。最近ストレスしか溜まってない気がする。難聴のふりも大変だし、プレゼント選び?ってこんなに難しいんだね」

「うーん。俺は女子じゃないからかな?俺の案は叶笑に拒否され続けてるし、俺、力になれてないよな」

本当に情けないと思う。叶笑の力になりたいのに、空回りしてばかりだ。

「あ、そうだ!今更?って思うかもしれないけど、もし、陽斗だったら何を家族にプレゼントしたい?」

「そうだなぁ、特にこれってものはないけど、愛、とか?」

言って気づく。俺、今、すごく恥ずかしいこと言ったな?

案の定、彼女はあ、愛?なんてキョトンとしながら聞き返してきた。

「いや、なんというか、俺は不器用だから物を手作りで作るのは無理そう。しかも買うって言ったって、ほら、俺は父さんに助けてもらってばかりだから金銭面で迷惑をかけたくないから」

「あぁ、確かにそんなことも言っていたね。そっかぁ、愛、かぁ」

どこか彼女の表情が暗くなったのが気になった。でも、弱い俺は聞けなかった。