〜叶笑side〜
なぜだろう。なぜ言ってしまったのだろう。
私の最大の秘密を打ち明けた気がする。陽斗いわく、私は最初に反論できない自分が情けない、って打ち明けたらしいけど……
ぶっちゃけ覚えていない。そんな気はするけど、どこか抜けているような?
「あぁ!!叶笑!今、ため息ついたでしょ?!」
今は学校からの帰り道。ちなみに、色々とあって、美月にも難聴は嘘だって報告をした。
その時は、なんで最初から言ってくれなかったの?って怒られたけど……
「え?あ、ごめん。ちょっと考え事してて?さ」
「相変わらず疑問系が絶えないねー」
「美月はいつも元気だね。あ、そっか、彼氏?」
そんな優しい彼女をなんてからかってみれば、わかりやすく顔を赤くして声量が小さくなった。
「か、彼氏はまぁ、それなりにいい感じ、で……」
「ボソボソしてて何言ってるのか分からない」
私は美月に冷たくそう言うと、彼女はなぜが顔を輝かせた。
「でも!今みたいに叶笑が心を開いてくれてる感じがするのは、とっても嬉しいなぁ!」
いつもの調子に戻った彼女は、そんな言葉を空気中に漂わせた。
あれからまた一週間経ったけど、今のところプレゼントは決まっていない。
それもそうか、なんて軽くは考えられない。私はいつ、どこで死ぬのか分からないから。
早めの方がいいに決まってる。でも、何をあげればいいのかさっぱりなのだ。
ここで、ようやく彼に相談してみようと思い始めた。
「と、言うわけで!陽斗、わざわざ来てくれてありがとう!」
「お、おう?なんか、やけに気合い入っているな」
「流石にこのままじゃやばいから、この相談を元にプレゼントを決めたいんだ」
「あーなるほどな。俺の責任が重大だってことだな。うん、参考にならなかったらごめん」
私はそれに、全然いいよ!と答えた。いやぁ、それにしても優しすぎではないか?陽斗さん。
もはや優等生、だ。うん、彼は優等生だ。
……何から話せばいいのだろう?相談をしたことが少ないから分からない。
てか、私は相談を受ける側だった。
「何から話せばいいのか分からないんだけど、どう言うものが叶笑の家族は喜びそう?」
先に話題を?振ってくれたのは陽斗だった。なんか申し訳ない。
「私もそれがよく分からないんだよねー。ごめん」
「いや、それはいいんだけど。…あ、なんか手作りのやつをプレゼントするとか?」
「て、手作り?」
「そう。買ったやつを渡すよりも、手作りの方が俺は嬉しいかなって思った」
うぅ、参考になります。そんな考えは私にはなかった。
でも、私は地味に不器用なんだよね。ものづくりが少し苦手なのだ。
「できるかな?てか、何を作ればいいのいかな?」
「叶笑なら、なんだってできるよ。俺も手伝ってもいいし?だから大丈夫だよ、きっと」
心強いなぁ。この一年で死んでしまうのは勿体無いかな、なんて思ってしまった。
だって、彼と、もう少し居たいって思ったから。
面白くて、優しくて、かっこいい陽斗と、もう少しだけでもいいから、一緒に居たい。
神様、わがままな私でごめんなさい。