【私たちが叶笑のお見舞いに行きたいって先生に言ってもダメだって言われてたんだ。だけど、なんでかは分からないけど陽斗さんだけはお見舞いの許可を貰ってて、みんな、もしかして婚約とかしてるんじゃないかって噂してたんだよ】

ま、まさかそんなことになっているなんて……だから視線をたくさん感じていたんだ。

でも、悪くはないかもしれないなんて思ってしまう私はどこかおかしいかもしれない。

それに、多分だけど、陽斗が私にお見舞いに来れたのは婚約なんてものではない。

きっと、自分が事故の原因を作ってしまったから私に直接何かしたい、って先生に頼み込んだんだろう。

まぁ、もしも私の事故の原因は彼が作ったかもしれないなんて言ってしまうと、美月のことだから陽斗のことを怒るだろうから

絶対に言わないけど。

【少なくとも、婚約、ではない。きっと、私たちの知らない何かがあったのかもね?】

【何よその?は。あれ、もしかして陽斗さんがお見舞いに来ることができた理由を知っているのかな?】

そう書いてニヤニヤする彼女はそれ以上はもう聞いてこなかったけど、私と陽斗との関係を聞いてくる時とかはもうずっと、

恐ろしいほど感が鋭くなっていた。もちろん、彼とは付き合ってすらいないことは説明した。




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 色々慌ただしかったけど、なんとか一週間を乗り切った。

今日は定期検診の日。

久しぶりに病院へ行くと、久しぶりに仲良くなった看護師さんと話をすることができた。

相変わらず、私と陽斗との関係は色々聞いてくる。

曖昧に誤魔化して診察室へと向かう。


「叶笑っ!…間に合って、良かった。すぐに教室を、出るからさ、今俺、走って来たんだよ」

そう言って肩で息をするのは陽斗だった。

「私は別に、教室をすぐに出たわけじゃないと思うけど?なんなら、陽斗の方が先に帰ってたのかと思ってた」

「あぁ、それは、岩下と仲のいい奴らがうるさくて、少し呼び出して説教してやったんだよ」

陽斗はめんどくさそうな顔をした。よっぽど、その人たちが嫌だったんだろう。

話によると、陽斗は岩下さんと仲のいい人たちに私のお見舞いのことを口うるさく聞いてくるからうざくて、

空き教室にその人たちを呼んでもう俺たちには干渉するな、と言ったそうだ。

しかも婚約とか変な噂を立てて私たちを困らせたことについても、明日までにみんなの誤解を解いておけ、なんて言ったんだそう。

流石のその人たちも普段はみんなに優しい優等生、である陽斗がそんなふうに少し荒々しい言葉を使うことに驚きを感じ、

分かったと言うしかなかった感じだったらしい。

そんな会話をしているうちに、あっという間に診察室に着いた。付き添いに来てくれた彼は診察室の前で待機だ。

「じゃあ、遅くなるかもしれないけど……待っててくれる?」

「当たり前だろ?もしかしたら多分、そこの図書室に移動しちゃってるかもしれないけど叶笑のこと、待ってるから」

彼の言葉にありがとうと返事をし、私は診察室へと足を踏み入れた。