三セット目を開始した。
下段に位置どる。

遂に神気減少問題の原因に迫るべく、島野一家は北半球に乗り込むことを決意した。
少しでも北半球の情報を得るべく、オリビアさんに百年前の戦争についてその重たい口を開いて貰った。
結果的に様々な謎を残す戦争だった。
そしてエリスの存命がアースラさんから告げられた。
とても胸を撫で降ろしたことを覚えている。
それを知った時のギルとオリビアさんの表情が忘れられないぐらいだ。
本当によかった。

私達は遂に北半球に乗り込んだ。
第一村人はゴブオクンだったな。
あの野郎・・・何がオリビアファンクラブの会長だよ!
思いっきり鼻を引っ張ってやろうか!
あいつは事ある事にサウナ島に来たがるよな。
いろいろやらかしてくれて、こちらとしては笑わせてくれて良いのだが、調子に乗ってることも確かだからな。
何処かで懲らしめてやらないといけない。
ゴブオクンの事は置いておこう。
あいつの事に時間を割くのはもったいない。

それにしても北半球で最初に出会う者達が、魔物になるとは想像の斜め上をいっていたよ。
でも今と成っては愛着のある奴らだし、実際頼りにもなる。
魔物達は島野商事の社員に何名もいるし、普通に南半球でも見かける様になった。
始めて会った時には知能の低い劣等種であったのだが、名前を授けて進化してしまった。
加護を与えることが出来た時には、私は本当に神に成っているのだと改めて思い知った。
人では無くなった事に未だに違和感を感じているのだが・・・
何が変わったと言うのだろうか?
よく分からんな。
ほぼ寿命が無くなった気がするが・・・

ゴブリン達は迫害されていたが、進化を得て魔物間のパワーバランスは大きく変化した。
オークやコボルトから搾取されていたゴブリンが、知力を得て強くなってしまった。
更に私は文明を持ち込み、もはや到底敵わない相手であると知らしめることにしたのだった。
ソバルは始めて会った時には任侠者だった。
余りの思慮の無さに無下にした事を覚えている。
でも努力を感じ取った私は、ソバルに加護を与えてプルゴブと五分の盃を交わさせた。
これによって後に魔物同盟国が出来上がったのだった。

更にクモマルやマーヤも加わって魔物同盟国はより強固な物になった。
実はこの時点で私は北半球での立ち位置が固まったのではないかと考えていた。
と言うのも、知力を得た魔物達は圧倒的に強かったからだ。
身体能力は元より、魔法の適正も高い。
もはや人族では対抗できる存在では無いと考えられたからだ。
唯一対抗できる存在としてはエルフぐらいだろうと思われた。
でも北半球ではあまりエルフを見かけない。

それにアラクネ達は脅威以外の何者でも無いだろう。
元々上位種と魔物達から恐れられていた者達である。
実際にその力は魔物達の中でも抜きに出ていた。
そういった側面もあった為、私はアラクネ達を暗部として仕立て上げることにしたのだ。

でも島野一家からしたらどうでもいいことだったのだけどね。
いくらアラクネでも聖獣には敵わない。
後にクモマルは聖獣に進化したのだが、やはりゴン達から比べると頭一個下がってしまう。
言い換えるならハードモードのダンジョンを踏破出来る程の実力は無いということだ。

まあ力比べはこの辺にしておいて、魔物同盟国はいつかは北半球の中心に成り得るかもしれない。
それぐらいの力を有している。
だが基本的に温厚なあいつらがそれを望むとは思えない。
魔物とは言ってもあいつらは温厚で平和を愛する者達なのだ。
荒事は似合わないだろう。
見た目は狂暴そうに見えるかもしれないが、実の所あいつらは人一倍優しい性格なのだ。
そんなあいつらを私は可愛いと思っているし、今後も見守ってやりたいと思っている。
間違っても権力闘争などにも巻き込んで欲しくは無い。
愛して止まない存在なのだ。

そして北半球で初めての神様と出会う事になった。
ダイコクさんである。
ほんとにこのおっさんは・・・気が抜けないな。
商売人とはこんなものなんだろう・・・
隙あらば捻じ込もうとしてくるんだよな。
まあ慣れてきたけどさ。
先日なんてタクシー替わりに使おうとしやがって・・・ダイコクさんよう、一度締めてやろうか?知らねえぞ?
とは言っても、何かに連れてこの人とは強い繋がりを感じているし、一緒に事を成したという間柄でもあるからね。
但し、あんまり舐めてると、どっかで俺はやりますからね。
気は抜かない様に・・・

スターシップとは一度本気で語り合いたいと考えている。
何だかんだ言ってこいつとはいまいち膝を交えての会話が出来ていない。
でもその人と成りは理解しているし、それなりの信頼を置いているから良いのだが、こいつも人の子だ。
いつ何処で変わってしまっても可笑しくはないのだ。
ダイコクさんが付いてるから大丈夫だろうが、どうしても英雄と名高い者達の本音を知りたいと私は思ってしまう。
そう言った存在は余りに孤独に映ってしまうからだ。
何となくだが私はそう感じ取っている。
要らない世話と言われかねないが、そう感じている。
私はそんな時間を持てたなら良いなと思っている。

そうだった、神様ズが魔物同盟国に行った時は凄かったな。
魔物達からは大歓迎された。
神様ズはちょっとした芸能人と変わらない歓迎を受けていた。
それにお出迎えの時には魔物達総出で整列し、跪いていたしね。
あれは壮観だったな。
プルゴブとソバルのどや顔を今でも覚えている。
私は照れて仕方が無かったが、神様ズはそうでもなかったな。
ほんとにあの人達は・・・まあいいか。

そして雪崩式に国名選挙が始まってしまったな。
何でよりによって私の苗字を国名にするかな?
成ってしまったものはしょうがないが・・・はあ・・・。
ため息が出ちゃうよ。

今度は魔物達がサウナ島にやってきたんだった。
ちゃっかりゴブオクンが混じっていたのは笑えたな。
ほんとあいつはよく笑わせてくれるよ。
でもサウナ島に来た魔物達は漏れなく感動していた。
あいつらにとってはサウナ島は魅惑の楽園ということらしい。
前にプルゴブが熱弁してくれた。
実際仕事で得た収入の全てをサウナ島で消費しているとゴブオクンは言っていたしね。
分からなくもないが、そこまでなんだね。
程々にな。

ゼノンとの出会いは必然だったと思う。
こいつは私の将来の相棒ということらしい。
でも私から言わせると、ゼノンは只の食いしん坊の映画監督なんだけどね。
出会った時の暇そうなあいつとは打って変わって、青春を謳歌しているんじゃないかと思える程、今は活き活きしているよな。
良い事なんだけどね。
それにしてもゼノンにしてもアイルさんにしても、どうにも私の背中を押そうとするんだよね。
何でだろう?
考えるだけ無駄かな?
急かさないで欲しいよ。
私のペースで進めさせてくれよな。

ドラゴムの村も『シマーノ』の延長線上じゃないかという程に魔物達で溢れている。
ドラゴムの村も発展を遂げて、映画館の人気は未だに立ち見が出る程らしい。
遂にゼノンは三作目を撮り出したらしく、今度の作品は必ず話題を呼ぶとゼノンは自信満々だった。
その内容はシークレットとなっており、一部の者のみしか知らないことになっている。
私はどうかって?
知らない訳が無いでしょう・・・地獄耳がありますのでね。
パクった能力をサクッと使ってやりましたよ。
その内容は・・・フフフ。
こう御期待。

それにしてもギルとゼノンのフードファイトは凄かったな。
正に「ドラゴンの晩餐」だったな。
ギルは頑張った。
あれは胸を打たれた。
フードファイトとはここまでも興奮するものだったんだと考えさせられたよ。
その後の奢りの金額に私は目ん玉が飛び出るかと思ったけどね。
あんな散財は二度としないからな!
よく考えてみるとゼノンの食の限界はどれぐらいなんだろう?
一度吐くまで食わせてみようかな?
止めとこう、永遠と食ってしまう可能性があるからね。
エンシェントドラゴンを舐めてはいけない。
この世界を滅ぼすことが出来る存在だからね。
ちょっと違うか?

アイルさんの修業は振り返ってみるとなかなか追い込まれたと思う。
ここまで追い込まれたことはこれまでにも無かった筈だ。
我ながら本当に頑張ったと思う。
よくもまあ、あのスパルタに着いて行けたな。
時間を征することは本当に大変だった。
時間とはこれほどまでに情報に溢れている物なのだと、身を持って理解することが出来た。
振り替えってみると結構ギリギリだったと思う。
でもあれで一気に神様修業が進んだことは間違いない。
自分自身でもそれは痛烈に感じている。
実際、一気にレベルもアップしたし、様々な能力も獲得出来たしね。
それに聖人に進化したし・・・私が聖人って・・・ちゃんちゃら笑える。
聖人なんて・・・柄じゃないよね?
でも時間軸は極力弄りたくはないな。
ここは慎重にすべきだろう。
簡単には触れたくはない。
そう私は考えている。

次にドミニオンの馬鹿貴族共を一掃したんだったな。
ハセとかイセとかあんな小者共なんてどうでもいいよ。
そんな小者達に好き放題やられやがって、ベルメルトは頼りがいの無い奴だったな。
最近は多少は成長したみたいだけどね。
『シマーノ』と『ルイベント』そして『ドミニオン』の同盟は確たる物になっているとソバルが言っていた。
ソバルとプルゴブは同盟締結の為に、ドミニオンに行ったということらしい。
その際に私の事を崇拝するかの如くベルメルトが語ったらしく。
特にプルゴブが意気投合していたとのことだった。
何のことやら・・・
確かにベルメルトは手が掛かりそうだ。
時間が出来たら顔でも出してやろうかな?
面倒臭い事になるのかな?

クロマルから連絡が入り『エスペランザ』行きは一端キャンセルすることになった。
『シマーノ』に一度戻ってきて欲しいと要請があったからだ。
特に急ぐ必要は無かった為、私達は一度『シマーノ』に戻った。
そしてエリカと出会う事になった。
出会った時の彼女は隠蔽魔法を使用しており、印象の薄い感じだった。
そして彼女が転生者であることと『イヤーズ』での重要人物であることを告げられた。
とにかく彼女は必死だった。
私に信用して欲しかったのだろう。
何でも答えるとその眼差しが語っていた。
エリカは私と同じ時間軸で地球で過ごしていた様だった。
そして彼女の日本愛は本物だった。
漫画喫茶に一週間缶詰って・・・本当に好きなんですね。
私はそこまで出来ませんよ。

『イヤーズ』の全貌がエリカによって語られた。
それによって私達はラファエルを知ることになった。
この世界に宗教を持ち込んだ張本人だ。
余りに馬鹿げている。
神が顕現しているこの世界において宗教を広めようだなんて。
神に喧嘩を売っていることこの上ない。
私は不思議とその存在に運命を感じていた。
今だからこそ言える話である。

エリカとの出会いは偶然ではあるが、今思うと必然の出会いであった様に感じる。
彼女の亡命はそれぐらい重要なことであったのだ。
ここで得た情報は非常に価値が高かった。
この時点で私はラファエルに勝っていたと言える。

それはそうだろ。
その地に行かずして、ありとあらゆる情報を得ていたのだから。
国内の状況、宗教の現状、そしてラファエルの人となりや能力の一部まで。
重要な情報が齎されていたのだ。
後はどう切り崩していくかを考えるだけでしかない。
余りにワンサイドゲームになっていた。
でも私は気を緩めなかった。
ここで下手を打つ訳にはいかないからだ。

私は慎重にかつ大胆にポタリーさん救出作戦を練ることにした。
目的は多岐に渡る。
ただ単にポタリーさんを救出するだけにする気は私にはなかった。
ここである意味一気に雌雄を決してしまおうと考えたのだ。
それぐらいの情報をエリカからは齎されている。
後はどう組み上げていくかでしかない。

そこで考えたのはポタリーさんを救出すると共に、宗教を否定すること。
更には『イヤーズ』の国力を削ることだ。
その為にはいくつかの作戦を同時に遂行する必要がある。
ポタリーさんの救出には私は欠かせない。
一番の肝だからだ。
加えてエリカから聞く限りゴンの契約魔法も必須であると予想できた。
こうなるとポタリーさん救出には私の単独という訳にはいかない。
当初は自分だけで行おうと思っていたのだが、そうはいかなかった。
一家を巻き込んでしまうとは・・・まあ、しょうがないよね・・・

更に宗教を否定するとなるとそのシンボルである神殿を破壊するのが分かり易い。
ただの破壊行為は簡単だが、人命第一である。
むやみに人を傷つけてはならないし、間違っても命を奪う訳にはいかない。
此処はしっかりと実行部隊に言い聞かす必要がある。
無茶ぶりと感じるかもしれないが、ここは間違う訳にはいかない。
そうなると人選は限られてくる。
ノンとエルとギルの安定の人選しか考えらなかった。
というのも、レケはちょいちょいやらかすし、エクスはケアレスミスをしかねない。
魔物達とも考えては見たが、こいつらを使うステージでは無いと考えられた。
そういった事を考えての人選だった。
そしてその後の動向を追うと共に、更にその先が有ると思わせる必要があった。
そうなってくるとここはクモマルに任せるに限る。
こいつならばそつなく熟してくれるだろう。

エリカの情報では魔法士の一団の極大魔法は脅威と考えられた。
そうなるとギルに『結界』の能力を取得させる必要がある。
神の能力であれば魔法なんて効かないからね。
誰一人傷つくなんて私には許せない。
ここは最大限の準備が必要である。
一家の誰かが傷つくなんて到底認められない。

ギルはよく頑張ったと思う。
ゼノンにも協力を仰いで能力の獲得に全振りした。
何時になく真剣な表情の私にギルは腹を決めたのだろう、無茶苦茶頑張っていた。
そしてギルはやり遂げた。
遂に『結界』の能力を取得していたのだ。
これで準備は整った。
さて、楽しい時間の始まりである。

オペレーションポタリーは何の障害も無く実行された。
始めだけは・・・
ゴンはやらかすし・・・ノン達は遊ぶはで・・・まあ、結果オーライとしとこう。
どうにもあっさりとはいかない物だよね。
最終的にはオペレーションポタリーは、最高の結果を残すことができたので良しとしておこう。
やれやれだ。
実際狙いは外さなかったし、目的以上の成果を挙られた。
イヤーズの宗教離れは格段に進んだし、イヤーズの国民はラファエルを見放し出した。
国民は他国に流れて、国力は衰退の一途を辿った。
神獣と聖獣の神殿破壊は相当なインパクトを残していた。
この時点で最早趨勢は決まっていた。
ほぼ一撃で宗教を撃破したといえる。

そしてポタリーさんは一命を取り留めた。
後数日遅かったら危なかったかもしれない。
それぐらいの切迫した状況にポタリーさんはあった。
体力は衰えており、精神も崩壊寸前だった様に感じた。
ラファエルの野郎、何してくれてんだ!
と本気で怒りを感じたよ。
そして世界樹の実は凄かった。
ポタリーさんの心と身体を一瞬にして全快させていたしね。
少々若返った気がするなんて言ってたし・・・
もう今と成っては三個全部使ってしまったから無くなってしまったけど、また実が付いたら今度も私に渡されるんだろうな・・・何だかな・・・

それにしてもポタリーさんの陶磁器は良い!
凄く良い!
私は始めて陶磁器に魂を感じたし、芸術の域を超えているのではないかと感じた。
マリアさんの芸術も凄いが、また違う凄さを感じる。
最高の職人とはこういう人のことを言うんだろう。
ポタリーさんの陶磁器は私の部屋で大事に飾ってある。
あれは何時間でも眺めてられるよ。
会話すら出来るんじゃないかと錯覚しそうになる。
ほんとに出来ちゃったりして・・・今度試そうかな?

今と成っては必然だったのだろうが、クモマルが進化した。
正直聖獣になるとは思わなかった・・・
まあ元々潜在能力の高いあいつなら、冷静になって考えてみるとなんら不思議ではないんだけどね。
でももう聖獣は手一杯だろう。
充分でしょうよ。
そもそも島野一家は過剰戦力なのに、更に戦力が増えてどうすんのよ。
国軍処か、北半球の戦力全部がかかってきても蹴散らすんじゃないか?
過剰を超えてるよね?
それに魔物達もある意味島野一家と変わらない。
こうなってくると、何を以てしても『シマーノ』を崩すことなんて出来ないんだろうな。
何だかなあ・・・

そしてやっと私達はエリスに会いに行けることになった。
ここに辿り着くまでにどれだけかかったことやら。
ギルの事を思うと何を以てしても優先してやりたかったが、そうともいかなかった。
ギルには悪い事をしたと思う。
本当は直ぐにでも飛び出して、エアーズロックに向かいたかっただろうに。
世界の平和だとか何だとか・・・よく堪えてくれたよ。
我が息子ながらも本当に褒めてやりたいよ。
我儘も言わず、自分の事を脇に置いて他者を優先する。
出来過ぎた息子だよ。
私は親バカなんだろうか?
違うよね?

にしてもエリスは豪快というか、天真爛漫というか・・・
何で空から降ってくるかね?
下手すると私が居なかったら、ギルごと地上に落ちちゃっても可笑しくなかったぞ。
ちょっとは考えてくれよ。
でも無理でしょうね。
エリスは何でも直ぐに口にしちゃうし、考える前に動いちゃう性格みたいだし。
なんだかな。
ゼノンはエリスをどうやって育てたんだよ・・・絶対放任主義だよね。
そうに決まっている。

そんなことはいいとしてだ。
ギルとエリスの再会には涙無くしてはいられなかったな。
これまでこの異世界に来て、私は一度も涙を流したことはなかったが、この時ばかりは止めどなく流れる涙を堪える事なんてできなかった。
それぐらい魂を揺さぶられたし、心が打ち震えたよ。
私はギルの父親に成れて本当に良かったと思えた。
そしてそれは必然の事なんだと全身で感じた。
言いようのない達成感に身体が打ち抜かれたよ。
こんな経験はこれまでの人生においても一度もなかったな。
それぐらい私は嬉しかった。
今想い返しても涙が溢れそうだ。

そしてエアーズロックを南半球に転移した。
皆は嘘でしょ?
という反応だったのだが、そんなに可笑しなことなんだろうか?
今考えてもそんなに驚かれる様な出来事でもない様に思うのだが・・・どこか私も壊れているのか?
これぐらい朝飯前にやれなきゃ次期創造神なんて言えないでしょうが。
違うかな?

エアーズロックの開発は実に楽しかった。
というか楽しませて貰った。
毎日ワクワクと遣り甲斐に満ちていた。
エリスや天使、悪魔達には感謝されたが、本当に感謝したいのはこっちだっての。
だって無茶苦茶楽しかったからね。
最高の数ヶ月間だったよ。
これまで以上に充実した毎日になったよ。
だってスーパー銭湯の別館なんだよ!
それも天空のスーパー銭湯なんだよ!
こんな物は日本にはあり得ないんだからさ。
最高じゃないか!
実際凄く良いしね!
天空のサウナ。
天空のお風呂。
ああ・・・考えただけで整いそうだよ。
もしかして私って・・・変態?・・・

こいつは出会わなくもよかったと思う。
スカイクラウンだ。
だってこいつは・・・駄目を詰め込んだ存在でしかないからね。
フワフワ浮かんでいることしか出来ないって・・・あり得ないでしょ?
更にジゴロな性格で自分勝手って・・・なんでアースラさんがこいつと結婚したんだろうね?
完全にこの世界の七不思議の一つに数えられるよ。
今では反省して、天職を得て真面目に勤めてはいるのだが・・・いつかやらかすに違いない。
私はそう睨んでいる。
そうでないことを祈りたい。

真逆にエアーズロックの分身体はあり得ないぐらい好青年だ。
反面教師ここに極まれりだな。
あいつは良い!すごく良い!
スポーツ系の爽やかな佇まいに、何でも熟す器用さもある。
既にファンクラブが出来ているとかいないとか・・・
最高の人材を確保できたと思う。
名付ける必要があるのかって?
それは本人に聞いてくれよ。
名付けてくれと言われれば考えるけどね。
そうなったらどうしようか?
半日は時間を貰いたいね。
ハハハ・・・

レストラン街がグランドオープンをし、フードコートもオープンした。
嘘だろう?というぐらい賑わっている。
未だにフードコートは入場規制が起こっている。
ちょっと人気があり過ぎるでしょうよ。
連日大入りを繰り返している。
天使と悪魔達は毎日てんてこ舞いだ。
先日コロが少々しんどいですと漏らしていた。
嬉しい悲鳴だろう、直に慣れるよとサラッと責任無く返しておいた。
私の責任ではないよね?

スーパー銭湯の別館がグランドオープンした。
そして久しぶりにやっちまったな。
まだまだやらかし体質は治らないみたいだ。
でも私のピンチに大勢の者達が駆けつけてくれた。
本当に嬉しかった。
こんなにも私は愛されているのだと実感することが出来た。
そして想ったことが一つある。
私はこの世界が好きなんだと、否、愛していると。
この神様が顕現する奇妙な異世界を大好きなんだと。

遂に神気減少問題に決着を迎えた。
私はラファエルとこうして相対する運命だったんだと思う。
ガッチリと因果律に組み込まれていたんだろう。
そう想わざるを得ない。
ラファエルの最後は天晴だったな。
良い笑顔で旅立っていったよ。
ザックおじさんもね。



こうして振り返ってみると実にたくさんの人々と巡り合い。
様々な交流を経てきたんだと感慨深いものがある。
色々な出来事があり、他では得られない経験を積んだ。
もうこの世界から離れることなんて考えられない。
家族始めたくさんの仲間達。
実に多くの友人達に別れを告げることなんて出来る筈がない。
こうなると私の選ぶ道ははっきりしている。
創造神に成るしかない。
否、成ってやる!

後は成ってしまったらどういう神の制限を受けるのかということだ。
好きにしてくれとはいかないだろう。
こうなってくると・・・その時にはやるしかないな・・・
創造神の爺さん相手に何処まで通用するのか?
こればかりはやってみないと分からない。
なにせあの爺さんは読めないからね。
だがプランはある。
本当にそれが通用するのか・・・やってみないと分からないな。
でもこうやって振り返ってみて正解だった。
とてもすっきりしたよ。
心は定まった。
さて、神様修業を続けよう!