プレオープン初日を終えて、俺はアンケート用紙に眼を通している。
殆どがお褒めの言葉や喜びのコメントだった。
楽しかったとか心地よかった等が多い。
何とも張り合いがない。
褒められて嬉しいのだが、ここはブラッシュアップする意見が欲しい所だ。
俺が気づいていない所に眼を向けている者達は必ずいるはずだ。
違う目線からの意見が欲しい。
中には犯人が丸分かりの意見も多かったのだが・・・どうしたものか・・・
そして少し考えさせられる意見があった。
それは外気浴場でふかふかのソファーで整いたいとの意見だった。
気持ちは分からなくはない。
だが・・・皮のソファーや布のソファーが濡れてしまうのはどうかと思う。
清潔感を考えるとちょっとな・・・
雨の日が無いわけでは無いし・・・
どうしたものか・・・ん?そうだ!
ここはハンモックなんてどうだろうか?
これならば有では無かろうか?
ハンモック、気持ち良いよね!
そこで自立式のハンモックを十台ほど造ってみた。
外気浴場に早速置いてみる。
我ながら良いアイデアだと思う。
興味を持ったアイルさんがエリスとギルを伴って近寄ってきた。
余談だがアイちゃんと呼ばれたことが相当嬉しかったのか、アイルさんはあれ以来ギルとエリスにべったりになっていた。
事あるごとに愛称で呼んでくれとおねだりしているらしい。
何なんだろうね?上級神って?
「守、それはいったい何なの?」
「これはハンモックという物です」
俺は使い方を教えた。
するとエリスが上手く座ることが出来ずに頭から落ちていた。
おいおい!大丈夫か?
「痛ってー!何だよこれ?守さん、危ないよ!」
「あのなあ、勢いよく乗ろうとするからだろ?」
「そうか・・・」
ちゃんとそうやって説明したのに・・・こいつも人の話を聞いて無いな。
もう、そんな奴ばっかりだな。
今度は慎重にハンモックに乗るエリス。
「おお!これは気持ち良い!」
「ほんとだ!このゆっくり揺れる感覚が気持ち良いよ。アイちゃん!」
「ギルちゃんほんとだね!楽しいねえ!」
アイルさん・・・ちょっと残念です。
そしてギルよ・・・お前はいつの間にそんな処世術を学んだんだい?
時の神を掌の上で転がしてんじゃんよ。
そんなことはいいとしてだ、ハンモックは正解だったみたいだ。
こうなると十台では足りないな。
追加でもう二十台造っておいた。
これは奪い合いになるかもしれないな。
ブラッシュアップ成功!
よっしゃあ!
次にアンケートの意見で気になったのは、テントサウナのセルフロウリュウでアロマ水を掛け過ぎて火傷するところだったとの意見だった。
この字はカインさんだな。
バレてますよカインさん・・・
これは次回のサウナ検定の問題にしてもいいかもしれないな。
是非カインさんにはサウナ検定一級を取って貰いたい。
まあ次回が有ればなのだが・・・予定は未定です。
これは注意書きが必要かもしれない。
同じ経験を俺もしたからね。
後日マリアさんにお願いして注意書きの立て看板を設けることになった。
分かり易くて助かります。
次にあった意見は高アルコールの飲料を飲みたいとの意見だった。
これは断じて却下である。
いい加減にして欲しい、ゴンガスの親父さんよ!
高アルコールのお酒を飲んでサウナに入るのはあんただけなんだよ!
お願いだから止めてくれ!
アルコールを飲んだ後のサウナは危険だぞ!
知らねえぞ全く!
こんな意見もあった、それは女神を虜にするスイーツを作ってくれという意見だった。
・・・っち!エンゾめ!
いい加減スイーツ以外の事も考えてくれ!
アイルさんに言いつけてやろうか?
あなたはそんなキャラじゃなかったよね?
他には牛乳をふんだんに使う料理を提供してくれとか、女性から好かれるにはどうしたら良いのか?とか、カレーのトッピング総選挙をやって欲しいとか好き放題な事が書いてあった・・・
・・・質問への回答に成っていない。
こいつら舐めとんな、全員締めてやろうか?
俺の四十八の殺人技を受けて見るかい?
かなり痛いよ?
筋肉星の王子に習って・・・止めておこう。
実際の所、真面な意見は一つしか無かった・・・
やはり人選を間違ったみたいだ。
でも他の人選を考えてはみたが、真面な意見を貰えるとは思えなかった。
だって他の人選となると、魔物達は俺に従順過ぎて意見なんて言えないだろうし、ダイコクさんやポタリーさんも神様ズとたいして変わらない。
スーパー銭湯の常連も似たようなものだろう。
困ったものだ。
旧メンバーも初日のプレオープンには参加していた為、これ以上の意見は無いだろうし・・・
どうしたものか・・・
こうなるとオープン後にブラッシュアップを計るしかないのか?
やれやれだ。
でもある意味このスーパー銭湯の別館は完成されているとも言える。
と言うのも日本のサウナ施設を参考にしているからだ。
これまでの俺の経験や飯伏君達サウナフレンズからの経験談を参考にしているのだ。
強いて手を加えるのなら岩盤浴を加えるかどうかというぐらいなのだが、正直岩盤浴は俺の趣味では無い。
これは俺の好みの問題でしかないのだが、岩盤浴は岩盤浴の良さがあるのは分かっている。
でもパフォーマンスを優先してしまう俺としてはどうしても受け入れがたいのだ。
まあ女性受けはするだろうとは思うけどね。
でもどうしてもここは俺の好きを優先させたいのだ。
正直に言って、岩盤浴場を造ることは簡単に出来る。
火魔法を付与した魔石を利用すれば簡単に出来てしまう。
でもな・・・考えものだな・・・
そこでここは思い切って、これまでスーパー銭湯を片手以下でしか利用したことが無い者達にプレオープンに参加して貰おうと募集をすることにした。
詳細はエリカに丸投げした。
それ以外の選択肢は無い。
エリカは一瞬困った顔をしたのだが、これまたやる気に満ちた表情になり、バリバリと働いていた。
エリカは凄いな、俺には到底出来ない芸当だ。
俺なら問答無用で投げ返す。
もしかしてエリカはドMなのか?
そんなことはいいとして、この募集にあり得ないぐらいの応募があった。
ここは仕事が出来る流石のエリカだった。
予めそれを予測していたエリカは、全員は無理だと様々な条件を付けていたのだった。
それは『鑑定魔法』を受けることから始まり、アンケートに実直に向き合う事。
そして抽選になる事等々。
実に選ばれし二百名の参加者が集まっていた。
全員期待の眼差しでワクワクしているのが分かる。
この条件の中で何を勘違いしたのかゴブオクンも応募していたらしい。
あいつはアホだな、お前は何度もスーパー銭湯を利用したことがあるだろうが。
問答無用で却下してやった。
いい加減バックドロップを本気で決めてやろうか?
目玉が飛び出るぞ?いいのか?
社員募集の件といい、あいつは事ある事にサウナ島に来たがるな。
それぐらい好きだという事なんだろうが・・・
こういう処を可愛いと感じてしまう俺は、やっぱりゴブオクンに甘いのだろう。
まぁこいつと居ると笑えるしね。
スーパー銭湯の別館はサウナ初心者で溢れかえっていた。
中にはサウナ島に来ること自体がほとんど始めてという者までいたらしい。
これは嬉しいことだ。
そして翌日にはぎっしりと書き込まれたアンケート用紙が俺の元に届けられていた。
これは読みごたえがありそうだ。
とても嬉しい事である。
そしていきなり考えさせられる意見があった。
それはおトイレの位置が遠く感じたというものだった。
なるほど、確かにおトイレの位置は重要である。
現在は屋台街とバレルサウナから隠れる位置におトイレは存在する。
動線としては悪くない位置で、あまり目に付きにくい場所に敢えて配置してある。
決して遠くは無い。
間違っても外気浴場の近くにとは考えられずこの位置になっている。
だがこれがもしかしたら位置が分かりづらかったのかもしれない。
ここはおトイレの位置を示す看板を設置することにした。
これならば分かり易いだろう。
実に有難い意見だった。
スーパー銭湯初心者を集めて良かった思える意見だった。
次に別館にお風呂は無いのですか?という意見が多かった。
しかしここは今の所お風呂は造らない考えだ。
というのも衣服を着た状態でのお風呂はちょっと考えものだと思っているからだ。
造れなくは無いのだが・・・どうしたものなのか?
五郎さんにも同じことを言われたな。
水着なら容認できなくは無い。
現に旧サウナ島での温泉ではそうしていたからだ。
ちょっと今は保留だな。
いつでも手は加えることは出来るしね。
でも確かに天空のお風呂ってのも有かもしれないな。
ここは本当に悩むな・・・
そして次に多く寄せられた意見としては年齢制限を撤廃して欲しいという意見だった。
やはりそう来たか。
実はスーパー銭湯のアンケートの意見としてよくある意見なのだ。
ここはどうしても受け入れられない。
申し訳ないとは思っている。
実際にサウナ島にある子供風呂では、何度も小さい子供のおもらし事件が起きているのだ。
そしてそれはしょうが無い事だと俺は受け止めている。
どうしても小さなお子さんはおもらしをしてしまうからだ。
申し訳ないと思うのだがここは譲れない。
家族で楽しみたいという気持ちは分からなくはない・・・
衛生的な観点からも認めることは出来ない。
許して欲しと思う。
他には食事を注文する方法が分かりづらいというのもあった。
ここは注文の方法を記載したポップをテーブルに配置することにした。
これならば分かり易いだろう。
たいして難しい物では無いからね。
初心者ならではの意見だろうと思う。
こういう意見が欲しかったんだよね。
ありがとうございます!
そして最も多かった意見は、やはりサウナの最も良い入り方を教えて欲しいというものだった。
ここはすまないがスーパー銭湯の水風呂にある注意書きと、お勧めのサウナの入り方を見て学んで欲しい。
又は、常連さんに聞くなどして欲しい所だ。
自分で最も良いと感じる入り方を探るのもサウナの楽しみ方であると知って欲しい。
サウナの楽しみ方は人其々だ。
是非自分で自分に合う入り方を探してみて欲しい所だ。
俺のお勧めは・・・何日かかる事だろうか・・・付き合ってくれるよね?
後は水や麦茶を飲める箇所を増やして欲しいという唸らされる意見もあった。
これは即時採用した。
なんちゃってウォーターサーバーを数台作り、設置すると共にスタッフに補充を頻繁に行う様に徹底した。
とてもありがたい意見だった。
今ではなんちゃって水筒がブランドショップでは売り上げの上位を締めている。
なんちゃって水筒さえ持ち込んでくれれば、水と麦茶は飲み放題だからね。
スーパー銭湯を利用する客の中には、退店前になんちゃって水筒に麦茶を詰めてから帰るというお客もいるぐらいだ。
それを決して咎めたりはしない。
それも楽しみの一つであってもいいだろう。
実際サウナ島の麦茶は旨い。
これ目当ての客も居ると聞いたことがあるぐらいだ。
そこでいっその事、水と麦茶だけに拘らずもっとフレーバーを増やすことを検討してみることにした。
間違ってもオロポ等は無料で提供出来ないが、アロマ水に近しい物であれば提供してもいいだろうと考えられた。
先ずはレモン水だ。
これは定番となりそうだ。
すっきりとした味が爽やかである。
まず間違いなくウケるだろう。
ちょっとシャビシャビ感があるがこれぐらいでいいだろう。
逆にレモン感が強すぎると酸っぱいと言われそうだ。
そしてハーブ水。
こちらも爽やかな味である。
人によってはちょっと癖を感じるかもしれない。
でも俺はこれが好きだと感じてしまう。
最後にオレンジ水とグレープフルーツ水にすることにした。
これも定番となるだろう。
オレンジを嫌いという人を俺は聞いたことがない。
やはり柑橘系に偏りがちになるが、そんなものだろう。
これらのフレーバー水を俺はデトックス水と勝手に呼ぶことにした。
間違っていたらごめんなさい。
これが女性陣に大いに好評だった。
これを無料にするのではなかったと後日後悔したぐらいだ。
こちらも持ち帰る人が続出した。
その為、スーパー銭湯の受付でもなんちゃって水筒を販売することにした。
非常によく売れている。
決して儲けに走っていないことは強調させて欲しい。
資金には困っていまんせんので、お客様の利便性を考えたまでです。
その為、レモンとオレンジ、グレープフルーツ、そしてハーブを大量に栽培することになった。
アースラさんとアイリスさんがとても喜んでくれた。
お二人には頭が下がります。
アースラさんからはもっと畑を増やしてくれても良いと、しれっと言われたが限度ってものがあるだろう。
既に何百ヘクタールの広大な畑に成っているのか・・・
いちいち計算をしたくないぐらいだ。
このままではその内このサウナ島の大半が畑と田んぼに成ってしまうだろう・・・
それにハウス栽培もおこなっているのだ。
まあそのお陰で美味しいイチゴなどが採れるのだが・・・
これぐらいで勘弁して欲しい。
最近ではアイリスさんはキノコの栽培に興味があるらしく、今度キノコの栽培専用の倉庫を造って欲しいと言われているのだ。
まあキノコの需要はあるからいいのだが・・・
ほんとに野菜の栽培が好きなんだなと感心するよ。
この姿をスカイクランは眼に焼き付けて欲しいと思う。
今ではあいつも真面目に働いてはいるけどね。
でも気は抜いてはいけない。
それぐらいあいつの信頼は揺らいでいる。
いつサボり出しても可笑しくは無いのだ。
もう次は無いからなとは伝えてある。
ちゃんとしろよ!スカイクラウン!
そんなことはいいとしてだ。
これにてスーパー銭湯の別館のプレオープンは無事に終了した。
すったもんだがあったがこれでグランドオープンに漕ぎつけられそうだ。
まだまだブラッシュアップは行って行きたいが、一先ずは完成ということにしておこうと思う。
拘り出したら限が無いしね。
でもここには結論を出さないといけない。
お風呂問題だ。
正直抵抗感はある。
だが多い意見であったことに加えて、天空のお風呂という響きがどうしても頭を離れなかったのだ。
そこで俺は転移扉を利用する形で温泉を引き込むことにした。
ここは少し拘って檜の温泉にすることにした。
詳細は決して難しくはない。
要はサウナ島の温泉から転移扉を使って温泉水を引き込んでみただけでしかない。
だが温泉自体は檜をふんだんに使った物になっており、檜の匂いに癒される天空のお風呂になっていたのだった。
これを利用した者達はさぞかし喜んでくれた。
どうやらこちらが正解だったみたいだ。
流石は五郎さんだ。
五郎さんの意見が間違い無かったみたいだ。
そして実は一番拘ったのはその景観だった。
小さな丘を造りその上に風呂を配置することにしたのだ。
その為、風呂を利用するには階段を登らなければいけない。
せっかくの風呂だ、それも天空のお風呂なのだ。
最高の景色を楽しめないのはあり得ない。
この上空から見える景色を最大限利用できるのはこの上からの景色である。
そしてゆっくりとサウナ島上空を周るエアーズロックのお陰で、その景色は毎日違う物になっているのだ。
エアーズロック、グッジョブです!
さて、いよいよこれでプレオープンは終わりである。
遂にスーパー銭湯別館のグランドオープンを迎える。
俺はワクワクが止まらなかった。
殆どがお褒めの言葉や喜びのコメントだった。
楽しかったとか心地よかった等が多い。
何とも張り合いがない。
褒められて嬉しいのだが、ここはブラッシュアップする意見が欲しい所だ。
俺が気づいていない所に眼を向けている者達は必ずいるはずだ。
違う目線からの意見が欲しい。
中には犯人が丸分かりの意見も多かったのだが・・・どうしたものか・・・
そして少し考えさせられる意見があった。
それは外気浴場でふかふかのソファーで整いたいとの意見だった。
気持ちは分からなくはない。
だが・・・皮のソファーや布のソファーが濡れてしまうのはどうかと思う。
清潔感を考えるとちょっとな・・・
雨の日が無いわけでは無いし・・・
どうしたものか・・・ん?そうだ!
ここはハンモックなんてどうだろうか?
これならば有では無かろうか?
ハンモック、気持ち良いよね!
そこで自立式のハンモックを十台ほど造ってみた。
外気浴場に早速置いてみる。
我ながら良いアイデアだと思う。
興味を持ったアイルさんがエリスとギルを伴って近寄ってきた。
余談だがアイちゃんと呼ばれたことが相当嬉しかったのか、アイルさんはあれ以来ギルとエリスにべったりになっていた。
事あるごとに愛称で呼んでくれとおねだりしているらしい。
何なんだろうね?上級神って?
「守、それはいったい何なの?」
「これはハンモックという物です」
俺は使い方を教えた。
するとエリスが上手く座ることが出来ずに頭から落ちていた。
おいおい!大丈夫か?
「痛ってー!何だよこれ?守さん、危ないよ!」
「あのなあ、勢いよく乗ろうとするからだろ?」
「そうか・・・」
ちゃんとそうやって説明したのに・・・こいつも人の話を聞いて無いな。
もう、そんな奴ばっかりだな。
今度は慎重にハンモックに乗るエリス。
「おお!これは気持ち良い!」
「ほんとだ!このゆっくり揺れる感覚が気持ち良いよ。アイちゃん!」
「ギルちゃんほんとだね!楽しいねえ!」
アイルさん・・・ちょっと残念です。
そしてギルよ・・・お前はいつの間にそんな処世術を学んだんだい?
時の神を掌の上で転がしてんじゃんよ。
そんなことはいいとしてだ、ハンモックは正解だったみたいだ。
こうなると十台では足りないな。
追加でもう二十台造っておいた。
これは奪い合いになるかもしれないな。
ブラッシュアップ成功!
よっしゃあ!
次にアンケートの意見で気になったのは、テントサウナのセルフロウリュウでアロマ水を掛け過ぎて火傷するところだったとの意見だった。
この字はカインさんだな。
バレてますよカインさん・・・
これは次回のサウナ検定の問題にしてもいいかもしれないな。
是非カインさんにはサウナ検定一級を取って貰いたい。
まあ次回が有ればなのだが・・・予定は未定です。
これは注意書きが必要かもしれない。
同じ経験を俺もしたからね。
後日マリアさんにお願いして注意書きの立て看板を設けることになった。
分かり易くて助かります。
次にあった意見は高アルコールの飲料を飲みたいとの意見だった。
これは断じて却下である。
いい加減にして欲しい、ゴンガスの親父さんよ!
高アルコールのお酒を飲んでサウナに入るのはあんただけなんだよ!
お願いだから止めてくれ!
アルコールを飲んだ後のサウナは危険だぞ!
知らねえぞ全く!
こんな意見もあった、それは女神を虜にするスイーツを作ってくれという意見だった。
・・・っち!エンゾめ!
いい加減スイーツ以外の事も考えてくれ!
アイルさんに言いつけてやろうか?
あなたはそんなキャラじゃなかったよね?
他には牛乳をふんだんに使う料理を提供してくれとか、女性から好かれるにはどうしたら良いのか?とか、カレーのトッピング総選挙をやって欲しいとか好き放題な事が書いてあった・・・
・・・質問への回答に成っていない。
こいつら舐めとんな、全員締めてやろうか?
俺の四十八の殺人技を受けて見るかい?
かなり痛いよ?
筋肉星の王子に習って・・・止めておこう。
実際の所、真面な意見は一つしか無かった・・・
やはり人選を間違ったみたいだ。
でも他の人選を考えてはみたが、真面な意見を貰えるとは思えなかった。
だって他の人選となると、魔物達は俺に従順過ぎて意見なんて言えないだろうし、ダイコクさんやポタリーさんも神様ズとたいして変わらない。
スーパー銭湯の常連も似たようなものだろう。
困ったものだ。
旧メンバーも初日のプレオープンには参加していた為、これ以上の意見は無いだろうし・・・
どうしたものか・・・
こうなるとオープン後にブラッシュアップを計るしかないのか?
やれやれだ。
でもある意味このスーパー銭湯の別館は完成されているとも言える。
と言うのも日本のサウナ施設を参考にしているからだ。
これまでの俺の経験や飯伏君達サウナフレンズからの経験談を参考にしているのだ。
強いて手を加えるのなら岩盤浴を加えるかどうかというぐらいなのだが、正直岩盤浴は俺の趣味では無い。
これは俺の好みの問題でしかないのだが、岩盤浴は岩盤浴の良さがあるのは分かっている。
でもパフォーマンスを優先してしまう俺としてはどうしても受け入れがたいのだ。
まあ女性受けはするだろうとは思うけどね。
でもどうしてもここは俺の好きを優先させたいのだ。
正直に言って、岩盤浴場を造ることは簡単に出来る。
火魔法を付与した魔石を利用すれば簡単に出来てしまう。
でもな・・・考えものだな・・・
そこでここは思い切って、これまでスーパー銭湯を片手以下でしか利用したことが無い者達にプレオープンに参加して貰おうと募集をすることにした。
詳細はエリカに丸投げした。
それ以外の選択肢は無い。
エリカは一瞬困った顔をしたのだが、これまたやる気に満ちた表情になり、バリバリと働いていた。
エリカは凄いな、俺には到底出来ない芸当だ。
俺なら問答無用で投げ返す。
もしかしてエリカはドMなのか?
そんなことはいいとして、この募集にあり得ないぐらいの応募があった。
ここは仕事が出来る流石のエリカだった。
予めそれを予測していたエリカは、全員は無理だと様々な条件を付けていたのだった。
それは『鑑定魔法』を受けることから始まり、アンケートに実直に向き合う事。
そして抽選になる事等々。
実に選ばれし二百名の参加者が集まっていた。
全員期待の眼差しでワクワクしているのが分かる。
この条件の中で何を勘違いしたのかゴブオクンも応募していたらしい。
あいつはアホだな、お前は何度もスーパー銭湯を利用したことがあるだろうが。
問答無用で却下してやった。
いい加減バックドロップを本気で決めてやろうか?
目玉が飛び出るぞ?いいのか?
社員募集の件といい、あいつは事ある事にサウナ島に来たがるな。
それぐらい好きだという事なんだろうが・・・
こういう処を可愛いと感じてしまう俺は、やっぱりゴブオクンに甘いのだろう。
まぁこいつと居ると笑えるしね。
スーパー銭湯の別館はサウナ初心者で溢れかえっていた。
中にはサウナ島に来ること自体がほとんど始めてという者までいたらしい。
これは嬉しいことだ。
そして翌日にはぎっしりと書き込まれたアンケート用紙が俺の元に届けられていた。
これは読みごたえがありそうだ。
とても嬉しい事である。
そしていきなり考えさせられる意見があった。
それはおトイレの位置が遠く感じたというものだった。
なるほど、確かにおトイレの位置は重要である。
現在は屋台街とバレルサウナから隠れる位置におトイレは存在する。
動線としては悪くない位置で、あまり目に付きにくい場所に敢えて配置してある。
決して遠くは無い。
間違っても外気浴場の近くにとは考えられずこの位置になっている。
だがこれがもしかしたら位置が分かりづらかったのかもしれない。
ここはおトイレの位置を示す看板を設置することにした。
これならば分かり易いだろう。
実に有難い意見だった。
スーパー銭湯初心者を集めて良かった思える意見だった。
次に別館にお風呂は無いのですか?という意見が多かった。
しかしここは今の所お風呂は造らない考えだ。
というのも衣服を着た状態でのお風呂はちょっと考えものだと思っているからだ。
造れなくは無いのだが・・・どうしたものなのか?
五郎さんにも同じことを言われたな。
水着なら容認できなくは無い。
現に旧サウナ島での温泉ではそうしていたからだ。
ちょっと今は保留だな。
いつでも手は加えることは出来るしね。
でも確かに天空のお風呂ってのも有かもしれないな。
ここは本当に悩むな・・・
そして次に多く寄せられた意見としては年齢制限を撤廃して欲しいという意見だった。
やはりそう来たか。
実はスーパー銭湯のアンケートの意見としてよくある意見なのだ。
ここはどうしても受け入れられない。
申し訳ないとは思っている。
実際にサウナ島にある子供風呂では、何度も小さい子供のおもらし事件が起きているのだ。
そしてそれはしょうが無い事だと俺は受け止めている。
どうしても小さなお子さんはおもらしをしてしまうからだ。
申し訳ないと思うのだがここは譲れない。
家族で楽しみたいという気持ちは分からなくはない・・・
衛生的な観点からも認めることは出来ない。
許して欲しと思う。
他には食事を注文する方法が分かりづらいというのもあった。
ここは注文の方法を記載したポップをテーブルに配置することにした。
これならば分かり易いだろう。
たいして難しい物では無いからね。
初心者ならではの意見だろうと思う。
こういう意見が欲しかったんだよね。
ありがとうございます!
そして最も多かった意見は、やはりサウナの最も良い入り方を教えて欲しいというものだった。
ここはすまないがスーパー銭湯の水風呂にある注意書きと、お勧めのサウナの入り方を見て学んで欲しい。
又は、常連さんに聞くなどして欲しい所だ。
自分で最も良いと感じる入り方を探るのもサウナの楽しみ方であると知って欲しい。
サウナの楽しみ方は人其々だ。
是非自分で自分に合う入り方を探してみて欲しい所だ。
俺のお勧めは・・・何日かかる事だろうか・・・付き合ってくれるよね?
後は水や麦茶を飲める箇所を増やして欲しいという唸らされる意見もあった。
これは即時採用した。
なんちゃってウォーターサーバーを数台作り、設置すると共にスタッフに補充を頻繁に行う様に徹底した。
とてもありがたい意見だった。
今ではなんちゃって水筒がブランドショップでは売り上げの上位を締めている。
なんちゃって水筒さえ持ち込んでくれれば、水と麦茶は飲み放題だからね。
スーパー銭湯を利用する客の中には、退店前になんちゃって水筒に麦茶を詰めてから帰るというお客もいるぐらいだ。
それを決して咎めたりはしない。
それも楽しみの一つであってもいいだろう。
実際サウナ島の麦茶は旨い。
これ目当ての客も居ると聞いたことがあるぐらいだ。
そこでいっその事、水と麦茶だけに拘らずもっとフレーバーを増やすことを検討してみることにした。
間違ってもオロポ等は無料で提供出来ないが、アロマ水に近しい物であれば提供してもいいだろうと考えられた。
先ずはレモン水だ。
これは定番となりそうだ。
すっきりとした味が爽やかである。
まず間違いなくウケるだろう。
ちょっとシャビシャビ感があるがこれぐらいでいいだろう。
逆にレモン感が強すぎると酸っぱいと言われそうだ。
そしてハーブ水。
こちらも爽やかな味である。
人によってはちょっと癖を感じるかもしれない。
でも俺はこれが好きだと感じてしまう。
最後にオレンジ水とグレープフルーツ水にすることにした。
これも定番となるだろう。
オレンジを嫌いという人を俺は聞いたことがない。
やはり柑橘系に偏りがちになるが、そんなものだろう。
これらのフレーバー水を俺はデトックス水と勝手に呼ぶことにした。
間違っていたらごめんなさい。
これが女性陣に大いに好評だった。
これを無料にするのではなかったと後日後悔したぐらいだ。
こちらも持ち帰る人が続出した。
その為、スーパー銭湯の受付でもなんちゃって水筒を販売することにした。
非常によく売れている。
決して儲けに走っていないことは強調させて欲しい。
資金には困っていまんせんので、お客様の利便性を考えたまでです。
その為、レモンとオレンジ、グレープフルーツ、そしてハーブを大量に栽培することになった。
アースラさんとアイリスさんがとても喜んでくれた。
お二人には頭が下がります。
アースラさんからはもっと畑を増やしてくれても良いと、しれっと言われたが限度ってものがあるだろう。
既に何百ヘクタールの広大な畑に成っているのか・・・
いちいち計算をしたくないぐらいだ。
このままではその内このサウナ島の大半が畑と田んぼに成ってしまうだろう・・・
それにハウス栽培もおこなっているのだ。
まあそのお陰で美味しいイチゴなどが採れるのだが・・・
これぐらいで勘弁して欲しい。
最近ではアイリスさんはキノコの栽培に興味があるらしく、今度キノコの栽培専用の倉庫を造って欲しいと言われているのだ。
まあキノコの需要はあるからいいのだが・・・
ほんとに野菜の栽培が好きなんだなと感心するよ。
この姿をスカイクランは眼に焼き付けて欲しいと思う。
今ではあいつも真面目に働いてはいるけどね。
でも気は抜いてはいけない。
それぐらいあいつの信頼は揺らいでいる。
いつサボり出しても可笑しくは無いのだ。
もう次は無いからなとは伝えてある。
ちゃんとしろよ!スカイクラウン!
そんなことはいいとしてだ。
これにてスーパー銭湯の別館のプレオープンは無事に終了した。
すったもんだがあったがこれでグランドオープンに漕ぎつけられそうだ。
まだまだブラッシュアップは行って行きたいが、一先ずは完成ということにしておこうと思う。
拘り出したら限が無いしね。
でもここには結論を出さないといけない。
お風呂問題だ。
正直抵抗感はある。
だが多い意見であったことに加えて、天空のお風呂という響きがどうしても頭を離れなかったのだ。
そこで俺は転移扉を利用する形で温泉を引き込むことにした。
ここは少し拘って檜の温泉にすることにした。
詳細は決して難しくはない。
要はサウナ島の温泉から転移扉を使って温泉水を引き込んでみただけでしかない。
だが温泉自体は檜をふんだんに使った物になっており、檜の匂いに癒される天空のお風呂になっていたのだった。
これを利用した者達はさぞかし喜んでくれた。
どうやらこちらが正解だったみたいだ。
流石は五郎さんだ。
五郎さんの意見が間違い無かったみたいだ。
そして実は一番拘ったのはその景観だった。
小さな丘を造りその上に風呂を配置することにしたのだ。
その為、風呂を利用するには階段を登らなければいけない。
せっかくの風呂だ、それも天空のお風呂なのだ。
最高の景色を楽しめないのはあり得ない。
この上空から見える景色を最大限利用できるのはこの上からの景色である。
そしてゆっくりとサウナ島上空を周るエアーズロックのお陰で、その景色は毎日違う物になっているのだ。
エアーズロック、グッジョブです!
さて、いよいよこれでプレオープンは終わりである。
遂にスーパー銭湯別館のグランドオープンを迎える。
俺はワクワクが止まらなかった。