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「·····仕事行ってくる」
父親が仕事へ向かった。
母親はまだ家にいる。
いつも父親の方が先に家を出る。
そしていつものように始まる·····
母親の愚痴、罵倒。
「はぁ、なんであんたはいつもそうなわけ?」
「あんたがいるだけでお金かかってんだからな」
「なんでお前のためにこっちが稼がないといけないのよ」
聞いていられない。
女の子はいつものことすぎて、気にも求めていなかった。
これが普通だと。
親はこんなものだと、そう思っていた。
いや、そう信じていた。
「電気つけるなよ」
母親は電気代をかけないように明かりも、テレビもつけるなと行って家を出ていった。
そして運命が変わるまで、あと一週間───。
今日は洗濯物などを早く終わらせたので、後の一日中、女の子は部屋の隅で縮こまって夕方がくるまでその場で動かずじっと過ごした。
日が落ちたころ、父親が先に帰宅した。
父親は帰ってくる時間がいつもバラバラ。
特に今日は早かった。
そして、父親は帰って来るなり、何やら険しい顔をして、スマホと睨めっこをして1人でブツブツ呟いていた。
「くそっ、そろそろ限界か·····」
「もって後·····2週間、いや1週間か?·····くそっなんでこんなことになるんだよっ!」