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「·····これから忙しくなる。寂しいとか言ってる暇はねーぞ」

 
「なんのために急いでももを送り出したんだ·····。」


そう、夢の国に行った後、極道の間であることが話題になっていた。

黒神組の幹部達が某テーマパーク、夢の国に居たと。


あの日、桃子と夢の国に行った時に一般人の客に写真を撮られた。

それがSNSで写真が載り、『このかっこいい人達は誰だ?』と一部の間で話題になっていたのだ。
 

早急に手を回してSNSに載っていた写真は消去したが、このご時世、一度世に出てしまった物を完全には消せない。

そのため、他の組にも話が回ってしまったのだ。



「黒神組、フッ、随分ご気楽なもんだな」

「すでにSNSでは消されてしまいましたが、一枚気になる物を手に入れました。」

「見せろ」

「こちらです。」


そう言って渡したのは写真だった。

しかもその写真は·····


「これは·····この子供を探せ!」

「はい。」


黒神の横顔と女の子の後ろ姿だった。

これもSNSに載っていたもの。

幸い後ろ姿だけだったが、この子供が黒神の弱点ではないかと極道の間で子供探しが始まった。


黒神組──


「どうだ?」

「やっぱり完全に消すのは難しいね」

「·····そうか」


黒神はこうなることは予想していた。

しかし桃子とこうやって遊んで、出かけられるのも最後だろうと思っていたので、桃子がしたいことは全部してあげたいとおもっていた。


だから写真を撮りたいと言った桃子を止めなかったし、一般人に写真を撮るなとも言わなかった。

この楽しい雰囲気が壊れると思ったから。

それに一般人を脅すわけにも。桃子が怖がる。


「でもこのままだとももちゃんが危ないかもね」

「そうだな·····早く決めねぇと」


それから里親候補を何度も調べ、問題のない家族。桃子を可愛がってくれる家族。

ありとあらゆることを調べ上げ、桃子の家族を決めた。


本当はお互い対面して決めるのがいいのだろうが、時間もないし、黒神組で面倒を見ていたと知ったら色々まずい。


勿論、向こうにも桃子の性格や、これまで実の両親にされていたことなどを相手に渡した。

そこで相手も桃子がいいと言ってくれたのだ。

これで桃子の里親が決まった。決まってしまった·····。


それからすぐに桃子に伝えた。

そしてできるだけ早く、桃子を安全なところに送るために準備を急いだ。


桃子が新しい家族のもとへ行って3日後、黒神組と他の組とで抗争があった。


無事間に合った。


桃子を危険な目に合わせなくてよかった。

もう怖い思いはさせたくない。



その抗争で勝ったのは──·····