そうこうしている間に夢の国に到着。
車の中は楽しくてあっという間だった。


車から降り、部下に


「悪いがお前はここで待機だ」

「はい!」


部下はもし何かあった時にすぐ逃げれるようにと車に残した。


「おっしゃー!いっぱい乗るぞー!」


子供みたいに興奮する赤宮。


そう、じゃんけんで勝ったのは赤宮だった。

そのため、ランドに行くことが決定した。

 
「もも、迷子になるなよ」と手を繋ぐ桃子と黒神。


白洲はパンフレットを見ながら「最初はどこ行くー?」と何があるか見ている。


青葉は車酔いをしたらしく少しげっそりしていた。


「あおちゃん大丈夫?」


ももがそれに気づき尋ねる。


「あー、ありがと、大丈夫」と頭を撫で歩き出す。


ももは初めてこう言う場所に来るので少し緊張気味だが、黒神が手を繋いでくれているので安心。


「もも、なんか乗りたいのあったら言えよ」

「うん、でも分かんないからみんなが行きたいところで」


初めてなので、絶叫系が大丈夫なのかすら自分ではよくわからなかった。


「俺、水しぶきの山乗りたいっす」


と赤宮が提案する。


「1番奥だね、じゃあ奥から回ろうか」


と白洲が地図をみながら目的地を決め、向かい出した。

その間に気になるとこがあれば入ることに。


その後ろに影があることにみんなは果たして気づいているのだろうか·····。


桃子が、手を繋いでいる黒神の手を小さくクイクイと引っ張った。


「どうした?」


桃子に目線を向ける。
前を歩く赤宮達も足を止める。


「あそこ」


そういって桃子が指差したのはキャラクター物のキーホルダーやカチューシャなどのグッツが売っているお店だった。


「欲しいのか?」

「うん」


遠慮がちに頷いた。


「いいぞ、なんでも買ってやる」


と歩いていた方向を変えてお店に入る。
 

そして桃子が選んでいるのをみんなで見守っていると、

「これ、れんくん」


そう言って黒神に渡したのはネズミのキャラクターのシンプルカチューシャだった。


「どうした?」

「つけて·····欲しいの」


またもや遠慮がちに言う桃子にびっくりしつつもクスッと笑い「わかった。」と答える。


赤宮も青葉もまさかOKを出すなんて思わずびっくりしている。


「(さすがももちゃん)」

「(さすがももだな)」
 

「ももちゃんいいよ!面白いハハハ」


白洲は一人クスクス笑っている。


「ねぇ、僕のも選んでくれない?」


と楽しそうに言う。


続いて「俺も俺も」と赤宮と青葉が言う。

 
ということで白洲には、アヒルがモチーフのキャラクターのカチューシャ。
キャラクターのお尻がモチーフになっているカチューシャを。


赤宮には、ハートカチューシャ。
女の子のネズミがモチーフの耳にハートがついているカチューシャを。


青葉にはコウモリ、いぬ、くま、コアラをモチーフにした青いキャラクターのぬいぐるみ付きカチューシャ。
キャラクターが頭の上にちょこんと乗っているカチューシャを。


それぞれに手渡す。


「なんで俺だけ女の子?」

「赤が見当たらなかったの」


そう、桃子が選んだカチューシャは全てみんなの髪の色に合わせたものだった。


「あーなるほどね!」


それに納得した赤宮。


「もも、自分のも選べ」


自分のを選んでいなかった桃子に黒神がそういうと


「私のはいい」

「なんでだ?」

「·····似合わないから」


下を向く桃子に黒神は


「なら俺が似合うやつ選んでやる」


と言ってどこかに行ってしまった。


少しして戻ってきた黒神の手には、ピンクのリボンが付いた白いねこがモチーフのファンキャップだった。


カチューシャではなくどっちかというと被り物。


「なんで·····」

「ももはわかりやすいからな、それに俺が似合うと思った」
 

それは先ほどみんなのを選んでいる時に桃子が見ていたものっだった。

そして前に白洲と文房具を買いに行った際に桃子が選んだキャラクターと同じ。

 
「買ってきてやるから待ってろ、おいお前らも」


と言って、全員分のものをレジに持っていった。


「すみません、ありがとうございます」

「あざっす!」

「サンキュー」


青葉、赤宮、白洲が御礼を言う。


お会計をしている黒神を外で待っている4人。

黒神が可愛いカチューシャをいっぱい手に持ってレジに持って行くのはちょっと、いやかなり面白いと内心笑いが止まらない白洲。


「声かけられてるしw」


お会計している黒神


「お兄さんかっこいいですね!」

「……」

「モデルさんとかですか?」

「……」

「と、友達と来たんですか?」

「……」


定員さんの質問には一切答えようとしない。
先ほどとは違う、無表情。


そんな様子を見て、みんなにバレないように1人でニヤニヤしている白洲。
 

そんな中、赤宮がお腹すいたと言い始めた。

まだきてそんなにたていないが、何か買って食べることにした。


ここにきたらやっぱチェロスだろといった青葉にみんな同意し、黒神が戻ってきたらチェロスを食べることにした。


そして、黒神が戻ってきてみんなで買ったものを被ることにし、それぞれ自分のを黒神から受け取る。

桃子は白洲にやってもらったツインテールの編み込みをなるべく崩さないように慎重に被る。


そして何かを思いついた桃子は、リュックの中を探り出した。
そして黒神からもらったカメラを取り出した。


「写真·····」


みんなに写真を撮りたいことを示すと、「俺がとってやるよ」と青葉が言うが桃子は首を振り、自分で撮りたいという。


桃子がそう言うならと言うことで四人は少し恥ずかしそうに並ぶ。

絵になる四人に、周りの人もキャーキャー言い始める。


「何かの撮影かな?」

「アイドル?」

「私たちも撮りたいんだけど〜!」

「ねぇ、黒髪の人やばくない?」

「私は白い髪の人がいい!」


と言う声がいろんな方向から聞こえてくる。

 
それを一切無視して


「ももちゃーんかっこよくとってねー」


赤宮が桃子に声をかけると、桃子はうなずいて、


(パッシャ、パッシャ)


数回シャッターを押した。

 
「どう?いい感じに撮れた?」と桃子に駆け寄る青葉と赤宮。


桃子は我ながらいい感じに撮れたことに喜んでいる様子だった。

それを見た青葉と赤宮は一瞬足を止める。


「……」


黙っている青葉をよそに、赤宮は桃子に引っ付いて、
「ももちゃんかわいいねぇー」とぎゅうぎゅうする。
 

その様子を見ている黒神と白洲が話をしている。


「あーあーももちゃん取られちゃうよー?まー赤宮には最初から懐いてたか」


と何か面白がる様子で黒神に言うが、黒神はその言葉を聞いているのかいないのか、白洲の方を見ることなく桃子のところまで行く。


そして「離せ」と言って桃子を赤宮か離し桃子を抱っこする。
 

「ほんと·····過保護だねぇ」


と言いながらみんなに混ざる。


「今度はももちゃんも一緒に撮ろうよ」


と白洲の提案にみんなは頷き、近くで見張っていた護衛の佐藤にカメラを渡して桃子との写真を撮った。


その後はみんなでチェロスを食べていろんな乗り物に乗った。

 
「時間的に次が最後だね」時計を見ながら白洲が言う。


その最後の乗り物に向かっていた。


平日でも人が多いここは、前からも後ろからも人でいっぱい行き交う。


そんな中で前から人混みになぎれてある人物の姿が見えた。


変装しているが桃子にはわかる。

その人物の正体が。

みんなは気づいてない。

その人物は口パクで桃子に


「──·····。」


距離も少し離れているし普通ならわかるはずがないのに、なぜかわかってしまった。


『その男達から離れなさい。』と。


そのまま桃子達を通り過ぎてその人物はどこかに行ってしまった。


「、っ!今誰かいたか?」

「え?誰かって?」

「いや、今視線が·····」

「え?」

「·····一応部下には注意するように言っとくね」

「あぁ·····」


黒神は辺りを見回すが、特に怪しい人物は居ない。

自分の気のせいなのか、ここで立ち止まると周りの邪魔になるので足は止めることなく先へすすむ。

 
これが最後の乗り物。
結構長い列に並んでいた。


「もも、どうかしたか?」

「ううん。なんでもない·····」


先ほどから少し様子がおかしい桃子に黒神は心配していた。

だんだん桃子はソワソワし始め、黒神と繋いでいる手に汗が出てくる。


すると桃子は突然·····


「トイレ行ってくる!」


そう言って黒神の手を解いて列から離れた。


驚いた黒神は


「っ!待て!俺も一緒にッ·····」


そう言って桃子の後を急いでおう。

他のメンバーも列から離れ急いで黒神達を追う。


「くそっ!」


人が多くて(邪魔で)桃子に追いつけない。


「ももッ!どこだ·····ここから1番近いトイレは·····」


パンフレットを見てここから1番近いトイレに向かった。

しかし桃子の姿はなく、中にいるのかも確認できない。
とりあえず待ってみることにした。


その間、黒神はもしかしたらここのトイレじゃなく違うトイレに行ってるかもしれないと思い、他のメンバーと護衛に他のトイレに行くように伝える。


数分しても桃子の姿は見えない。

他のメンバーからも連絡はない。

どこのトイレも混んでいる。もう少し待ってみるか、そう思った時、駐車場で待機していた部下から連絡が。


「黒神さんッ、桃子さん今そちらにいますか?」


少し焦ったように聞く。


「いや·····はぐれた」


そう答えると部下は


「今桃子さんらしき女の子が車に連れ込まれて·····遠目で、本当に桃子さんかわからなくて、助けようにも、距離が·····」

「っ!すぐそっちに行くッ!すぐ出れるようにしとけ」

そのあとすぐに他のメンバーにも伝え、駐車場で合流し、車を出した。


しかし、どこに行けばいいのか·····