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そして今日はなかなか起きてこない日。

そんな桃子を起こしに行くと·····

 
「もも〜そろそろ起きよ」


青葉が桃子の部屋まで起こしにきた。

しかし桃子からの返事はない。


寝ている桃子に近づきほっぺたをムニムニしながら声をかける


「朝だぞ」

「ぅーー」


少し目を覚ましたが、また目を瞑ってしまった。

ここまで起きないのは珍しい。
よっぽど眠いのだろう。


「一緒にご飯食べよ?」


そういうと両腕を前に出して


「·····あおちゃん·····抱っこ」


寝ぼけている桃子は目を瞑ったまま子供らしく甘えるように言う。

青葉は気を許してくれてるのだと、それが嬉しかった。

最初の頃なんか絶対にしてくれなかった。


「うん!抱っこしよ」


そう言ってベットから桃子を持ち上げた。
 

リビングに向かっている途中にバッタリ、黒神と出会ってしまった·····。


黒神もリビングに向かっていた様子。

青葉の腕の中に眠っている桃子を見て


「青葉おろせ。癖がつく」


声のトーンをいつもより下げて、黒神は桃子を降ろせという。

朝だから機嫌が悪いのか、それとも他になにか理由があるのか。


青葉は少し迷ったが黒神には逆らえない。

渋々下ろす事に


「もも、下ろすね」


しかし桃子はまだ眠たく目を擦りながら


「ん、れんくん抱っこ·····」


今度は黒神に両腕を伸ばす。


黒神は迷うことなく軽々と桃子を抱っこする。


「まだ眠いのか?」


先ほどとはうって変わってすごい柔らかい優しい声で桃子に声をかけながら歩き出す。


「んーー」


微笑みを浮かべ、黒神は片手で桃子を抱っこしながらほっぺたを撫でる。

青葉は1人取り残される。


桃子はやっとちゃんと起きたが、先程のことは全く覚えていないらしい。


本当に無意識なのだろう。

 
それからというもの抱っこする時は黒神に見つからないように、こっそりやるようになった青葉。


実は他の2人も同じような目に遭い青葉と同じことを思っていた、とか。


『抱っこする時は黒神に見つからないようにこっそりと·····。』