·····もっと早くあそこに着いていれば、もっと早く自分が行動していれば、あそこにいた子供達は助かっていたかもしれないと、柄にもなくずっと悔やんでいたのだ。
家族に何かしらの問題があった子供達でも、まだ数年しか生きていない子達を、その命を途絶えさせるなんてことは絶対に許されない。
どんなに今が辛くても、今後必ずどこかで、誰かのことを救う。助けになる。
この世にはいらない人なんていない。
自分では気づいていないかもしれないが、みんな誰かの支えになっている。
それは親かもしれないし、兄弟かもしれない。おじいちゃんおばあちゃん、いとこはとこ、遠い親戚、友達、先生、上司、同僚、後輩、街ですれ違った人、ネットの向こう側にいる人、そういう人たちの支えになる。
必ず。どこかで誰かを救う。
そんなこと自分が言えたことではないが·····と。
自分の方が今よっぽど辛くて、寂しくて、怖いだろうに、桃子はそんな中でも、人の心配をする。
優しい子だ。
そんな子を·····傷つけて·····泣くことも笑うことも許さず、虐待ばかりしてきたなんて。
許さない。
もっと子供らしくいていい。
自分のしたいように、思うようにやっていい。
無理に大人の階段を登ろうとしないでいい。
·····桃子をここに連れてきて本当によかったのだろうか·····。
自分の償いのために桃子には幸せになって欲しいと自分のエゴで桃子に色々押し付けているのでは無いか。
極道の俺たちに桃子を関わらせるのは間違いだったのではいか。
今までこんなことは無かったのに。
あの時の俺は冷静な判断が出来ていなかったのかもしれない。