ここは倉庫街の路地裏。
 あれからハルリアは未だに増え続けている敵と戦っている。しかし限界が来ていた。

 (クソッ……一人じゃ無理だ。流石に疲れてきた……だがカールを動かす訳にもいかない。刺客の二人を殺されたら、また振り出しに戻っちまうからな)

 そう思いながらハルリアは息を切らしながら敵を斬っていく。
 一方カールディグスは、タールベとハンナベルを監視しながらハルリアをみている。

 (流石に隊長でも……この数を一人で熟すのは無理ですよね。だけど……動く訳にはいかない)

 そう考えカールディグスは悩んでいた。
 すると倉庫の扉が開きティオルが出てくる。
 それに気づきハルリアは敵と戦いながらティオルのそばまできた。

 「ティオル、自白をしたのですか?」
 「ええ、少々……手古摺りましたが」

 そう言いティオルは、ニヤリと笑みを浮かべる。

 「それで転移させている者はどこに?」
 「倉庫で眠っています」
 「……じゃあ、この数の敵はなぜ?」

 ハルリアはそう言いながら邪魔だと言わんばかりに向かいくる敵を蹴り飛ばした。

 「魔法陣がそのままになっているようですよ」
 「開きっぱなしという事か……。その魔法陣を消せば閉じられるな?」
 「ええ、そうなります」

 それを聞きハルリアは、どうするか悩んだ。

 「……ティオル場所は分かるか?」
 「はい、聞き出しましたので」
 「そうか……それならティオル、そこに向かってください」

 そうハルリアに言われティオルは頷いた。その後、転移の魔法陣がある場所まで敵を倒しながら向かう。
 それを確認するとハルリアは再び向かいくる敵を倒していった。しかしティオルを追う者と別れたため敵の数が減っている。
 そのお陰で今までよりもハルリアの負担は減った。だが、それでも疲れてきているためハルリアの顔は苦痛の表情を浮かべている。
 その様子をカールディグスは心配に思いみていた。

 (やはり、この数の敵と戦うのは無理みたいだ。これは……交代した方がいいのか?)

 そう考えカールディグスは、とりあえず聞いてみようと思い口を開く。

 「ハルリア嬢、交代した方がいいですか?」
 「……それもアリか。そうだな……そっちに向かう、そこを動くなよ」

 それを聞きカールディグスは頷いた。
 ハルリアは追ってくる敵を倒しながらカールディグスのそばまでくる。
 それと同時にカールディグスは立ち上がりハルリアの前に立った。

 「カール、あとは任せた!」
 「了解……ゆっくり休んでいてください」

 そう言いカールディグスは剣を抜き向かって来た敵を斬る。
 その様子をみながらハルリアは目を細め笑みを浮かべた。
 そんな中カールディグスは、ハルリアから敵を遠ざけるため倒しながら前へ突進する。

 「この辺でいいな」

 そう言いカールディグスは敵を迎え打つため剣を構え直した。
 片やハルリアは、タールべとハンナベルを監視しながら辺りを警戒する。

 (敵の数が、さっきより減ったな。恐らくティオルの方を追ってるんだろう……まぁアイツなら心配ないか)

 そう思ったあとハルリアは目の前のカールディグスを見据えた。