ハルリアは向かいくる敵を次々に斬っていった。
 それをみた敵の中にはハルリアの強さに圧倒され逃げる者まで現れる。

 「逃がしませんわよっ!」

 そう言い敵を追い斬っていく。

 (下手に逃がしてバレるとまずい。まあそうそう分からんとは思うが……用心しねぇとな)

 そうこう考えながら敵に向かい倒している。
 そこに敵を追いティオルが現れた。

 「ハルリア様、大丈夫ですか?」
 「ええ、問題ないですわ」
 「お、女言葉……まあその姿ですから違和感はありませんが」

 そう言いながらティオルは敵を斬っていく。

 「余計なことを言っている場合ではありません。それよりも……なんでこんなに敵が多い?」
 「恐らく転移の魔法を使ってる者がいるかと」
 「やはり、そういう事ですか。その者を探さないと増え続けますわ」

 それを聞きティオルは頷いた。

 「私が、コイツらを捕らえて問い詰めましょうか?」
 「それもアリですわね……じゃあ敵を分散させましょう」
 「はい、それでは倉庫内に何人か誘い追い込みますので……こちらはよろしくお願いします」

 そう言いティオルは近くの倉庫の扉を開ける。すると向かいくる数名の敵を誘い込んだ。
 倉庫に入ったことを確認するとハルリアは扉を閉めた。

 「これでいいですわね……ただ何人、自白するかですが」

 ハルリアはそう言い、ニヤリと笑みを浮かべる。その後、再び向かいくる敵を倒していった。
 その様子をみながらカールディグスはタールベとハンナベルを監視し考えている。

 (……連携がとれてる。前から思ってたけど、僕なんかよりもティオルの方が副隊長に向いてる気がするんだよなぁ。
 それなのに……なんで僕が副隊長なんだ? それほど優れたものを持っていない僕が……なぜ……)

 そう思いカールディグスは目の前で戦うハルリアを見据える。

 「……!?」

 カールディグスは背後で何かの気配を感じた。

 (火薬の臭い? どこに……特定できない。火薬の臭いが分かるってことは近くにいる。気配は三人……誰を狙っているんだ? 隊長は気づいているのか……)

 そう思考を巡らせながらカールディグスは、ひたすら気配を探る。

 「……そこかっ!?」

 そう言いカールディグスは手を頭上に掲げた。

 《聖雷-聖なる雷鳴よ 三名の対象者に裁きを!!》

 そう唱えると頭上に魔法陣が展開され三つに分かれる。その魔法陣は、倉庫右上の屋根、倉庫裏左で石塀の上、石塀の後ろ、三ヶ所に移動していった。
 移動したと同時に魔法陣から雷が放たれる。
 すると三ヶ所に潜んでいた敵へ雷があたり倒れていった。

 「フゥ―……なんとか倒せたか。でも、まだ安心はできない」

 そう言いカールディグスは再びハルリアをみながら周囲を警戒する。

 (カール……流石だ。やはり……オレが背中を任せられるのは、お前だけだ)

 敵と戦いながらその様子をみていたハルリアは、そう思い笑みを浮かべていた。