この世界グラバディウスの中央に位置するセリュウガ大陸に、リュコノグルと云う国がある。
 かつて……そう約二十五年前、この国を救った英雄と云われた聖剣士がいた。
 その聖剣士は、ハルリオン・ヴェグス、二十歳。元々この城の兵士である。
 ハルリオンは、国を襲った黒龍族を倒した。そのため英雄と云われるようになったのである。
 その後ハルリオンは、兵士長となり更に業績を上げていく。そんな中、弟子も数人できた。

 それから二十五年後ハルリオンは、一部の弟子や仲間と任務を遂行するため城をでる。
 しかしその後ハルリオンが、なぜか城に戻ることはなかった。
 一緒に向かった弟子や仲間の証言では、任務を完了させたあと行方不明になったという事だ。
 それを聞いた国王は、ハルリオンを探させる。だが……未だに、探し出せずにいた。

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 ここはリュコノグル国内にあるセルギスの森。そしてその森の中に家が、ポツンと一軒だけ立っている。
 その家の周囲は開拓されていて、小さいながら畑があった。それと家の脇には、稽古をするための場所もある。
 その場所には少女が居て、木の剣を持ち稽古をしていた。
 その剣さばきは見事なほどである。まるで実戦を経験したことがある者のような、凄い剣の扱い方だ。
 稽古を終えるとその少女は、近くにある木の椅子に股を広げ腰掛ける。

 「ふぅ〜、今日はこれくらいにしとくか。そろそろ、アイツらがくる頃だしな」

 そう言いその少女は、遠くをみつめた。
 その声は、可愛らしい。だが口調は、男のように乱暴な感じだ。
 見た目は十五歳の少女。しかし残念ながら中身は、四十五歳のオッサンである。
 そうこの少女は、元リュコノグル国の兵士長ハルリオンだ。
 赤混じりの銀色の長髪を後ろで縛っている。丸くて大きな瑠璃色の目で、笑うと特に可愛い。身長は約百六十センチだ。
 因みに現在、ハルリア・アルパスと名乗っている。

 (あれから二ヶ月も経つのか。たく……どうしたもんか。未だに慣れねぇ。ああ……こんな体じゃ、女にモテねぇよなぁ。野郎が寄って来ても、興味ねぇし。
 クソッ、あの時……油断さえしなきゃ。まさかこのオレが、あの女狐にハメられるとはな)

 そうハルリオンは、依頼者であるルセレナ・セリュムと云う女性に騙されたのだ。
 討伐の任務を完了したあと弟子や仲間と近くのカザビアの町にある宿屋に泊まった。
 その日、弟子や仲間たちと酒場で飲み食いする。そこにルセレナが居て、ハルリオン達に話しかけた。
 そうルセレナは話を聞いていたため、ハルリオンたちが城の者だと知ったからだ。
 そしてハルリオン達は、ルセレナから依頼を頼まれる。
 その依頼とは、この町の近隣の山の洞窟に住む三つ目鬼の討伐だ。
 だがハルリオンは、最初その依頼を断る。
 しかしルセレナに兄の仇をと泣きつかれたため了承した。
 その後ハルリオンたちは、ルセレナと共に近くの山の洞窟へと向かう。
 ハルリオンたちは苦戦するも、なんとか三つ目鬼の討伐を成功させる。
 するとルセレナは、三つ目鬼が護っていた宝の一個をハルリオンに渡した。だがそれは、ルセレナが予め用意していた物だ。
 それを受け取るとハルリオンは、ルセレナから中身を開けてみてと進められる。
 最初ハルリオンは、別の場所で開けると言った。
 だがルセレナは、中身がみたいとせがむ。
 弟子や仲間にもみたいと言われ、渋々開けてみる。
 すると魔法陣が展開され、虹色の光が放たれた。
 その光はハルリオンを覆い包んだ。ハルリオンは苦しさのあまり頭を抱え蹲る。
 弟子や仲間たちは、何が起きたのかと呆然と佇んでいた。
 その間ルセレナは、全ての宝物を異空間に放り込むと魔法を使いこの場から消える。
 その後ハルリオンを覆っていた光が消えた。
 弟子と仲間たちは目の前に居るハルリオンの姿をみて驚く。そして、何度も目を凝らしみる。
 そうそこには可愛い少女が一人、頭を抱え蹲っていたからだ。
 弟子と仲間たちはその少女、ハルリオンに問いかける。ハルリオンなのかと……。
 最初ハルリオンは、弟子や仲間たちが何を言っているのか理解できなかった。だが自分の姿をみて絶叫し気絶する。その後、弟子や仲間たちに介抱してもらった。
 そして意識が戻るとハルリオンは、この姿じゃ城に戻れないと頭を抱える。
 それならと弟子のひとりであるルミカ・クライグが、ある提案をしてきた。そう元に戻るまでの間、ルミカの家で管理しているセルギスの森にある空き家で暮らしてはどうかと。
 そういった経緯でハルリオンは、ここで暮らすことになったのだ。

 そして現在、ハルリオンは大欠伸をしたあと目を閉じる。その後、しばらく眠っていたのだった。