私は、涙を垂らしながら目覚めた。
 生乾きの嫌な臭いが私の鼻腔へ届き、寒くてしょうがないのに、体と心が火照っている。
 時計を見ると、四月六日深夜1時と表示された。風邪を引いたらしい。寒気に熱まである。
 夢の内容はおぼろげにしか覚えていないけど何故か涙が流れ出てくる。何かが満たされた気がするのに思い出せない。
  寝ている間に文箱をベットから落としてしまったらしい。手紙が床に落ち散乱しているが、私には手紙たちはそれに歓喜の声をあげている気がした。私は、寝る前読んでいたの手紙を拾い上げ眺めた。
「 さて、本題ですが、明後日の4月10日ですがきっといいことがあります。優しいあなたには苦しいかも、ですが、あなたの事を理解してくれる友達や彼氏に出会いがいつかはあって、きっと楽しく過ごせます。だからそんなに自分を責めないで。自分に自信をもって。」
「4月9日 私より」
 ここに、自分への手紙を書くと自分が文章で出てきて、客観的に自分を見て肯定することができた。
 そうして、自分への手紙を書き続けてきた。そんなむなしいことだったけど。
 何故か、今ものすごく、心が、物凄く熱い。自分にのしかかる重さも、淋しさも、息苦しさ、恐怖もそれらで私を封じ込める殻も全てその暑さで溶けていくようだ。
 とにかく、心が熱くてしょうがない。体はだるくて寒気がするのに、書きたい。
 今の自分の気持ちを自分に、誰かに、今の自分を認めてあげれるように。
 私は、毛布にくるまりながら、荒れている勉強机へと向かい、便箋を取りペンを手に持ってただがむしゃらに書き始めた。
 自分でも何を書いているか、分からなかった。
 公園で雨を受けていた菜の花はどうなったのだろう。明日には晴れた空と共に黄色い花を咲かせることは出来るのだろうか。