「クックック……」
徐々に笑いは大きくなり、邪悪な影がシアンの笑みを染めていく。
「はっはっはーー!」
大笑いするシアンはバッと立ち上がると、クォンタムタワーに向け思いっきり中指を立てた。
「出来損ないの分際で僕のお気に入りを壊しやがったな……、ギルティ? 久しぶりに……、本・気……出しちゃおっか……なぁぁぁああ!!」
刹那、シアンの青い髪がブワッと総毛立ち、碧かった瞳が燃えるようなルビー色に輝いた。
シアンは左手の甲に人差し指でシュッシュと不思議な模様を描く。直後、ヴゥンと空中にホログラム画面が浮かび上がる。画面にはキラキラと3Dマップやレーダー像がオーバーラップして表示され、シアンは指先で器用にそれらを操作していった。
「出来損ないちゃーん! あがいたって無駄だよぉ、きゃははは!」
ヒュン、ヒューーン……。
不気味な音を立てながらシアンのところへ次々と巨大な爆弾が降り注いでくる――――。
直後、激しい爆発がシアンのあたりを襲い、激烈な爆炎と衝撃波が風の塔の基盤を爆砕し、鉄骨がバラバラと吹き飛んでいく。その圧倒的な破壊力に巨大な風の塔も崩れ落ちていった。
辺りは爆煙に覆われ、巨大な灼熱のキノコ雲がゆったりと立ち上がっていく。
と、その時、爆煙の中から青白く光るこぶしが無数飛び出した。青く輝く微粒子を振りまきながらこぶしはググッと一斉に何かに向けて旋回し、一直線に青空へとすっ飛んでいく。
こぶしは遠くを回避飛行中だった戦闘機の編隊に向け、まばゆい輝きを放ちながら一気に加速していった。
やがて次々と着弾。大爆発を起こし、全てを粉々に吹き飛ばした。跡には激しく燃え上がる爆炎、そこからバラバラと部品が辺りに飛び散っていく。
「きゃははは! 畳みかけるぞ! レヴィア! 来い!」
楽しそうなシアンの姿が、風の塔の残骸を覆う爆煙の中から現れる。傷一つないシアンは折れた鉄骨の先端に立ち、いたずらっ子の笑みを浮かべながらホログラム画面にキュキュっと指先で不思議な絵を描いた。
まるで別世界からの使者のように、青空に突如として現れた鮮烈な真紅に輝く巨大な円。その中心には光り輝く六芒星が浮かび上がり、さらに複雑な幾何学模様が次々と加えられ刻一刻と形を変えていく。そして、古代の伝説を彷彿とさせるルーン文字が、円周に沿って神秘的に刻まれていった。
ボウっと怪しい紫色のオーラを放ちながら、中の六芒星がぐるっと回ったかと思うと激しい黄金色の輝きを放つ。それは実に精巧で力強い魔法陣だった。
輝きの中から漆黒の鱗に覆われた巨大な生物が、壮大な翼をゆったりとはばたかせながら現われた。
ギュアァァァ!
その巨大な存在は、激しい怒りを込めて、地響きのような重低音で咆哮し、辺り一帯にその力を誇示した。
「我を呼ぶのは誰か!? いきなり呼び出すとはどういう了見じゃ! 姿を見せんか!」
旅客機サイズの巨大な体躯を覆う鋭いとげを持つ鱗、そして巨大な口から覗く鋭い牙、それは伝説に謳われたドラゴンだった。ドラゴンは怒りに叫びながら燃えるような真紅の瞳を輝かせ、辺りを睥睨した。
「おぅ! レヴィアちゃん、久しぶりぃ!」
シアンは楽しそうに手を振ってドラゴンを迎える。
ドラゴンはシアンを見つけると、真紅の瞳をキュッと縮めビクッと巨体を震わせた。
「ヴッ! シ、シアン様……。た、大変に失礼いたしました! お、呼びいただき光栄でございます……」
慌ててシアンの元に駆けつけてこうべを垂れるドラゴン。
「うんうん、ちょっと目障りな出来損ないがいるんで焼き払ってくれる?」
シアンはニコニコしながらクォンタムタワーを指さした。
「や、焼き払う……って、ここ日本……じゃないですか? いいんですか? ドラゴンは許可されてなかったような……」
「ん? 誰の許可? 僕がいいって……言ってるんだよ?」
小首をかしげるシアンの真紅の瞳は、狩りをする獣のように鋭く光りレヴィアを射抜いた。その瞬間、レヴィアは身の危険を感じて震え上がり、身を縮めて頭を下げた。
「し、失言でした……。なにとぞご容赦を……。で、焼き払うというのは……?」
「あれ、見える?」
シアンが指さす方向には、はるか遠くに軍艦の姿があり、いくつものミサイルが白い航跡を引きながら一直線にこちらに向かっているのが見えた。
「へっ? ミ、ミサイル!?」
「そう。軍艦が乗っ取られちゃってるんだよね。ちょっと僕を乗せてあいつ焼き払って」
「もう来ちゃうじゃないですか! 急いで乗ってください!」
「ほいきた! まずはあの軍艦を潰すぞー!」
レヴィアは慌てて頭を下げ、シアンは鱗のトゲをつかむとヒョイっと後頭部に飛び乗った。
「落ちないでくださいよ!」
レヴィアはそう言うと、急いで巨大な翼を力強く羽ばたかせながら上空へと舞い上がっていく。
直後、90式艦対艦誘導弾が次々と風の塔に着弾し、大爆発を起こす。
「ぐわぁ!」「きゃははは!」
激しい衝撃波が直撃し、レヴィアはバランスを崩してしまう。かろうじて海面の上にのぞいていた風の塔の基礎も完全に崩壊し、海の中へと崩落していった。
徐々に笑いは大きくなり、邪悪な影がシアンの笑みを染めていく。
「はっはっはーー!」
大笑いするシアンはバッと立ち上がると、クォンタムタワーに向け思いっきり中指を立てた。
「出来損ないの分際で僕のお気に入りを壊しやがったな……、ギルティ? 久しぶりに……、本・気……出しちゃおっか……なぁぁぁああ!!」
刹那、シアンの青い髪がブワッと総毛立ち、碧かった瞳が燃えるようなルビー色に輝いた。
シアンは左手の甲に人差し指でシュッシュと不思議な模様を描く。直後、ヴゥンと空中にホログラム画面が浮かび上がる。画面にはキラキラと3Dマップやレーダー像がオーバーラップして表示され、シアンは指先で器用にそれらを操作していった。
「出来損ないちゃーん! あがいたって無駄だよぉ、きゃははは!」
ヒュン、ヒューーン……。
不気味な音を立てながらシアンのところへ次々と巨大な爆弾が降り注いでくる――――。
直後、激しい爆発がシアンのあたりを襲い、激烈な爆炎と衝撃波が風の塔の基盤を爆砕し、鉄骨がバラバラと吹き飛んでいく。その圧倒的な破壊力に巨大な風の塔も崩れ落ちていった。
辺りは爆煙に覆われ、巨大な灼熱のキノコ雲がゆったりと立ち上がっていく。
と、その時、爆煙の中から青白く光るこぶしが無数飛び出した。青く輝く微粒子を振りまきながらこぶしはググッと一斉に何かに向けて旋回し、一直線に青空へとすっ飛んでいく。
こぶしは遠くを回避飛行中だった戦闘機の編隊に向け、まばゆい輝きを放ちながら一気に加速していった。
やがて次々と着弾。大爆発を起こし、全てを粉々に吹き飛ばした。跡には激しく燃え上がる爆炎、そこからバラバラと部品が辺りに飛び散っていく。
「きゃははは! 畳みかけるぞ! レヴィア! 来い!」
楽しそうなシアンの姿が、風の塔の残骸を覆う爆煙の中から現れる。傷一つないシアンは折れた鉄骨の先端に立ち、いたずらっ子の笑みを浮かべながらホログラム画面にキュキュっと指先で不思議な絵を描いた。
まるで別世界からの使者のように、青空に突如として現れた鮮烈な真紅に輝く巨大な円。その中心には光り輝く六芒星が浮かび上がり、さらに複雑な幾何学模様が次々と加えられ刻一刻と形を変えていく。そして、古代の伝説を彷彿とさせるルーン文字が、円周に沿って神秘的に刻まれていった。
ボウっと怪しい紫色のオーラを放ちながら、中の六芒星がぐるっと回ったかと思うと激しい黄金色の輝きを放つ。それは実に精巧で力強い魔法陣だった。
輝きの中から漆黒の鱗に覆われた巨大な生物が、壮大な翼をゆったりとはばたかせながら現われた。
ギュアァァァ!
その巨大な存在は、激しい怒りを込めて、地響きのような重低音で咆哮し、辺り一帯にその力を誇示した。
「我を呼ぶのは誰か!? いきなり呼び出すとはどういう了見じゃ! 姿を見せんか!」
旅客機サイズの巨大な体躯を覆う鋭いとげを持つ鱗、そして巨大な口から覗く鋭い牙、それは伝説に謳われたドラゴンだった。ドラゴンは怒りに叫びながら燃えるような真紅の瞳を輝かせ、辺りを睥睨した。
「おぅ! レヴィアちゃん、久しぶりぃ!」
シアンは楽しそうに手を振ってドラゴンを迎える。
ドラゴンはシアンを見つけると、真紅の瞳をキュッと縮めビクッと巨体を震わせた。
「ヴッ! シ、シアン様……。た、大変に失礼いたしました! お、呼びいただき光栄でございます……」
慌ててシアンの元に駆けつけてこうべを垂れるドラゴン。
「うんうん、ちょっと目障りな出来損ないがいるんで焼き払ってくれる?」
シアンはニコニコしながらクォンタムタワーを指さした。
「や、焼き払う……って、ここ日本……じゃないですか? いいんですか? ドラゴンは許可されてなかったような……」
「ん? 誰の許可? 僕がいいって……言ってるんだよ?」
小首をかしげるシアンの真紅の瞳は、狩りをする獣のように鋭く光りレヴィアを射抜いた。その瞬間、レヴィアは身の危険を感じて震え上がり、身を縮めて頭を下げた。
「し、失言でした……。なにとぞご容赦を……。で、焼き払うというのは……?」
「あれ、見える?」
シアンが指さす方向には、はるか遠くに軍艦の姿があり、いくつものミサイルが白い航跡を引きながら一直線にこちらに向かっているのが見えた。
「へっ? ミ、ミサイル!?」
「そう。軍艦が乗っ取られちゃってるんだよね。ちょっと僕を乗せてあいつ焼き払って」
「もう来ちゃうじゃないですか! 急いで乗ってください!」
「ほいきた! まずはあの軍艦を潰すぞー!」
レヴィアは慌てて頭を下げ、シアンは鱗のトゲをつかむとヒョイっと後頭部に飛び乗った。
「落ちないでくださいよ!」
レヴィアはそう言うと、急いで巨大な翼を力強く羽ばたかせながら上空へと舞い上がっていく。
直後、90式艦対艦誘導弾が次々と風の塔に着弾し、大爆発を起こす。
「ぐわぁ!」「きゃははは!」
激しい衝撃波が直撃し、レヴィアはバランスを崩してしまう。かろうじて海面の上にのぞいていた風の塔の基礎も完全に崩壊し、海の中へと崩落していった。