「やっ! ……うっ!」
「ルフォママすごい!」
「ルフォン助かったよ、ありがとう!」
「いててぇ〜無事ならよかったけど気をつけて」
ルフォンもラストを見習って槍をウニの側面に突き刺した。
けれどそれじゃすぐにウニの回転も突撃も止まらず持っていた槍の方が回転し始める。
手を持っていかれそうになって放したけれど、手のひらが擦れて赤くなる。
深々と槍が刺さったまま壁にぶつかったウニは動かなくなったが、動くウニを突き刺すことは危険そうだと分かった。
「ウニのくせに!」
リュードが飛んでくるウニに合わせて思い切り剣を振り下ろす。
針と剣がぶつかるひどい音がするが、今度はパワーもスピードも乗った剣にウニがそのまま地面に剣で押さえつけられる。
均衡は一瞬で、ウニの回転が強制的に止められてリュードの剣がウニの針ごとウニを真っ二つに切断した。
リュードの剣はドワーフ特性だ。
ウニの針ごときでダメになる一本ではない。
「ここを、こう!」
側面を攻撃すればいい。
他の冒険者にはちょっと難易度が高くて怪我の危険性があるので、リュードが引き受ける。
回転していない側面をリュードが剣で攻撃するとウニは針をクロスさせて防ごうとする。
結果的にリュードの剣は防げるのだけど、壁に横から叩きつけられてウニの動きが止まる。
その隙を狙って動き出される前に冒険者たちがウニを倒すのだ。
相変わらず近いものを攻撃する習性は変わらないので、対策は立てやすかった。
「ちょ、もー分かりにくい……」
ウニを倒して一息つく。
ラストは矢の回収をするのだけど、なんせトゲトゲしているウニ相手では矢がどこに刺さってるのかも分かりにくい。
「はい!」
「ありがとう、コユキちゃん」
他の冒険者たちはギリギリでの回避だったので結構細かい切り傷とかが多くて、コユキがせっせとみんなのことも治していた。
もしかして治されたくてわざと少しだけケガしている説もリュードの中で疑いがあったけど、一歩間違えれば大怪我なのにそんなことするはずないかと思い直す。
「まあ予想はしてたけど……予想外」
「ゴホン……あれはルデガシダですね! 海の中に住んでいる蔓のような魔物です」
もう魔物の解説しかやることがないナガーシャはここぞとばかりに口を出す。
水系の魔物しか出ないので、ナガーシャの水魔法が通じず魔法での支援も出来ないので解説しか手伝えることがないのだ。
ウニを倒しながら進むとさらに魔物が増えた。
魔物が増えることは予想していたけど、どんな魔物が出るのかリュードは頭の中で想像を広げていた。
どんな海産物が出てくるか期待に胸を膨らませていたと言ってもいい。
そして出てきたのは黒い塊だった。
「……よく知ってるよな」
「水棲の魔物には詳しいのです!」
なんでも聞いてくださいと胸を張るナガーシャ。
サッと見ただけでなんの魔物か判別できる能力はすごい。
「あれなんなのかもうちょい教えてくれるか?」
リュードは黒い塊を指差す。
ぬらぬらと濡れたような見た目をした黒い塊は、なにかをぎゅっと固めたように見える。
「ルデガシダは海の底に住んでいましてツタにも似た触手を使って攻撃などしてきます。地上でもそうしたツタの魔物は存在していますがそうしたものの亜種ですかね。触手はしなやかで意外と強力ですよ」
ドヤ顔で説明するナガーシャ。
説明を終えて一仕事終えた感を出している。
そうした情報もいいけど倒し方とかも教えて欲しいものだ。
「触手……あーなるほど」
リュードたちに気がついてルデガシダが動き出した。
伸ばされる触手を見て、その正体が分かった。
「コンブね、あれ」
シュルシュルと動き出した触手はどう見てもコンブだった。
平時は丸く固まっているのかただの塊に見えたが、触手を伸ばすとそれはまごうことなきコンブなのである。
「うおっと!」
リュードはコンブの動きを観察する。
うにょうにょと触手を動かしているけど、離れているためか襲いかかってくる気配はない。
ホタテと同じく動く機能がないのかもしれない。
試しにもうちょっと近づいてみようかと思った瞬間、コンブの影からウニが飛び出してきた。
咄嗟に回避したけれど、かわしきれずに頬をかすめて軽く血がにじむ。
完全に黒いコンブの塊の影になっていて気づかなかった。
ズルい作戦である。
「治す!」
けれどもそんな傷も一瞬で治ってしまう。
コユキの神聖力による治療である。
「コユキ、ありがとう」
「ふすー!」
リュードの言葉にコユキは鼻息荒くうなずく。
例え紙で指を切ってもリュードが相手ならコユキは治してくれるだろう。
「みんな気をつけろ! コンブの後ろにいるぞ!」
そうしてよく見ると他にもいるコンブの塊の影にウニがいることに気づいた。
コンブの影から次々とウニが飛び出してくる。
どうにもウニがいないと思った。
「お前ら食べられる側だろ!」
ウニとコンブ。
前世的な考え方ではコンブはウニにとってゴハンになる。
自然の世界ではそのような関係であるはずなのに、ここでは仲良く共闘している。
「リューちゃん後ろ!」
「むっ!」
リュードは振り返り様に剣を薙ぎ払いウニを弾き飛ばす。
「ルフォママすごい!」
「ルフォン助かったよ、ありがとう!」
「いててぇ〜無事ならよかったけど気をつけて」
ルフォンもラストを見習って槍をウニの側面に突き刺した。
けれどそれじゃすぐにウニの回転も突撃も止まらず持っていた槍の方が回転し始める。
手を持っていかれそうになって放したけれど、手のひらが擦れて赤くなる。
深々と槍が刺さったまま壁にぶつかったウニは動かなくなったが、動くウニを突き刺すことは危険そうだと分かった。
「ウニのくせに!」
リュードが飛んでくるウニに合わせて思い切り剣を振り下ろす。
針と剣がぶつかるひどい音がするが、今度はパワーもスピードも乗った剣にウニがそのまま地面に剣で押さえつけられる。
均衡は一瞬で、ウニの回転が強制的に止められてリュードの剣がウニの針ごとウニを真っ二つに切断した。
リュードの剣はドワーフ特性だ。
ウニの針ごときでダメになる一本ではない。
「ここを、こう!」
側面を攻撃すればいい。
他の冒険者にはちょっと難易度が高くて怪我の危険性があるので、リュードが引き受ける。
回転していない側面をリュードが剣で攻撃するとウニは針をクロスさせて防ごうとする。
結果的にリュードの剣は防げるのだけど、壁に横から叩きつけられてウニの動きが止まる。
その隙を狙って動き出される前に冒険者たちがウニを倒すのだ。
相変わらず近いものを攻撃する習性は変わらないので、対策は立てやすかった。
「ちょ、もー分かりにくい……」
ウニを倒して一息つく。
ラストは矢の回収をするのだけど、なんせトゲトゲしているウニ相手では矢がどこに刺さってるのかも分かりにくい。
「はい!」
「ありがとう、コユキちゃん」
他の冒険者たちはギリギリでの回避だったので結構細かい切り傷とかが多くて、コユキがせっせとみんなのことも治していた。
もしかして治されたくてわざと少しだけケガしている説もリュードの中で疑いがあったけど、一歩間違えれば大怪我なのにそんなことするはずないかと思い直す。
「まあ予想はしてたけど……予想外」
「ゴホン……あれはルデガシダですね! 海の中に住んでいる蔓のような魔物です」
もう魔物の解説しかやることがないナガーシャはここぞとばかりに口を出す。
水系の魔物しか出ないので、ナガーシャの水魔法が通じず魔法での支援も出来ないので解説しか手伝えることがないのだ。
ウニを倒しながら進むとさらに魔物が増えた。
魔物が増えることは予想していたけど、どんな魔物が出るのかリュードは頭の中で想像を広げていた。
どんな海産物が出てくるか期待に胸を膨らませていたと言ってもいい。
そして出てきたのは黒い塊だった。
「……よく知ってるよな」
「水棲の魔物には詳しいのです!」
なんでも聞いてくださいと胸を張るナガーシャ。
サッと見ただけでなんの魔物か判別できる能力はすごい。
「あれなんなのかもうちょい教えてくれるか?」
リュードは黒い塊を指差す。
ぬらぬらと濡れたような見た目をした黒い塊は、なにかをぎゅっと固めたように見える。
「ルデガシダは海の底に住んでいましてツタにも似た触手を使って攻撃などしてきます。地上でもそうしたツタの魔物は存在していますがそうしたものの亜種ですかね。触手はしなやかで意外と強力ですよ」
ドヤ顔で説明するナガーシャ。
説明を終えて一仕事終えた感を出している。
そうした情報もいいけど倒し方とかも教えて欲しいものだ。
「触手……あーなるほど」
リュードたちに気がついてルデガシダが動き出した。
伸ばされる触手を見て、その正体が分かった。
「コンブね、あれ」
シュルシュルと動き出した触手はどう見てもコンブだった。
平時は丸く固まっているのかただの塊に見えたが、触手を伸ばすとそれはまごうことなきコンブなのである。
「うおっと!」
リュードはコンブの動きを観察する。
うにょうにょと触手を動かしているけど、離れているためか襲いかかってくる気配はない。
ホタテと同じく動く機能がないのかもしれない。
試しにもうちょっと近づいてみようかと思った瞬間、コンブの影からウニが飛び出してきた。
咄嗟に回避したけれど、かわしきれずに頬をかすめて軽く血がにじむ。
完全に黒いコンブの塊の影になっていて気づかなかった。
ズルい作戦である。
「治す!」
けれどもそんな傷も一瞬で治ってしまう。
コユキの神聖力による治療である。
「コユキ、ありがとう」
「ふすー!」
リュードの言葉にコユキは鼻息荒くうなずく。
例え紙で指を切ってもリュードが相手ならコユキは治してくれるだろう。
「みんな気をつけろ! コンブの後ろにいるぞ!」
そうしてよく見ると他にもいるコンブの塊の影にウニがいることに気づいた。
コンブの影から次々とウニが飛び出してくる。
どうにもウニがいないと思った。
「お前ら食べられる側だろ!」
ウニとコンブ。
前世的な考え方ではコンブはウニにとってゴハンになる。
自然の世界ではそのような関係であるはずなのに、ここでは仲良く共闘している。
「リューちゃん後ろ!」
「むっ!」
リュードは振り返り様に剣を薙ぎ払いウニを弾き飛ばす。


