「パパ強い!」
電撃をくらってリュードたちに近い立ち位置のリザードマンたちが、自分の意思とは関係なくビクビクと体を震わせる。
同時にみんなも一斉に痺れているリザードマンに攻撃する。
「やったれー!」
冒険者たちは手近なところからリザードマンを倒していっている。
ラストは冷静に相手を見て、装備品がちゃんとしているリザードマン、つまりは戦士リザードマンを優先して狙っていた。
流石にリュードでも床に薄く広がった水を介して全てのリザードマンを痺れさせることはできない。
体も大きくリュードの位置から1番遠い戦士長リザードマンには、ピリリとした違和感がある程度にしか電撃を感じなかった。
けれどもその違和感を無視することなく、扉を叩きつけることをやめて振り返った。
すると仲間が襲われているではないか。
戦士長リザードマンが雄叫びを上げると動揺で混乱していたリザードマンたちが正気に戻る。
「ルフォン、ラスト、道を開けてくれ!」
「分かった!」
「任せて!」
この戦いにおけるリザードマンの中心は戦士長リザードマンだ。
倒さなければ相手の精神的な支柱となり、倒せれば戦いが楽に進められる。
リュードは先に戦士長リザードマンを倒すことにした。
ルフォンとラストが攻撃を強めてリュードの邪魔をする敵を倒す。
相手が割れる一瞬の隙をついて、リュードはリザードマンの間を抜けて戦士長リザードマンの所に向かう。
「邪魔だ!」
途中でリュードを止めようとリュードに切り掛かったリザードマンを殴り飛ばして、戦士長リザードマンの前に躍り出た。
「見せてやるよ、本物の竜人族の力ってやつをよ!」
リュードは魔人化する。
竜人族の中では比較的リザードマンに対する感情が薄いと言えるが、全く何も思っていないわけじゃない。
リザードマンよりもシャープで凛々しくて、カッコよくて美しい竜人の姿になる。
リュードは戦士長リザードマンに切りかかる。
その決着はあっけないほどだった。
「はああああっ!」
理由は二つ。
一つはリュードが戦士長リザードマンと一人で戦おうとしているのを見て、ニャロとコユキが二人同時にリュードを強化支援したこと。
聖者と聖者級の二人の強化支援を受け、魔人化したリュードを止められる人なんてまずいない。
もう一つの理由は戦士長リザードマンが全くの無防備にリュードの攻撃を受けたことである。
戦士長リザードマンは真っ直ぐにリュードの方を見つめたまま剣を受けた。
まるで少年のような輝いた目でもって、リュードのことを見ていたのである。
魔物に近いリザードマンでも、いや、魔物に近いリザードマンであるからこそ魔人族の見た目に大きく心を奪われてしまったのである。
黒い剣を振るうリュードの姿を首を切られた後も熱がこもった視線で見続けていた。
「……なんだか罪悪感も感じるな」
聖者二人分の強化支援と憧れを目の前にして動けなくなった戦士長リザードマンと、リュードに有利な理由が重なった。
なんの苦労もなく勝負がついてしまった。
あまりにも純粋な目を向けてくるものだからリュードも後味の悪さを感じてしまう。
今後蜥蜴人族に会うことがあったら優しくしてあげようと思った。
「う、わー……神さまー」
「やめれぇ、ラスト」
戦士長すらあっさりと倒し、戦士長すら憧れしまうような美しさの竜人族を他のリザードマンたちが見たらどうなるか。
凄いことになる。
戦士長リザードマンを倒して振り向いたリュードの目の前にはとんでもない光景が広がっていた。
リザードマンたちは武器を投げ捨ててリュードに向かって平伏し始めている。
「えぇ……」
別にこんな結果を予想して魔人化したんじゃないとリュードは困惑する。
何かをリザードマンたちが言っているけど、リザードマンたちの言葉はリュードには分からない。
思いもよらない光景にみんな遠巻きに引いている。
どうしようもない状況にリュードは少し泣きたい気持ちになる。
「た、戦う気がないなら帰ってくれないか?」
リュードの言葉が伝わったのかわからない。
「お、おおっ!?」
「み、みんなどけましょう!」
けれど帰れと言ったらリザードマンたちはザワザワとなって、そしてゾロゾロと帰っていく。
みんな慌てて道を開ける。
帰ってくれたのだから、言葉が通じていたのだろうと思う。
なんとも言いようのない結末だ。
リザードマンの方が竜人族にどんな思いを抱いているのかがよく分かった気がする。
「パパ偉い!」
「リュードはリザードマンの神だったかにゃ……」
「嬉しくともなんともないわい!」
平伏して何かを言っているリザードマンには、リュードも恐怖を覚えた。
ともかくリザードマンを追い払うことには成功した。
「リザードマンの方は竜人族に憧れてるなんてよく言うけど本当なんだね」
「大人の冗談だと思ってたよ」
「私も」
「リザードマンの話なんて私は聞いたことないけどね」
なんだかんだとリザードマンの話は竜人族の間で出てくる。
リザードマンが竜人族に憧れている話も一般的なものではなく、竜人族の間で言われていることだった。
ルフォンも竜人族がいる村の出身なので当然聞いたことがある話だけど、他の人にとっては初耳だった。
そもそも周りの人にとってみれば、リュードが魔人化したのにも驚いた。
ただリザードマンが竜人族に憧れているという話はウソではなかったと今分かったのである。
電撃をくらってリュードたちに近い立ち位置のリザードマンたちが、自分の意思とは関係なくビクビクと体を震わせる。
同時にみんなも一斉に痺れているリザードマンに攻撃する。
「やったれー!」
冒険者たちは手近なところからリザードマンを倒していっている。
ラストは冷静に相手を見て、装備品がちゃんとしているリザードマン、つまりは戦士リザードマンを優先して狙っていた。
流石にリュードでも床に薄く広がった水を介して全てのリザードマンを痺れさせることはできない。
体も大きくリュードの位置から1番遠い戦士長リザードマンには、ピリリとした違和感がある程度にしか電撃を感じなかった。
けれどもその違和感を無視することなく、扉を叩きつけることをやめて振り返った。
すると仲間が襲われているではないか。
戦士長リザードマンが雄叫びを上げると動揺で混乱していたリザードマンたちが正気に戻る。
「ルフォン、ラスト、道を開けてくれ!」
「分かった!」
「任せて!」
この戦いにおけるリザードマンの中心は戦士長リザードマンだ。
倒さなければ相手の精神的な支柱となり、倒せれば戦いが楽に進められる。
リュードは先に戦士長リザードマンを倒すことにした。
ルフォンとラストが攻撃を強めてリュードの邪魔をする敵を倒す。
相手が割れる一瞬の隙をついて、リュードはリザードマンの間を抜けて戦士長リザードマンの所に向かう。
「邪魔だ!」
途中でリュードを止めようとリュードに切り掛かったリザードマンを殴り飛ばして、戦士長リザードマンの前に躍り出た。
「見せてやるよ、本物の竜人族の力ってやつをよ!」
リュードは魔人化する。
竜人族の中では比較的リザードマンに対する感情が薄いと言えるが、全く何も思っていないわけじゃない。
リザードマンよりもシャープで凛々しくて、カッコよくて美しい竜人の姿になる。
リュードは戦士長リザードマンに切りかかる。
その決着はあっけないほどだった。
「はああああっ!」
理由は二つ。
一つはリュードが戦士長リザードマンと一人で戦おうとしているのを見て、ニャロとコユキが二人同時にリュードを強化支援したこと。
聖者と聖者級の二人の強化支援を受け、魔人化したリュードを止められる人なんてまずいない。
もう一つの理由は戦士長リザードマンが全くの無防備にリュードの攻撃を受けたことである。
戦士長リザードマンは真っ直ぐにリュードの方を見つめたまま剣を受けた。
まるで少年のような輝いた目でもって、リュードのことを見ていたのである。
魔物に近いリザードマンでも、いや、魔物に近いリザードマンであるからこそ魔人族の見た目に大きく心を奪われてしまったのである。
黒い剣を振るうリュードの姿を首を切られた後も熱がこもった視線で見続けていた。
「……なんだか罪悪感も感じるな」
聖者二人分の強化支援と憧れを目の前にして動けなくなった戦士長リザードマンと、リュードに有利な理由が重なった。
なんの苦労もなく勝負がついてしまった。
あまりにも純粋な目を向けてくるものだからリュードも後味の悪さを感じてしまう。
今後蜥蜴人族に会うことがあったら優しくしてあげようと思った。
「う、わー……神さまー」
「やめれぇ、ラスト」
戦士長すらあっさりと倒し、戦士長すら憧れしまうような美しさの竜人族を他のリザードマンたちが見たらどうなるか。
凄いことになる。
戦士長リザードマンを倒して振り向いたリュードの目の前にはとんでもない光景が広がっていた。
リザードマンたちは武器を投げ捨ててリュードに向かって平伏し始めている。
「えぇ……」
別にこんな結果を予想して魔人化したんじゃないとリュードは困惑する。
何かをリザードマンたちが言っているけど、リザードマンたちの言葉はリュードには分からない。
思いもよらない光景にみんな遠巻きに引いている。
どうしようもない状況にリュードは少し泣きたい気持ちになる。
「た、戦う気がないなら帰ってくれないか?」
リュードの言葉が伝わったのかわからない。
「お、おおっ!?」
「み、みんなどけましょう!」
けれど帰れと言ったらリザードマンたちはザワザワとなって、そしてゾロゾロと帰っていく。
みんな慌てて道を開ける。
帰ってくれたのだから、言葉が通じていたのだろうと思う。
なんとも言いようのない結末だ。
リザードマンの方が竜人族にどんな思いを抱いているのかがよく分かった気がする。
「パパ偉い!」
「リュードはリザードマンの神だったかにゃ……」
「嬉しくともなんともないわい!」
平伏して何かを言っているリザードマンには、リュードも恐怖を覚えた。
ともかくリザードマンを追い払うことには成功した。
「リザードマンの方は竜人族に憧れてるなんてよく言うけど本当なんだね」
「大人の冗談だと思ってたよ」
「私も」
「リザードマンの話なんて私は聞いたことないけどね」
なんだかんだとリザードマンの話は竜人族の間で出てくる。
リザードマンが竜人族に憧れている話も一般的なものではなく、竜人族の間で言われていることだった。
ルフォンも竜人族がいる村の出身なので当然聞いたことがある話だけど、他の人にとっては初耳だった。
そもそも周りの人にとってみれば、リュードが魔人化したのにも驚いた。
ただリザードマンが竜人族に憧れているという話はウソではなかったと今分かったのである。


