「魔物だ!」
入った先はエントランスホールであった。
中もちゃんと城っぽいのだなとリュードは感心してしまう。
奇襲はなかったが広いホールには魔物がいた。
手足の生えた二足歩行の魚のような魔物のマーマンである。
先が三叉に分かれた槍を持っていてリュードたちを見るなり襲いかかってきた。
「えいっ!」
特に恐れる相手ではない。
水中ならば脅威ともなろうが、地上であればゴブリンに毛が生えた程度の相手でしかない。
ラストの矢がいとも簡単にマーマンの頭に突き刺さる。
魔力を込めなくても容易く深く刺さるので、体力や魔力の消耗もない。
それなりに数はいたが、他の冒険者たちも苦労せずマーマンを倒していっている。
ヴァネルア周辺には時々マーマンも出る。
なので冒険者たちも戦った経験がある。
仮に経験がなくても難しい相手じゃない。
仲間の叫び声を聞きつけてさらにマーマンが集まってくるが、数もそんなに問題にはならなかった。
「コーユキちゃーん、こっちもー」
「ダーメ」
「えー……わかったよぅ」
苦戦どころか余裕の戦い。
コユキに強化支援してほしい人がコユキに手を振って見せるけれど、当然強化支援の優先はリュードたちの方になる。
練習として色々な強化を試したりするが、薄くみんなを支援するのも大変なのでコユキは負担にならないようにリュード、ルフォン、ラストを中心に強化している。
みんなもリュードたちが優先なのは分かってはいるけど、とりあえずコユキにお願いはしてみるのだ。
コユキの機嫌がよければ強化してもらえないこともないのである。
ニャロは神聖力を温存して治療をメインに視野を広く持って周りを見ている。
コユキが魔物に近づいたり近づかれすぎたりしないようにも気を使ってくれている。
神聖力の支援をしていると自分の立ち位置なんかも忘れがちになってしまう。
気をつけてくれるのはとてもありがたい。
「これで最後!」
ルフォンがマーマンの首をスパッと切り落とす。
マーマンの死体があちこちに転がっているが、リュードたちに重傷者はいない。
「ふーん……なかなか気持ち悪い見た目をしてるな」
リュードはマーマンの死体を観察する。
マーマンは手足はあるけれど、目の前で横たわっている様子を見るに魚に近い。
でも手足があるとやはり魚とは違う奇妙で、気味の悪い造形だとリュードはマーマンを見て思う。
「魔物の気配はありますか?」
「いや近くにはなさそうだ」
魔法使いが魔法で近くの魔物を捜索する。
割とゾロゾロ集まってきていたので、近くにはもう魔物はいないみたいだった。
「もういい時間ですしここで休みましょう」
リーダーである女性冒険者が、ここで野営することを提案した。
なかなか難しい判断だと思う。
外はかなり日が落ちてきている。
城の大きさに惑わされて、案外近いと城の近くまで寄ってみたけれど、意外と遠くて時間がかかってしまった。
本来なら近づく前に野営して朝から行動すべきであった。
けれどもこの異常にいつ変化が起こるのかもわからない。
次の日になると、城から水が噴き出している可能性もある。
そうなると城には近づけない。
同様の理由で城の外に野営するのもはばかられた。
水が噴き出た時に城の外では安全だと言えないからだ。
「常に警戒は怠らないように!」
となると城の中で野営することになるのだけど、魔物がいてしまったので城の中もまた安全とは言えなくなった。
ただし外でも魔物の脅威があるので変わらないといえば変わらない。
でもここらへんの判断は難しいところだとリュードは思った。
ただ今はコユキもいるし、ミルトなんかも冒険者じゃないので大きな無理はさせられない。
見張りを増やすなどして高い警戒を保ちながら休むしかないと判断した。
「眠い……」
「疲れたようだな」
「今日は結構頑張ってたもんにゃ」
眠たそうに目をこするコユキを見れば誰もこのまま進もうなどとは言えない。
若干のコユキ優先もあるが、間違った判断でないのでみんな大人しく従う。
魔物の死体が近くにあるのは気になるけど、安全なんだな場所を探す時間もない。
デカい城のエントランスホールは広いので、魔物の死体を隅に集めて、離れた場所にテントを張る。
「さすがだな……」
今宵のメインディッシュはマーマンソテー。
何人かの冒険者が捌いてくれたものをじっくり焼き上げたものである。
魔物は毒を持っているものでないなら意外と食べられる。
強い魔力を持つものほど美味とされるが、マーマンの肉質はほぼ魚と同等。
いや、もうマーマンは魚である。
一応魔物であるので火は通さなきゃいけない。
なのでルフォンがソテーしてくれた。
「いただきます……」
ソテー前の状態が、少し顔を上げれば見えるところにある。
それを考えるとためらわれてしまうが、みんなはマーマン普通の魚よりも美味いという。
魔力を持っている方が美味いということは普通の魚よりもより魔物であるマーマンの方が美味いのは道理である。
意を決したようにパクリと一口。
「美味いな……」
確かに美味い。
ルフォンやラストもちょっと引いていたけど、食べてみると美味いのですぐに慣れていた。
味的にはサーモン的な脂の乗ってる魚の味で、焼いただけでもかなり美味しくいただけた。
マーマンはサケなのかと思ったけれど、何もサケに限らずマーマンにも色々いるらしい。
別のマーマンを捌くとまた別の白っぽい身だったりもしていた。
入った先はエントランスホールであった。
中もちゃんと城っぽいのだなとリュードは感心してしまう。
奇襲はなかったが広いホールには魔物がいた。
手足の生えた二足歩行の魚のような魔物のマーマンである。
先が三叉に分かれた槍を持っていてリュードたちを見るなり襲いかかってきた。
「えいっ!」
特に恐れる相手ではない。
水中ならば脅威ともなろうが、地上であればゴブリンに毛が生えた程度の相手でしかない。
ラストの矢がいとも簡単にマーマンの頭に突き刺さる。
魔力を込めなくても容易く深く刺さるので、体力や魔力の消耗もない。
それなりに数はいたが、他の冒険者たちも苦労せずマーマンを倒していっている。
ヴァネルア周辺には時々マーマンも出る。
なので冒険者たちも戦った経験がある。
仮に経験がなくても難しい相手じゃない。
仲間の叫び声を聞きつけてさらにマーマンが集まってくるが、数もそんなに問題にはならなかった。
「コーユキちゃーん、こっちもー」
「ダーメ」
「えー……わかったよぅ」
苦戦どころか余裕の戦い。
コユキに強化支援してほしい人がコユキに手を振って見せるけれど、当然強化支援の優先はリュードたちの方になる。
練習として色々な強化を試したりするが、薄くみんなを支援するのも大変なのでコユキは負担にならないようにリュード、ルフォン、ラストを中心に強化している。
みんなもリュードたちが優先なのは分かってはいるけど、とりあえずコユキにお願いはしてみるのだ。
コユキの機嫌がよければ強化してもらえないこともないのである。
ニャロは神聖力を温存して治療をメインに視野を広く持って周りを見ている。
コユキが魔物に近づいたり近づかれすぎたりしないようにも気を使ってくれている。
神聖力の支援をしていると自分の立ち位置なんかも忘れがちになってしまう。
気をつけてくれるのはとてもありがたい。
「これで最後!」
ルフォンがマーマンの首をスパッと切り落とす。
マーマンの死体があちこちに転がっているが、リュードたちに重傷者はいない。
「ふーん……なかなか気持ち悪い見た目をしてるな」
リュードはマーマンの死体を観察する。
マーマンは手足はあるけれど、目の前で横たわっている様子を見るに魚に近い。
でも手足があるとやはり魚とは違う奇妙で、気味の悪い造形だとリュードはマーマンを見て思う。
「魔物の気配はありますか?」
「いや近くにはなさそうだ」
魔法使いが魔法で近くの魔物を捜索する。
割とゾロゾロ集まってきていたので、近くにはもう魔物はいないみたいだった。
「もういい時間ですしここで休みましょう」
リーダーである女性冒険者が、ここで野営することを提案した。
なかなか難しい判断だと思う。
外はかなり日が落ちてきている。
城の大きさに惑わされて、案外近いと城の近くまで寄ってみたけれど、意外と遠くて時間がかかってしまった。
本来なら近づく前に野営して朝から行動すべきであった。
けれどもこの異常にいつ変化が起こるのかもわからない。
次の日になると、城から水が噴き出している可能性もある。
そうなると城には近づけない。
同様の理由で城の外に野営するのもはばかられた。
水が噴き出た時に城の外では安全だと言えないからだ。
「常に警戒は怠らないように!」
となると城の中で野営することになるのだけど、魔物がいてしまったので城の中もまた安全とは言えなくなった。
ただし外でも魔物の脅威があるので変わらないといえば変わらない。
でもここらへんの判断は難しいところだとリュードは思った。
ただ今はコユキもいるし、ミルトなんかも冒険者じゃないので大きな無理はさせられない。
見張りを増やすなどして高い警戒を保ちながら休むしかないと判断した。
「眠い……」
「疲れたようだな」
「今日は結構頑張ってたもんにゃ」
眠たそうに目をこするコユキを見れば誰もこのまま進もうなどとは言えない。
若干のコユキ優先もあるが、間違った判断でないのでみんな大人しく従う。
魔物の死体が近くにあるのは気になるけど、安全なんだな場所を探す時間もない。
デカい城のエントランスホールは広いので、魔物の死体を隅に集めて、離れた場所にテントを張る。
「さすがだな……」
今宵のメインディッシュはマーマンソテー。
何人かの冒険者が捌いてくれたものをじっくり焼き上げたものである。
魔物は毒を持っているものでないなら意外と食べられる。
強い魔力を持つものほど美味とされるが、マーマンの肉質はほぼ魚と同等。
いや、もうマーマンは魚である。
一応魔物であるので火は通さなきゃいけない。
なのでルフォンがソテーしてくれた。
「いただきます……」
ソテー前の状態が、少し顔を上げれば見えるところにある。
それを考えるとためらわれてしまうが、みんなはマーマン普通の魚よりも美味いという。
魔力を持っている方が美味いということは普通の魚よりもより魔物であるマーマンの方が美味いのは道理である。
意を決したようにパクリと一口。
「美味いな……」
確かに美味い。
ルフォンやラストもちょっと引いていたけど、食べてみると美味いのですぐに慣れていた。
味的にはサーモン的な脂の乗ってる魚の味で、焼いただけでもかなり美味しくいただけた。
マーマンはサケなのかと思ったけれど、何もサケに限らずマーマンにも色々いるらしい。
別のマーマンを捌くとまた別の白っぽい身だったりもしていた。


