町を一つ丸々巻き込んだ事件であるので、冒険家ギルドと教会が国から協力要請を受けて共同で調査が行われることになった。
もう呪いをかける人はおらず、呪いも解かれたけれど何の危険もないとは言えない。
カイーダも証言はしたが、半分廃人のようになっていて不安要素が取り除けないのである。
その上肉屋のコーディーは姿をくらませてしまった。
単なる肉屋なのでそう遠くにはいけないと思われるけれど、素人であったカイーダが呪いを使えた以上コーディーも同様に警戒されていた。
そのために呪いに対抗できるほどの聖者であるニャロに白羽の矢がたった。
呪いに対する対抗策として聖者の力を借りることにしたのだ。
つまりここでお別れということである。
「せんせぇ!」
「コユキ……!」
ママですよと言っていた時は非常に冷たかったコユキも、姉のように接してくれるニャロ先生にはとても懐いていた。
コユキは別れを惜しんでニャロをギュッと抱きしめる。
ニャロもウルウルと来ているけれど、ここは大人な最後を見せてあげようと必死に涙を堪える。
「やっぱりだめにゃああああ!」
しかしそんな態度も一瞬で、すぐに涙腺が崩壊する。
号泣しながら離れたくないとコユキを強く抱きしめる。
なんだかんだと旅の良い同行者だったと思う。
「教えられることは教えたと思うにゃ。あとはさらにレベルアップした練習とかはこれに書いておいたにゃ。あとはコユキの練習次第。パパとママの言うことをよく聞いて頑張るんだにゃ」
ニャロは涙を拭ってコユキの手に折りたたんだ紙を握らせる。
「にゃ……」
「お手紙書いて教会に届けてくれたら私のところにもちゃんと届くから書いてほしいにゃ……」
「うん、分かったにゃ」
「ふふ、にゃをつけてくれて嬉しいにゃ……」
「にゃー……」
今生の別というわけではないが、旅するリュードたちと聖者としては色々やるべきことがあるニャロが再び会うのは難しいだろう。
会いに行って、会いにいけないことはないだろうからどこかで会いに行くことも考えようとは思う。
「困ったらいつでも教会に来るにゃ。どこにでもコユキのためなら飛んでいくにゃ!」
「約束?」
「うん、約束だにゃ!」
ニャロはいい先生でコユキにいい影響を与えてくれた。
教え方も上手かったし、コユキの神聖力使いはみるみると上達していた。
ニャロそのものの能力も高くて、戦いではニャロの強化はとても助けになった。
「またにゃー!」
出発したコユキの姿が見えなくなるまでニャロはずっと大きく手を振っていた。
今度コユキに字を教えてやらなきゃいけないなとリュードは思った。
ーーーーー
ニャロを護衛して送り届けるという予定がなくなった。
大きな目的地としては当初の予定通りに闇の訪れぬ森ヒュルヒルに向かうことに変更はない。
けれどルートはニャロを送り届ける予定だった国に寄らなくてもよくはなった。
ニャロを送り届ける予定の国に寄るのは、闇の訪れぬ森ヒュルヒルがある国までの最短ルートではなかったのだ。
他の国を通って最短で行くことも考えねばならない。
ギルドとか行って聞いてみると、危険な国だとかそういうこともあるので情報収集も必要だ。
コユキもちょっとションボリしているし、何か美味しいものでもある国に寄り道してもいい。
「いたにゃああああ!」
「んん?」
聞き覚えのある声と語尾。
振り向くとそれはニャロであった。
「先生!」
「コユキぃー!」
ニャロとコユキの感動の再会。
抱き合う二人。
しかしながらニャロと別れてからまだたったの数日しか経っていないぞ、とリュードは思った。
「ニャロ! どうしたんだ? 何か問題あったのか?」
これから呪いについての詳細な調査があって、ニャロはそのバックアップをする予定だったはず。
なのにどうしてここにいるのか。
「逆にゃ。問題がなくなったにゃ」
「どういうことだ?」
「私よりも呪いに詳しい専門家の聖者がいたにゃ」
実は呪いに関する書物を処分するにあたってカイーダの父親はただ捨てるのではなくて人にあげるつもりもあった。
その相手は教会に所属する聖職者でニャロとは別の宗派に所属している人だが、呪いの研究を行なっている聖者であった。
忙しい人が故にカイーダの父親の話か伝わって会いに来るまでに時間がかかってしまった。
結局カイーダの父親が生きている間には来ることは叶わなかったのだけど、今会いに来ていたのである。
ニャロよりも知識があって神聖力にも問題のない人が調査に加わることになった。
なのでニャロがいる意味がなくなったのである。
聖騎士を付けてもらって国に帰ることになったのだけど、まだ数日先に出発しただけなら追いつけるとニャロは思ったのだ。
昔からお転婆娘だったニャロは馬にも乗れた。
見るとニャロのはるか後方からニャロが乗り捨てた馬を引き連れて聖騎士が慌てて追いかけてきていた。
「ということでまた一緒にお願いしたいにゃ!」
「にゃー!」
コユキも嬉しそうだし呪いの事件がなきゃそのまま送り届けるつもりだった。
当然文句はない。
再びニャロが加わることになって旅の工程も考え直す必要がなくなった。
もう呪いをかける人はおらず、呪いも解かれたけれど何の危険もないとは言えない。
カイーダも証言はしたが、半分廃人のようになっていて不安要素が取り除けないのである。
その上肉屋のコーディーは姿をくらませてしまった。
単なる肉屋なのでそう遠くにはいけないと思われるけれど、素人であったカイーダが呪いを使えた以上コーディーも同様に警戒されていた。
そのために呪いに対抗できるほどの聖者であるニャロに白羽の矢がたった。
呪いに対する対抗策として聖者の力を借りることにしたのだ。
つまりここでお別れということである。
「せんせぇ!」
「コユキ……!」
ママですよと言っていた時は非常に冷たかったコユキも、姉のように接してくれるニャロ先生にはとても懐いていた。
コユキは別れを惜しんでニャロをギュッと抱きしめる。
ニャロもウルウルと来ているけれど、ここは大人な最後を見せてあげようと必死に涙を堪える。
「やっぱりだめにゃああああ!」
しかしそんな態度も一瞬で、すぐに涙腺が崩壊する。
号泣しながら離れたくないとコユキを強く抱きしめる。
なんだかんだと旅の良い同行者だったと思う。
「教えられることは教えたと思うにゃ。あとはさらにレベルアップした練習とかはこれに書いておいたにゃ。あとはコユキの練習次第。パパとママの言うことをよく聞いて頑張るんだにゃ」
ニャロは涙を拭ってコユキの手に折りたたんだ紙を握らせる。
「にゃ……」
「お手紙書いて教会に届けてくれたら私のところにもちゃんと届くから書いてほしいにゃ……」
「うん、分かったにゃ」
「ふふ、にゃをつけてくれて嬉しいにゃ……」
「にゃー……」
今生の別というわけではないが、旅するリュードたちと聖者としては色々やるべきことがあるニャロが再び会うのは難しいだろう。
会いに行って、会いにいけないことはないだろうからどこかで会いに行くことも考えようとは思う。
「困ったらいつでも教会に来るにゃ。どこにでもコユキのためなら飛んでいくにゃ!」
「約束?」
「うん、約束だにゃ!」
ニャロはいい先生でコユキにいい影響を与えてくれた。
教え方も上手かったし、コユキの神聖力使いはみるみると上達していた。
ニャロそのものの能力も高くて、戦いではニャロの強化はとても助けになった。
「またにゃー!」
出発したコユキの姿が見えなくなるまでニャロはずっと大きく手を振っていた。
今度コユキに字を教えてやらなきゃいけないなとリュードは思った。
ーーーーー
ニャロを護衛して送り届けるという予定がなくなった。
大きな目的地としては当初の予定通りに闇の訪れぬ森ヒュルヒルに向かうことに変更はない。
けれどルートはニャロを送り届ける予定だった国に寄らなくてもよくはなった。
ニャロを送り届ける予定の国に寄るのは、闇の訪れぬ森ヒュルヒルがある国までの最短ルートではなかったのだ。
他の国を通って最短で行くことも考えねばならない。
ギルドとか行って聞いてみると、危険な国だとかそういうこともあるので情報収集も必要だ。
コユキもちょっとションボリしているし、何か美味しいものでもある国に寄り道してもいい。
「いたにゃああああ!」
「んん?」
聞き覚えのある声と語尾。
振り向くとそれはニャロであった。
「先生!」
「コユキぃー!」
ニャロとコユキの感動の再会。
抱き合う二人。
しかしながらニャロと別れてからまだたったの数日しか経っていないぞ、とリュードは思った。
「ニャロ! どうしたんだ? 何か問題あったのか?」
これから呪いについての詳細な調査があって、ニャロはそのバックアップをする予定だったはず。
なのにどうしてここにいるのか。
「逆にゃ。問題がなくなったにゃ」
「どういうことだ?」
「私よりも呪いに詳しい専門家の聖者がいたにゃ」
実は呪いに関する書物を処分するにあたってカイーダの父親はただ捨てるのではなくて人にあげるつもりもあった。
その相手は教会に所属する聖職者でニャロとは別の宗派に所属している人だが、呪いの研究を行なっている聖者であった。
忙しい人が故にカイーダの父親の話か伝わって会いに来るまでに時間がかかってしまった。
結局カイーダの父親が生きている間には来ることは叶わなかったのだけど、今会いに来ていたのである。
ニャロよりも知識があって神聖力にも問題のない人が調査に加わることになった。
なのでニャロがいる意味がなくなったのである。
聖騎士を付けてもらって国に帰ることになったのだけど、まだ数日先に出発しただけなら追いつけるとニャロは思ったのだ。
昔からお転婆娘だったニャロは馬にも乗れた。
見るとニャロのはるか後方からニャロが乗り捨てた馬を引き連れて聖騎士が慌てて追いかけてきていた。
「ということでまた一緒にお願いしたいにゃ!」
「にゃー!」
コユキも嬉しそうだし呪いの事件がなきゃそのまま送り届けるつもりだった。
当然文句はない。
再びニャロが加わることになって旅の工程も考え直す必要がなくなった。


