「なんだ……その顔ー!」
ルフォンはニコニコしてもう引き受け顔になっていて、ラストもやれやれと軽く微笑んでいた。
「い、いふぁいよ!」
「なにふんのさ!」
どうせ引き受けるんでしょ? という心の声が聞こえた気がしたのでリュードは二人の頬に手を伸ばして引っ張る。
ルフォンの頬はすべすべっとしていて柔らかく、ラストの頬はモチッとしていて柔らかい。
あたかもリュードが厄介事を持ち込んできて、引き受けていることを二人が当然のように受け入れているような感じなのが妙にムカついた。
なぜそんな他人事のようにしているのだ、この二人は。
リュードだけじゃなく当然二人にも頼んでいるわけで、ちゃんと考えているようにも見えない二人の頬のフニフニで苛立ちを解消する。
分かってる。
聞かずとも結果は分かっていたのだけど、あたかもリュードなら引き受けるんでしょと思われてるのもなんか違うように思えてしまう。
「いいか、なんでもかんでも厄介事に首突っ込んでちゃダメだし、俺に常に従いますってのもダメだ。ちゃんと自分で考えて、嫌だと思ったら断ることも大事だかんな?」
困ってる人を見過ごせないのは性分だから仕方ない。
でもどんなことにでも手を出していくのも良いこととは言い切れない。
デルデから聞いた話を自分で考えて引き受けてもいいかどうか二人にもしっかり考えてほしい、そうリュードは思った。
基本的にリュードがやるなら自分もやると言う二人だからちょっと心配になってしまった。
本来は出来るなら危ないことには関わらないのが1番なんだ。
「分かってるよぅ」
「嫌なことなんてやりませんー!」
頬をさする二人は少し拗ねたような顔も見せた。
「ふふっ、違うよ、リューちゃん」
「……何かだ?」
「リューちゃんが助けたいって思う人は私にとっても助けたい人だよ。それはリューちゃんが助けたいって思うからもあるんだけど、私も、私自身も助けたいって思ってるんだよ。それにリューちゃんの顔を見れば何考えてるかなんてお見通しだからね」
リュードはお人好しだけどルフォンも大概お人好しだ。
リュードが頼まれて助けたいと思っている時、同時にルフォンもリュードと同じく助けたいと思っていることがほとんどなのである。
リュードが助けたいから助けるのもあるが、リュードが助けたいと思う事情がある時ルフォンも事情を聞いて助けたいと同じく思うお人好しなのである。
だから賛成する。
リュードがその人を助けるのにルフォンも助けたいと思うから従うのだ。
嫌だったらこっそりリュードに嫌って伝える。
たぶんその時は言わずとも顔を見ればリュードに伝わっていると思うけどとルフォンは思っていた。
「私だって!」
ラストも大きく見れば似たようなものであるが少し違っている。
ルフォンは純粋にお人好しであるが、ラストはこれまでの環境や経験からルフォンよりも警戒心は強い。
誰でも彼でも助けると言えるほどのお人好しではない。
でも自分は色んな人に助けられてきた。
助けてくれる人がいることのありがたさやその感謝を知っている。
だから誰かを助けられるなら助けてあげたいという気持ちがラストにはあった。
でも多分ラスト一人が頼まれていたら断っていた。
助けたいと思うけど手にあまりそうな話で安請け合いはできない。
故にリュードが受けるからラストも受ける。
リュードやルフォンとならどんなことでも乗り越えられるという自信があった。
「わーたよ。ただ何でも引き受けると思うなよ?」
「そうは言うけどどうせ真面目な顔して困ってたら引き受けるんでしょ?」
「……そんなことは」
ないと言い切れない。
結局助けるんだろうし、リュードは悪人じゃない限り人を見捨てない。
そしてルフォンもラストもリュードのそんなところも好きである。
さらにそんなリュードを手助けしたいという気持ちも大いにあるのであった。
「だそうだ」
呆れ半分、嬉しさと恥ずかしさが混じったような感情半分でリュードはデルデの方を振り返った。
リュードもそんな優しさや考えを持つ二人のことが好きなのでそんな考え捨てろとも言えない。
「では……」
「俺たちに出来ることなら引き受けるさ」
「感謝する!」
デルデはゴンと音がするほど勢いよく床に向かって頭を下げる。
「ただ一つ問題があってだな」
「むっ、何が問題なんだ?」
「そもそもそれがここに来た目的なんだけどさ。俺は剣を直してもらおうと思ってきたんだ」
予備の剣があるので戦えないことはない。
けれども予備は予備だし、予備の剣を失えば後は武器もない。
予備の剣の方はちゃんと作られた剣だけどあくまでも普通の剣である。
リュードの激しい戦闘に耐え続けられるかは不安が残ってしまう。
デルデの話を聞くと簡単にはいかないそうな話だった。
いつまで経っても予備の剣で戦うわけにはいかないので先に剣を直してもらうことが必要である。
「剣……剣か。ちとワシに見せてくれ」
「これだけど……」
「ぬっ? 見た目の大きさにしては重いな」
リュードから受け取った剣の重さにデルデは驚く。
まだ抜いていないので剣は見えていないが、ただの剣の重さでないことはドワーフでなくても分かるだろう。
デルデが剣を抜くと半分ほどのところで剣身が無くなる。
鞘を逆さにして振ってみると残りの先の方が出てくる。
「黒い剣か……こりゃ珍しいな」
軽く振ったり、剣の断面を注意深く観察する。
話の時の真面目さとはまた違う、職人の目をしている。
ルフォンはニコニコしてもう引き受け顔になっていて、ラストもやれやれと軽く微笑んでいた。
「い、いふぁいよ!」
「なにふんのさ!」
どうせ引き受けるんでしょ? という心の声が聞こえた気がしたのでリュードは二人の頬に手を伸ばして引っ張る。
ルフォンの頬はすべすべっとしていて柔らかく、ラストの頬はモチッとしていて柔らかい。
あたかもリュードが厄介事を持ち込んできて、引き受けていることを二人が当然のように受け入れているような感じなのが妙にムカついた。
なぜそんな他人事のようにしているのだ、この二人は。
リュードだけじゃなく当然二人にも頼んでいるわけで、ちゃんと考えているようにも見えない二人の頬のフニフニで苛立ちを解消する。
分かってる。
聞かずとも結果は分かっていたのだけど、あたかもリュードなら引き受けるんでしょと思われてるのもなんか違うように思えてしまう。
「いいか、なんでもかんでも厄介事に首突っ込んでちゃダメだし、俺に常に従いますってのもダメだ。ちゃんと自分で考えて、嫌だと思ったら断ることも大事だかんな?」
困ってる人を見過ごせないのは性分だから仕方ない。
でもどんなことにでも手を出していくのも良いこととは言い切れない。
デルデから聞いた話を自分で考えて引き受けてもいいかどうか二人にもしっかり考えてほしい、そうリュードは思った。
基本的にリュードがやるなら自分もやると言う二人だからちょっと心配になってしまった。
本来は出来るなら危ないことには関わらないのが1番なんだ。
「分かってるよぅ」
「嫌なことなんてやりませんー!」
頬をさする二人は少し拗ねたような顔も見せた。
「ふふっ、違うよ、リューちゃん」
「……何かだ?」
「リューちゃんが助けたいって思う人は私にとっても助けたい人だよ。それはリューちゃんが助けたいって思うからもあるんだけど、私も、私自身も助けたいって思ってるんだよ。それにリューちゃんの顔を見れば何考えてるかなんてお見通しだからね」
リュードはお人好しだけどルフォンも大概お人好しだ。
リュードが頼まれて助けたいと思っている時、同時にルフォンもリュードと同じく助けたいと思っていることがほとんどなのである。
リュードが助けたいから助けるのもあるが、リュードが助けたいと思う事情がある時ルフォンも事情を聞いて助けたいと同じく思うお人好しなのである。
だから賛成する。
リュードがその人を助けるのにルフォンも助けたいと思うから従うのだ。
嫌だったらこっそりリュードに嫌って伝える。
たぶんその時は言わずとも顔を見ればリュードに伝わっていると思うけどとルフォンは思っていた。
「私だって!」
ラストも大きく見れば似たようなものであるが少し違っている。
ルフォンは純粋にお人好しであるが、ラストはこれまでの環境や経験からルフォンよりも警戒心は強い。
誰でも彼でも助けると言えるほどのお人好しではない。
でも自分は色んな人に助けられてきた。
助けてくれる人がいることのありがたさやその感謝を知っている。
だから誰かを助けられるなら助けてあげたいという気持ちがラストにはあった。
でも多分ラスト一人が頼まれていたら断っていた。
助けたいと思うけど手にあまりそうな話で安請け合いはできない。
故にリュードが受けるからラストも受ける。
リュードやルフォンとならどんなことでも乗り越えられるという自信があった。
「わーたよ。ただ何でも引き受けると思うなよ?」
「そうは言うけどどうせ真面目な顔して困ってたら引き受けるんでしょ?」
「……そんなことは」
ないと言い切れない。
結局助けるんだろうし、リュードは悪人じゃない限り人を見捨てない。
そしてルフォンもラストもリュードのそんなところも好きである。
さらにそんなリュードを手助けしたいという気持ちも大いにあるのであった。
「だそうだ」
呆れ半分、嬉しさと恥ずかしさが混じったような感情半分でリュードはデルデの方を振り返った。
リュードもそんな優しさや考えを持つ二人のことが好きなのでそんな考え捨てろとも言えない。
「では……」
「俺たちに出来ることなら引き受けるさ」
「感謝する!」
デルデはゴンと音がするほど勢いよく床に向かって頭を下げる。
「ただ一つ問題があってだな」
「むっ、何が問題なんだ?」
「そもそもそれがここに来た目的なんだけどさ。俺は剣を直してもらおうと思ってきたんだ」
予備の剣があるので戦えないことはない。
けれども予備は予備だし、予備の剣を失えば後は武器もない。
予備の剣の方はちゃんと作られた剣だけどあくまでも普通の剣である。
リュードの激しい戦闘に耐え続けられるかは不安が残ってしまう。
デルデの話を聞くと簡単にはいかないそうな話だった。
いつまで経っても予備の剣で戦うわけにはいかないので先に剣を直してもらうことが必要である。
「剣……剣か。ちとワシに見せてくれ」
「これだけど……」
「ぬっ? 見た目の大きさにしては重いな」
リュードから受け取った剣の重さにデルデは驚く。
まだ抜いていないので剣は見えていないが、ただの剣の重さでないことはドワーフでなくても分かるだろう。
デルデが剣を抜くと半分ほどのところで剣身が無くなる。
鞘を逆さにして振ってみると残りの先の方が出てくる。
「黒い剣か……こりゃ珍しいな」
軽く振ったり、剣の断面を注意深く観察する。
話の時の真面目さとはまた違う、職人の目をしている。


