一瞬、本当に一瞬だけどリュードだった。
ミュリウォはリュードのことを知らないし、一瞬だったので見えていなかったがルフォンとラストには分かった。
思わず立ち上がったルフォンに視線が集まってしまい、慌てて席に座る。
でも絶対に見間違いではない。
「ルフォン……」
「ご、ごめんね……」
「ううん、私も同じようなものだから」
ルフォンが立って視線を集めていなかったらラストが大声で騒いでいたところだった。
今は映像はブラックアウトしていて何も映っていない。
司会の話によると映っていた映像はこのコロシアムの中のものではなく別の場所のものらしい。
ジッとスクリーンを見ていると時折映っては暗くなったり別の映像に移り変わったりと安定しない。
視界の説明によると初めて使われるものだから色々と調整が必要で安定するまで我慢して欲しいとのことだった。
他の映像を見た感じではリュードと他の奴隷は同じ場所にいるっぽそうなことが分かる。
こんなに集中してスクリーンを見てるのはルフォンを置いて他にいない。
「あっ!」
「どうしたの?」
「い、今トーイが映ったような……」
短い時間で映る景色が入れ替わっていく。
その中でトーイに似た人がいたのをミュリウォも見つけた。
ミュリウォは2人ほど動体視力も良くない。
リュードほど特徴的でもないトーイは一瞬では判別が難しい。
けれど婚約者を見間違うはずがない。
わずかな時間であったがそれがミュリウォの目にはトーイが見えたのである。
「きっとトーイさんだよ!」
好きな人のことを見間違えるはずがないのでトーイだとラストは思う。
「申し訳ございませーん! なんせこちらも初めてなものでして少々乱れておりましたが、もう大丈夫です。それではごゆっくりご覧ください!」
そうしていると映像が安定して一人の人が映し出される。
その後大きな一枚の映像が分割されて別々の映像が同時に映し出された。
よく見るとやや下から見上げるように撮っている映像になっている。
不思議な角度で映された人たちはなぜなのか上半身が裸で、男の人しかいなかった。
「うぇ〜」
なんの興味もない男性たちの上半身裸姿を見せられても気持ちが悪いだけである。
ラストは映し出された奴隷の姿を見て怪訝そうな顔をする。
「い、いや……そんなに悪くも……はっ!」
対してミュリウォは顔を赤くしながらも映像を食い入るように見ていた。
女性の国トゥジュームにおいて、肉体派な男性は少ない。
ミュリウォもお年頃なので興味がないとは言えない。
ルフォンやラストは特に興味なくてもミュリウォはぼうっと男性の体を見ていてしまった。
とんでもないことを口走ったと慌てて目線を逸らすがもう遅い。
「まあ、趣向はそれぞれだからね」
「違うんです!」
「いいんだよぅ〜」
「も、もう! トーイがいないか見ていただけです!」
ミュリウォは顔を真っ赤にして否定するけれど興味があったことは隠しきれていない。
ラストだってツバサが好き、そこから派生して生えてなくても背中が綺麗だと目を引かれてしまうところがあるのでミュリウォが男性の体に興味があっても別に良いと思う。
上半身裸なのは武器を隠したりしないような保安上の理由もあるけれど、こうした見せ物とする時に鑑賞的にする意味合いもある。
トゥジュームが主催な以上観客も多くが女性になる。
映像が移り変わって良さそうな人が出るたびに黄色い歓声が上がったりしている。
この人がいい、あの人がいいと品評会のような声も聞こえてきている。
「うむむ……」
そんな空気に晒されてかラストもどんな体つきがいいかを考える。
そんなにムキムキしていなくてもいい。
もっと引き締まったような体だけど鍛えていることがわかって、しなやかで均整の取れた体が好ましい。
もう誰かの体を想像してしまっている。
一緒に旅をしていれば上半身ぐらい見てしまうこともある。
基本的にはテントがあるからテントの中で着替えるのだが魔物との戦いの直後などで汚れた時なんかはリュードはサッと服を脱いでしまうこともあった。
旅の途中なんかで汚れるとテントを立てて着替えるのも馬鹿らしいので隠れるように着替える。
だがしかしラストもウブな少女ではない。
たまには着替えているリュードの方に視線を向けてしまうこともある。
ラストは顔を赤くした。
どんな体がいいか考えて、結局リュードのことばかりを考えている。
「リューちゃんだ!」
今度は冷静に声のトーンを落としたルフォン。
分割された映像の一つにリュードが映し出されていた。
周りがざわつき、女性たちの黄色い声が飛ぶ。
リュードに対する評価が飛び交い始める。
個人の好みがあるので評価が分かれることはしょうがないのだがリュードに対してはおおむね肯定的な意見が多い。
体つきも良く、顔もいいので高評価でマダムたちに特に人気があった。
珍しく槍を持っているリュードは洞窟のような場所を慎重に進んでいる。
首と腕に変なものを付けたリュードは少し広い場所に出てきた。
「……あっ!」
少し部屋の中を見渡したリュードはいきなり降ってきた男に襲われた。
ミュリウォはリュードのことを知らないし、一瞬だったので見えていなかったがルフォンとラストには分かった。
思わず立ち上がったルフォンに視線が集まってしまい、慌てて席に座る。
でも絶対に見間違いではない。
「ルフォン……」
「ご、ごめんね……」
「ううん、私も同じようなものだから」
ルフォンが立って視線を集めていなかったらラストが大声で騒いでいたところだった。
今は映像はブラックアウトしていて何も映っていない。
司会の話によると映っていた映像はこのコロシアムの中のものではなく別の場所のものらしい。
ジッとスクリーンを見ていると時折映っては暗くなったり別の映像に移り変わったりと安定しない。
視界の説明によると初めて使われるものだから色々と調整が必要で安定するまで我慢して欲しいとのことだった。
他の映像を見た感じではリュードと他の奴隷は同じ場所にいるっぽそうなことが分かる。
こんなに集中してスクリーンを見てるのはルフォンを置いて他にいない。
「あっ!」
「どうしたの?」
「い、今トーイが映ったような……」
短い時間で映る景色が入れ替わっていく。
その中でトーイに似た人がいたのをミュリウォも見つけた。
ミュリウォは2人ほど動体視力も良くない。
リュードほど特徴的でもないトーイは一瞬では判別が難しい。
けれど婚約者を見間違うはずがない。
わずかな時間であったがそれがミュリウォの目にはトーイが見えたのである。
「きっとトーイさんだよ!」
好きな人のことを見間違えるはずがないのでトーイだとラストは思う。
「申し訳ございませーん! なんせこちらも初めてなものでして少々乱れておりましたが、もう大丈夫です。それではごゆっくりご覧ください!」
そうしていると映像が安定して一人の人が映し出される。
その後大きな一枚の映像が分割されて別々の映像が同時に映し出された。
よく見るとやや下から見上げるように撮っている映像になっている。
不思議な角度で映された人たちはなぜなのか上半身が裸で、男の人しかいなかった。
「うぇ〜」
なんの興味もない男性たちの上半身裸姿を見せられても気持ちが悪いだけである。
ラストは映し出された奴隷の姿を見て怪訝そうな顔をする。
「い、いや……そんなに悪くも……はっ!」
対してミュリウォは顔を赤くしながらも映像を食い入るように見ていた。
女性の国トゥジュームにおいて、肉体派な男性は少ない。
ミュリウォもお年頃なので興味がないとは言えない。
ルフォンやラストは特に興味なくてもミュリウォはぼうっと男性の体を見ていてしまった。
とんでもないことを口走ったと慌てて目線を逸らすがもう遅い。
「まあ、趣向はそれぞれだからね」
「違うんです!」
「いいんだよぅ〜」
「も、もう! トーイがいないか見ていただけです!」
ミュリウォは顔を真っ赤にして否定するけれど興味があったことは隠しきれていない。
ラストだってツバサが好き、そこから派生して生えてなくても背中が綺麗だと目を引かれてしまうところがあるのでミュリウォが男性の体に興味があっても別に良いと思う。
上半身裸なのは武器を隠したりしないような保安上の理由もあるけれど、こうした見せ物とする時に鑑賞的にする意味合いもある。
トゥジュームが主催な以上観客も多くが女性になる。
映像が移り変わって良さそうな人が出るたびに黄色い歓声が上がったりしている。
この人がいい、あの人がいいと品評会のような声も聞こえてきている。
「うむむ……」
そんな空気に晒されてかラストもどんな体つきがいいかを考える。
そんなにムキムキしていなくてもいい。
もっと引き締まったような体だけど鍛えていることがわかって、しなやかで均整の取れた体が好ましい。
もう誰かの体を想像してしまっている。
一緒に旅をしていれば上半身ぐらい見てしまうこともある。
基本的にはテントがあるからテントの中で着替えるのだが魔物との戦いの直後などで汚れた時なんかはリュードはサッと服を脱いでしまうこともあった。
旅の途中なんかで汚れるとテントを立てて着替えるのも馬鹿らしいので隠れるように着替える。
だがしかしラストもウブな少女ではない。
たまには着替えているリュードの方に視線を向けてしまうこともある。
ラストは顔を赤くした。
どんな体がいいか考えて、結局リュードのことばかりを考えている。
「リューちゃんだ!」
今度は冷静に声のトーンを落としたルフォン。
分割された映像の一つにリュードが映し出されていた。
周りがざわつき、女性たちの黄色い声が飛ぶ。
リュードに対する評価が飛び交い始める。
個人の好みがあるので評価が分かれることはしょうがないのだがリュードに対してはおおむね肯定的な意見が多い。
体つきも良く、顔もいいので高評価でマダムたちに特に人気があった。
珍しく槍を持っているリュードは洞窟のような場所を慎重に進んでいる。
首と腕に変なものを付けたリュードは少し広い場所に出てきた。
「……あっ!」
少し部屋の中を見渡したリュードはいきなり降ってきた男に襲われた。


