同行者として選ばれたリュードは実力があるだろうことは分かっていた。
ラストが相当頭のいかれた人で見た目が好みだからとリュードを選んだのでなければ実力があるからリュードが選ばれたのだと誰もが考える。
ゴブリンやコボルトはともかくカエルやトカゲになると少しは苦戦でもするのではないかと心配していたけれど、全くラストの相手になっていなかった。
色々経験を積んできたのでカエルやトカゲ如きには遅れは取らないと自負するツィツィナでも、兵士になりたてのような頃だったら中距離攻撃を仕掛けてくるカエルのような魔物は厳しかった。
ツィツィナにとっては見た目も気持ちが悪いし。
「ふふん! 実は私ってすごーく強いんだよ!」
そりゃもうデュラハンを倒すほどにと鼻高々のラスト。
ダンジョンブレイクでデュラハンを倒した1人であると言われていることはツィツィナの耳にも入ってきていた。
兵士たちの間では真偽のほどが分からず非常にざわついて議論になった話であった。
「うむむ……」
何が本当のラストの姿なんだろうと思う。
きっと護衛が終わったらみんなに聞かれると思うのに未だに目の前にいるラストの本当の姿を測りかねていた。
「シューナリュードさんもお強いですね!」
「実は俺ってすごく強いんだよ」
「もー! リュード!」
リュードがラストの言葉まんまに答える。
そのように茶化して言われると自信満々に言った自分が恥ずかしくなるとラストがリュードの肩を軽くこづいた。
「はははっ、ごめんごめん」
少なくともだ。
一部の噂にあるような、無能や戦えないといった評価は間違っていると現実にツィツィナの目で見て判断できた。
王様が言うようなか弱いなんてこともとてもじゃないけど言うことができないと評価を改めたのであった。
「よし、そろそろ行くか」
外でみんなも待っているので休憩も終わりにして攻略を再開する。
次は地下九階である。
これまでの流れなら新しい環境になるだろうなとリュードは予想していた。
「さ、寒い!」
「準備しといてよかったな。ほら」
「へい!」
事前にこのようなダンジョンであることは分かっていた。
だが難易度的には難しくないと分かっていても準備を怠ることはない。
どんな状況でも対応できることも必要であるけれど入念な準備をすることも当然大切なのである。
だからちゃんと準備してきた。
地下九階は一面の雪景色であった。
階段途中から空気がひんやりとしてきていたのでヤバいとリュードは内心思っていた。
グッと気温が下がり息が白くなる。
たった一つの階層のことだから大丈夫だろうと若干舐めてかかっていたが、このまま長時間ここにいると命の危険もありそうなほどに寒いのが九階であった。
リュードは寒さに弱い。
竜人族が寒さに弱いのもあるのだけれど、実は転生する前の普通の人の時も非常に寒さに弱い人だった。
最初は雪に喜んではしゃいでいたラストだったけどすぐに寒さにやられ出した。
雪を楽しめるのも防寒具あってのことである。
すでに防寒具を身につけたリュードがラストに防寒具を渡してやるとさっと身につける。
「さ、さむぅい……」
ここでまた準備不足が出たのはツィツィナであった。
こんなことになるとは思わず防寒具も持ってきていない。
就寝用にツィツィナは厚手のマントを羽織っているけれどそれでは九階の寒さに対応しきれない。
「俺の予備だ」
「くぅ……ありがとうございます!」
かわいそうなのでリュードが念のためにと持ってきていた予備の防寒具を渡してあげる。
もっと寒さが厳しかったら自分で着るつもりだったのである。
九階は寒さが1番の天敵。
攻略は時間との勝負である。
地下9階に出てきたのはスノーゴーレムという魔物であった。
なんてことはない、手足のついた雪だるまである。
大した戦闘能力もない魔物ではあるが、倒すと雪がバラバラになってしまうので冷たくて面倒くさい。
ラストの矢も効きが悪いので主にリュードが前に出て戦い、ラストもムチで対抗していた。
戦って体が温まるよりもかぶる雪のせいで凍える方が早い。
「階段ですよ!」
「ツィツィナ、ナイス!」
寒すぎて階段を見つけたツィツィナが普通にリュードたちに報告する。
不自然に一ヶ所雪がないのでよく見るとそこに階段があったのである。
「あっつ!」
冷気が降りてきて寒いのでさっさと降りていくと今度は何だか気温が上がってきた。
これまで寒いところにいたせいかと思ったけれどそうではなかった。
地下十階は雪原地帯の九階と百八十度変わって高音の溶岩地帯であった。
と言っても赤々と燃える溶岩が流れている場所ではない。
噴火が終わった後のような溶岩が固まった後の大地で、黒い岩肌のような地面には草の一本も生えていない。
だから溶岩地帯と断言してもいいのか若干怪しさもあるけれど気温の高さもあってとりあえず溶岩地帯とした。
「ひぇ〜これはこれで辛いよ!」
「寒いのも面倒ですけど暑いのも面倒ですね」
冷えた体に暑さが余計に堪える。
寒いよりは暑い方がいいとリュードは思うけど女性陣は暑さも嫌なようだった。
寒ければ上に着込むなりすればいいけど暑いとどうしようもない。
ツィツィナはすぐにマントをしまって暑さに対して渋い顔をしていた。
「ちょっと極端すぎない!?」
自然環境の博覧会みたいなダンジョンであるとラストは不満に感じていた。
一気に汗が噴き出してきて、この階の魔物であるメルトロックゴーレムと戦うのも億劫になる。
九階にしても十階にしても魔物の数はそれほど多くなくて助かった。
どっちの環境でもいるだけで体力が奪われるので急いで階段を探した。
メルトロックゴーレムは見た目がロックゴーレムに近いのだけど中に溶岩があるように見えるゴーレムである。
熱量が高くて攻撃は熱分痛いが、その代わり胴体の岩はロックゴーレムよりも柔らかかった。
しっかりと剣を振り抜いて一瞬でメルトロックゴーレムを切り裂けば剣にダメージもそれほど残らない。
刺して剣を溶岩に浸けておけば熱が入って剣がダメになってしまうようなことも可能性としてあるが、わざわざそんなことをしない。
一撃で倒す練習だとしたらこのダンジョンの冒険者育成力はかなり高いと言わざるを得ない。
ラストが相当頭のいかれた人で見た目が好みだからとリュードを選んだのでなければ実力があるからリュードが選ばれたのだと誰もが考える。
ゴブリンやコボルトはともかくカエルやトカゲになると少しは苦戦でもするのではないかと心配していたけれど、全くラストの相手になっていなかった。
色々経験を積んできたのでカエルやトカゲ如きには遅れは取らないと自負するツィツィナでも、兵士になりたてのような頃だったら中距離攻撃を仕掛けてくるカエルのような魔物は厳しかった。
ツィツィナにとっては見た目も気持ちが悪いし。
「ふふん! 実は私ってすごーく強いんだよ!」
そりゃもうデュラハンを倒すほどにと鼻高々のラスト。
ダンジョンブレイクでデュラハンを倒した1人であると言われていることはツィツィナの耳にも入ってきていた。
兵士たちの間では真偽のほどが分からず非常にざわついて議論になった話であった。
「うむむ……」
何が本当のラストの姿なんだろうと思う。
きっと護衛が終わったらみんなに聞かれると思うのに未だに目の前にいるラストの本当の姿を測りかねていた。
「シューナリュードさんもお強いですね!」
「実は俺ってすごく強いんだよ」
「もー! リュード!」
リュードがラストの言葉まんまに答える。
そのように茶化して言われると自信満々に言った自分が恥ずかしくなるとラストがリュードの肩を軽くこづいた。
「はははっ、ごめんごめん」
少なくともだ。
一部の噂にあるような、無能や戦えないといった評価は間違っていると現実にツィツィナの目で見て判断できた。
王様が言うようなか弱いなんてこともとてもじゃないけど言うことができないと評価を改めたのであった。
「よし、そろそろ行くか」
外でみんなも待っているので休憩も終わりにして攻略を再開する。
次は地下九階である。
これまでの流れなら新しい環境になるだろうなとリュードは予想していた。
「さ、寒い!」
「準備しといてよかったな。ほら」
「へい!」
事前にこのようなダンジョンであることは分かっていた。
だが難易度的には難しくないと分かっていても準備を怠ることはない。
どんな状況でも対応できることも必要であるけれど入念な準備をすることも当然大切なのである。
だからちゃんと準備してきた。
地下九階は一面の雪景色であった。
階段途中から空気がひんやりとしてきていたのでヤバいとリュードは内心思っていた。
グッと気温が下がり息が白くなる。
たった一つの階層のことだから大丈夫だろうと若干舐めてかかっていたが、このまま長時間ここにいると命の危険もありそうなほどに寒いのが九階であった。
リュードは寒さに弱い。
竜人族が寒さに弱いのもあるのだけれど、実は転生する前の普通の人の時も非常に寒さに弱い人だった。
最初は雪に喜んではしゃいでいたラストだったけどすぐに寒さにやられ出した。
雪を楽しめるのも防寒具あってのことである。
すでに防寒具を身につけたリュードがラストに防寒具を渡してやるとさっと身につける。
「さ、さむぅい……」
ここでまた準備不足が出たのはツィツィナであった。
こんなことになるとは思わず防寒具も持ってきていない。
就寝用にツィツィナは厚手のマントを羽織っているけれどそれでは九階の寒さに対応しきれない。
「俺の予備だ」
「くぅ……ありがとうございます!」
かわいそうなのでリュードが念のためにと持ってきていた予備の防寒具を渡してあげる。
もっと寒さが厳しかったら自分で着るつもりだったのである。
九階は寒さが1番の天敵。
攻略は時間との勝負である。
地下9階に出てきたのはスノーゴーレムという魔物であった。
なんてことはない、手足のついた雪だるまである。
大した戦闘能力もない魔物ではあるが、倒すと雪がバラバラになってしまうので冷たくて面倒くさい。
ラストの矢も効きが悪いので主にリュードが前に出て戦い、ラストもムチで対抗していた。
戦って体が温まるよりもかぶる雪のせいで凍える方が早い。
「階段ですよ!」
「ツィツィナ、ナイス!」
寒すぎて階段を見つけたツィツィナが普通にリュードたちに報告する。
不自然に一ヶ所雪がないのでよく見るとそこに階段があったのである。
「あっつ!」
冷気が降りてきて寒いのでさっさと降りていくと今度は何だか気温が上がってきた。
これまで寒いところにいたせいかと思ったけれどそうではなかった。
地下十階は雪原地帯の九階と百八十度変わって高音の溶岩地帯であった。
と言っても赤々と燃える溶岩が流れている場所ではない。
噴火が終わった後のような溶岩が固まった後の大地で、黒い岩肌のような地面には草の一本も生えていない。
だから溶岩地帯と断言してもいいのか若干怪しさもあるけれど気温の高さもあってとりあえず溶岩地帯とした。
「ひぇ〜これはこれで辛いよ!」
「寒いのも面倒ですけど暑いのも面倒ですね」
冷えた体に暑さが余計に堪える。
寒いよりは暑い方がいいとリュードは思うけど女性陣は暑さも嫌なようだった。
寒ければ上に着込むなりすればいいけど暑いとどうしようもない。
ツィツィナはすぐにマントをしまって暑さに対して渋い顔をしていた。
「ちょっと極端すぎない!?」
自然環境の博覧会みたいなダンジョンであるとラストは不満に感じていた。
一気に汗が噴き出してきて、この階の魔物であるメルトロックゴーレムと戦うのも億劫になる。
九階にしても十階にしても魔物の数はそれほど多くなくて助かった。
どっちの環境でもいるだけで体力が奪われるので急いで階段を探した。
メルトロックゴーレムは見た目がロックゴーレムに近いのだけど中に溶岩があるように見えるゴーレムである。
熱量が高くて攻撃は熱分痛いが、その代わり胴体の岩はロックゴーレムよりも柔らかかった。
しっかりと剣を振り抜いて一瞬でメルトロックゴーレムを切り裂けば剣にダメージもそれほど残らない。
刺して剣を溶岩に浸けておけば熱が入って剣がダメになってしまうようなことも可能性としてあるが、わざわざそんなことをしない。
一撃で倒す練習だとしたらこのダンジョンの冒険者育成力はかなり高いと言わざるを得ない。