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『制服は縛るものでしかないと思う。
私たち学生は学校の中でしか息ができない。
同じじゃないと息をするのを許されない。
制服に袖を通したら、あとは死んだように整った呼吸をするのだ。

私の名前は、勝野命。中学二年生。

私はずっと苦しかった。私のせいで人が苦しむのが嫌だった。
私のせいで親が悲しむのも嫌だった。
じゃあ、どうしたらいい?
自我を殺せばいい。
つまらない繰り返しの生活。
息が詰まる。
もう死んでしまいたい。

そんな時、彼女に出会った。
彼女の名前は天津 明日香。
明日香は親から虐待されていて、学校ではいじめられていて、どこにも逃げ場が無かった。

ネットでたまたま出会った二人。
「ねぇ、海を見に行かない?」