海の果て、とある小さな王国に伝わるおとぎ話。

 その治政で王国に平和をもたらす王の一族は、かつて人々に恩恵を与えた妖精の末裔でした。
 彼らが人ならざる貴き存在であることは、真珠のような白銀の髪と、空を閉じ込めたような青い瞳が証明するでしょう。

 何より特徴的なのは、王の一族に死期が近づくと、光る蝶が舞い降りること。
 光の蝶は肉体から離れた魂を遥か空の上、妖精の国へと運んでいきます。

 そうして王の一族は、妖精の国で眠りにつき、来るべき時に王国でまた生まれ出るのです。