まさか中学の話をすることになるとは。
でも確かに振り返るべきか。

俺の中学はそこそこいい立地で、いい環境の学校だった。
そこに中学2年生で引っ越してきたのが
佐々木恵だ。
恵とは中3で同じクラスになった。

問題はここからだ。

中3と言えば受験。
俺も受験勉強をそれなりに頑張っていた。
志望校はA判定を取り続けていた。

そんな俺は受験に対しては重く受け止めていなかった。
でも恵と隣の席になってから変わった。

話してみるとよく喋るやつで、面白いやつだと思った。
そんな恵は勉強が学校1できた。
県1番の進学校にA判定が出ていたのだ。

その話を聞いた時。
俺は志望校を変えた。

つまりは恵に一目惚れだったわけだ。
俺は上を目指したい、と思うようにしていたが当時は内心気づいていただろう。

恵は読書とゲームが好きだと言った。
俺はゲームは元々やっていたが、本を読むことは好きではなかった。
国語が70点だったのは本を読んでいないからなのは明白だった。

国語が出来ないからと、本を買いに行き、それから毎日読み続けた。

ある日、恵が言った。

「本そんなにしつこく読んでたっけ?」

「国語が出来ないからね」

そう答えた、気がする。
覚えていないのはやはり言い訳をした自覚があるからだろうか。


ああなったのは俺のせいだと思う。
恵が好きだと言ったものは色々真似ていた。
それが引き金だった。

周りの奴らから冷やかされるようになった。
席が隣という言い訳も見苦しいほどに自覚があった。
恵が好きだと。

その時の俺は見て見ぬふりをした。

恵と話すことはほとんど無くなり、男のグループに混ぜてもらっていた。
しかしそう簡単にはいかなかった。いくはずがなかった。

恵は学校で全く喋らなくなった。
今、高校みたいに。
1日中勉強と読書で常に机に向かっていた。

俺は何も出来なかった。
ただ見ているだけ。
振り返ってみて分かる。
弱いやつだった。

高校は志願先変更を済ませていたため、必死になって最終模試でB判定までこぎつけた。

俺と恵どちらも合格。

親からは喜ばれたが、俺は嬉しくなかった。
理由は分かっていた。

高校生になり1年目の去年。
恵とはクラスが違った。

俺は1人で1年ぼーっとしていた。

そもそも俺の中学で受かったのは、
俺と恵だけらしい。

またもや言い訳になるが、1人も悪いもんじゃなかった。
そう思っていてほしい。

そして今に至る。


恵から切り出した中学時代。
恵はどう思っていたのだろう。
俺はなにから伝えるべきか。