あれから3ヶ月。
未だに現実味がない。
俺に彼女がいることについて。


あの後、メールで告白した。
返事は一応YESだった。
何故か嘘コクの件は言わなかった。言いたくなかった。

翌日、裕二に報告してみた。
あいつはニコニコしながら

「おめでとう!」

といった。
やっぱり知ってるんじゃないかと不安になる。
それより今は夏休み。
遊びにでも誘ってみるか?

『ピロン』

『佐々木恵』
『プール行かない?』

確定演出。


電車に2人揺られる。

こんな青春っぽいことしたのは初めてだ。
それよりプール行くのに電車乗らないといけないのは知らなかった。
でも、大型施設に行けるならいいか。

「━━━。」
「━━━。」

沈黙は嫌いじゃないはずなのに、今はなんとなく辛い。
あ、そういえば。

「あの…」

「なに?」

「なんて呼べば…?」

ほんとに付き合ってるのか?これ。

「佐々木でも、恵でもなんでもいいよ。」
「私は誠司って呼ぶけどね。」

高校生活安泰とはこのことか。
初めてと言っていい程の感覚に陥る。
なんとも形容しがたい。

「━━━。」
「━━━。」

まぁこれもいいか。


驚いた。
夏のプールはこんなにも人がいることに。
人酔いしそうなぐらい。
あともうひとつ。

可愛い。

水着の効果は絶大ということをまさに今感じている。

「なにして遊ぶ?」

そう聞かれたはず。
あまりよく覚えていないが、たぶん答えることは出来なかったはずだ。
そのとき、目の前に釘ずけになっていたのだから。

帰りの電車は話が弾んだ。

「あれ面白かったね。」
「次なにして遊ぶ?」

幸せが爆発しそうだ。
まさか裕二に感謝する日が来るとは。


あの中学とは大違いだ。