出し物は執事、メイド喫茶ね。
教室にその声が響く。
坂本の声だ。

あいつが執事、似合わない。
横目であいつを見ると目が死んでいる。
そりゃそうだ。
私だってメイドは嫌だ。

現実を受け止めたくなくてぼーっと黒板を眺めているとあいつがこっちを向いていた。
あいつまさか。
あの表情は見たことがある。
たぶん私のメイド服楽しみにしてる。

夏休みのときはおかしかった。
認めたくないけどあいつが好きでたまらなかった。
高校生らしいことだってしたかった。
今は落ち着いたけどいつ再発するかわからない。

あいつはいつも通りだな。

文化祭当日。
死ぬかと思った。
なんでこのクラスだけ大繁盛なの?
校内放送でほかのクラスのPRが始まる始末。

勤務時間の半分位でギブ。
裏方の仕事を手伝った。

午前の部終了のアナウンスがあった。
するとあいつも裏に戻ってきた。

おつかれ、と言ってやるべきだっただろうか。
しかし先に喋られてはどうしようもない。

「行こうぜ?」

「どこに?」

「一緒に回らないかって」

そういえば午後はフリーだったこと忘れてた。
午前で頭がパンクしかけてたからかな。

「あーうん、行こ。」

また曖昧な返事をしてしまった。
好き好き症候群の再発はすぐそこかも。


出し物はいろいろあった。
迷路もあったしミニゲームも面白かった。
食べることは不動の1位だとしても楽しかった。

午後の部終了のアナウンスの後あいつに聞かれた。

「楽しかった?」

本心で答える。

「楽しかったよ。」

なんてことない会話に思えたけど、あいつの目は輝いていた。

その後すぐに夜の部も誘われた。
もちろん参加することにした。

だってメインはこれじゃん。