「今年度は皆さん生徒主体の学校を目指します。」


校長の長すぎる話がやっと終わった。やっと帰れる。
最近は補習だ、とかで漫画が全く読めない。
家に帰ってまず提出物片付けて、それから━━

「おーい誠司ー」

「おう、なんだよ。」

世間一般的には友達とされている裕二だ。
こいつは破天荒すぎてついていけない。

「遊びしよーぜ!」

ほらこうだ。
ついさっき校長の話の時間ずっと考えてた計画がきっと水の泡になるだろう。

「はぁ、何すんの?」

「嘘コク大会♡」

「は?」

何を言ってるんだこいつは。
高校生にもなって嘘コクに大会をくっつけてしまうぐらいおかしな奴なのか。
お前のイメージダウンは着々と進んでいるぞ。

「だから嘘コクだって。」

「2回言われてもなぁ。」

というかまだ進級して初日だぞ?
ほんとにどうかしてる。
話だけ聞くべきか?

「で、結局何すんの?」

裕二が、よくある悪いやつ特有の表情になった。

「そうこなくっちゃ。」

「で?誰なの?」

もうなるようになれだ

「同じクラスになった佐々木さん。」

「あーやっぱなしで。」

「え。なんでよ。」

「━━。」

裕二が気味悪くにやけた。
厄介なことになった。
なぜ唯一選んではいけない人を選ぶんだ。あいつは。

「そんなことよりお前は?」

「ん?俺?やらないよ?」

「え?」

さっきの大会発言はなんだったんだ。

「まあまあ細かいことは気にせず頑張れよ。」

さすが運動部、走りが軽やかだ。
なんて思ってる場合ではない。
なんだ頑張れとは。

憂鬱という言葉はこんな時に使うんだな。


あいつに俺の中学時代は知られてないはずなのに。