ここは願望の宝玉がある洞窟の最深部。

 透視しながら謎の影は、リューセイ達の動きを監視していた。

 「フフフ……。これは思っていたよりも、各々その装備にみあう能力を持っているようですね。ですが、まだです」

 そう言い不敵な笑みを浮かべる。

 「そうここにたどり着いた時、彼らを英雄になる者とし認めましょう。しかしながら。それはここで絶望し、すべてが夢まぼろしとなり潰えるのですがね」

 謎の影は、ふとあることに気づいた。

 「これは、なんてことでしょう。イレギュラーが一人。あの女、邪魔ですわね。さぁどうしましょうか」

 そう言うと考え始める。

 (そうですねぇ。彼女が洞窟に踏みいったら、森の外に転移するようにワナを張っておいたほうが良さそうですね)

 そう思い謎の影は、その場を離れ洞窟の入口へと向かう。

 そしてワナを張るとこの場所に戻ってきたのだった。



 場所は移り、ここは洞窟の入口付近。

 あれからリューセイとクライスは、アベルディオとルルカの魔法で回復してもらった。

 魔法を使ったアベルディオとイシスとルルカは、洞窟で何が起きるか分からないのでメマの実を食べ魔力を回復する。


 __ちなみにメマの実とは、見た目がブルーベリーに似ている。だが味は美味しいと言い難く、苦いので誰も好きこのんで食べない。

 それと硬いため、飲み込むしかないのだが実が小さいのでなんとか飲み込める。


 リューセイ達は、休んだあとその場を離れた。そして現在、この洞窟の前にいる。


 「いよいよだな!」

 リューセイはワクワクしながら、暗くて見えない洞窟の内部をみつめていた。

 「ああ。この洞窟の中に、」

 クライスは、はやく宝玉がみたくてウズウズしていた。

 「そうだな。この奥に俺たちの求める物がある!」

 アベルディオもまた、はやく中に入りたくて気持ちが落ち着かない。だが顔には出さなかった。

 「ねぇ、はやく入りましょうよ」

 ルルカはそう言いみんなをせかす。

 「待ってください。本当にルルカさんも、洞窟にいくのですか?」

 そう言いイシスは心配そうにルルカをみる。

 「大丈夫! 問題、ありませ〜ん」

 ルルカがそう言うもイシスは、本当に大丈夫なのかとよけい不安になった。

 「ねぇねぇ! ルルカが言うようにさぁ。はやく宝玉をみてこよ〜」

 そう言いユリエスは、ウキウキしながら洞窟の中へと勝手に向かう。

 「待てユリエス! まだ話が、」

 アベルディオに言われユリエスは、立ちどまると振り返りチラッとみる。

 だがニコッと笑顔をみせるとユリエスは、ふたたび歩きだし洞窟の中に入っていった。

 「どうする?」

 「アベルディオ。どうするって、追うしかないだろう!」

 リューセイはユリエスのあとを追いかける。

 「確かに追わないと。中でユリエスが、何をしでかすか分かったもんじゃない!」

 そう言いクライスもユリエスのあとを追った。

 「そうですね。急ぎませんと、ユリエスのことですから、」

 ユリエスがなにかやらかさないかと、ヒヤヒヤしながらイシスは洞窟に入っていく。

 そしてその後ルルカとアベルディオは、『しかたないなぁ』と思いながらみんなのあとを追いかけた。