……………………………………
ひ、光!?どうしてここに……
「大希、ごめんね。」
お願いだ、そんなこと言わないでくれ、俺を一人にしないでくれ。お願いだ……お願いだ…………
「やばい、遅刻だ!!」
俺、藤浦大希は今、人生最大のピンチが訪れている。それは学校に遅刻するという失態だ。人生で一度も遅刻したことないのに今日初めてするかもしれない。原因は見た夢だろう。光……結月光……二年前、亡くなった俺の友達、いや、親友だ。今日、彼女の夢を見た。久々に……
そんなことを考えていると、
ドサッ
俺はどうやら人とぶつかったらしい。
相手は俺と同年齢だろうか?うちの学校の制服をきている。
俺は見とれていた。素直に言うととても綺麗だった。俺がじぃっと見つめていると、向こうは不安そうな顔をした。
「あっ……す、すみません!」
俺はぶつかったことと、彼女をずっと見ていたことの二つの意味で謝った。すると、彼女は
ニコッ
と俺にお辞儀をした。
(あっ……これ…………)
俺はこの顔を知っていた。それはかつて光がしていた顔だ。誰にも悟られないように、そして自分を隠すようにわざとニコニコとする。
「あ、あの!だ、大丈夫ですか!?どこか痛みますか?病気に…………」
「……………………っっっ!」
俺は自分がどこか痛めつけたのではないかと思い、必死になった。すると彼女は困った顔をした。多分困った顔なのだろう。さっきのお辞儀の顔といい、今の顔といいこの二つの顔だけで俺は彼女がいい人、善人なのだろうと思った。
俺自体、よく人の顔を見て行動する。何をしたらいいか、何をしたらいけないか、相手の顔を見るだけで分かる。でも彼女の顔は、、何もしなくて良いような、でも何かしてほしいような、そんな顔をしている。つまり、人(俺)を頼ろうとしているのだが、申し訳ないと思い、なかなか言い出せないのだろう。だから俺は行動をとった。
「あの、ほんとに大丈夫ですかね?俺に出来ることならするのでなんでも言って下さい!」
すると彼女は抱えていたバッグから紙とペンを取り出し、
『ありがとうございます。今、道に迷っているのですが、北坂高校にはどうやって行けば良いのでしょうか?』
そう紙に書き、俺に渡してきた。
「ああ、そこ、俺が通っている高校なんで、あれだったら一緒に行きます?」
流石に不味いか?と俺が思っていると、向こうは首をぶんぶん縦に振っていて行く気満々だ。
まあ、しょうが無いか。俺はそう思い、彼女の横を歩きながら学校へ向かった。
途中、彼女がもじもじしながらまた紙を渡してきた。そこには
『あの、失礼かも知れないのですが、私が紙で会話していることは気にならないのですか?』
と書かれていた。
「いやー、俺はあんま気にしないかな。」
と言うと彼女は安心した。と言わんばかりの顔をした。感情が表に出やすい性格なのだろう。
そして学校に到着した。正門前には先生が三人立っていた。そして俺を見るなりこっちに駆け寄ってきた。
「藤浦ぁ!遅刻だぞ!」
一人の先生からそう怒鳴られた。まあ、そうだろう、今の時間は9時、授業はもうとっくに始まっている。これは今から説教かな、と思っていると、
『彼は私に道案内してくれて、それに私の歩幅に合わせてくれて、遅れたのは私の責任なんです。』
そう書いた紙を彼女が先生に見せていた。
「もしかして君が鏡さんかい?」
そう先生が聞くと彼女はこくり、と首を動かした。
「そうか……いろいろと大変だっただろう、とりあえず中に入ろうか。藤浦、お前遅刻初めてだよな、それに人助けしていたのだから今回は丸く収めよう。でも、次からはみっちり説教するからな。」
俺はそう言われ先生達に押し込まれるように校舎に入った。
一時間目が終わった直後、俺は教室に入った。
「大希が遅刻なんて珍しいな。こいつなんかずっと心配してたんだぞ?」
「ちょっ、陸!私そんなことしてないんだけど!」
彼らは俺の幼少期からの友達、皆野陸と南加恋だ。
「二人とも心配かけてすまん。」
「あれか?光さんの。」
「んー、まあ、それもあるんだけど……」
「だけど……?」
「人助けしてた。」
「はぁーー?」
二人揃ってそう言われた。まあ、そういう反応になるよな。
「まあ、そんな感じ。」
俺はこれまでの成り行きを一通り話した。
「んー、なるほど、なんか大希お前、青春してるなー。」
「そうか?」
「ああ、少なくとも俺から見たら充分青春してるよ。」
「ならそうなんだろうけど、てか加恋はどうしたんだ?」
「ま、まあ、そっとしておいてやれ。」
「大希が一目惚れ……一目惚れ……そんな……」
加恋はなにやらぶつぶつ呟いている。
「にしてもすげーな。」
「え、なにが?」
「いやだって自分が遅刻しそうなのに困っている人助けたんだろ?普通無視するだろ。」
「そんなもんなんかな?」
「そうだよ!だからすげーなって。まあ、そういう行動力があることは長所だと思うぜ。」
「ありがとな。」
「おう。」
そして俺は自分の席に戻り、二時間目の準備を始めた。
ひ、光!?どうしてここに……
「大希、ごめんね。」
お願いだ、そんなこと言わないでくれ、俺を一人にしないでくれ。お願いだ……お願いだ…………
「やばい、遅刻だ!!」
俺、藤浦大希は今、人生最大のピンチが訪れている。それは学校に遅刻するという失態だ。人生で一度も遅刻したことないのに今日初めてするかもしれない。原因は見た夢だろう。光……結月光……二年前、亡くなった俺の友達、いや、親友だ。今日、彼女の夢を見た。久々に……
そんなことを考えていると、
ドサッ
俺はどうやら人とぶつかったらしい。
相手は俺と同年齢だろうか?うちの学校の制服をきている。
俺は見とれていた。素直に言うととても綺麗だった。俺がじぃっと見つめていると、向こうは不安そうな顔をした。
「あっ……す、すみません!」
俺はぶつかったことと、彼女をずっと見ていたことの二つの意味で謝った。すると、彼女は
ニコッ
と俺にお辞儀をした。
(あっ……これ…………)
俺はこの顔を知っていた。それはかつて光がしていた顔だ。誰にも悟られないように、そして自分を隠すようにわざとニコニコとする。
「あ、あの!だ、大丈夫ですか!?どこか痛みますか?病気に…………」
「……………………っっっ!」
俺は自分がどこか痛めつけたのではないかと思い、必死になった。すると彼女は困った顔をした。多分困った顔なのだろう。さっきのお辞儀の顔といい、今の顔といいこの二つの顔だけで俺は彼女がいい人、善人なのだろうと思った。
俺自体、よく人の顔を見て行動する。何をしたらいいか、何をしたらいけないか、相手の顔を見るだけで分かる。でも彼女の顔は、、何もしなくて良いような、でも何かしてほしいような、そんな顔をしている。つまり、人(俺)を頼ろうとしているのだが、申し訳ないと思い、なかなか言い出せないのだろう。だから俺は行動をとった。
「あの、ほんとに大丈夫ですかね?俺に出来ることならするのでなんでも言って下さい!」
すると彼女は抱えていたバッグから紙とペンを取り出し、
『ありがとうございます。今、道に迷っているのですが、北坂高校にはどうやって行けば良いのでしょうか?』
そう紙に書き、俺に渡してきた。
「ああ、そこ、俺が通っている高校なんで、あれだったら一緒に行きます?」
流石に不味いか?と俺が思っていると、向こうは首をぶんぶん縦に振っていて行く気満々だ。
まあ、しょうが無いか。俺はそう思い、彼女の横を歩きながら学校へ向かった。
途中、彼女がもじもじしながらまた紙を渡してきた。そこには
『あの、失礼かも知れないのですが、私が紙で会話していることは気にならないのですか?』
と書かれていた。
「いやー、俺はあんま気にしないかな。」
と言うと彼女は安心した。と言わんばかりの顔をした。感情が表に出やすい性格なのだろう。
そして学校に到着した。正門前には先生が三人立っていた。そして俺を見るなりこっちに駆け寄ってきた。
「藤浦ぁ!遅刻だぞ!」
一人の先生からそう怒鳴られた。まあ、そうだろう、今の時間は9時、授業はもうとっくに始まっている。これは今から説教かな、と思っていると、
『彼は私に道案内してくれて、それに私の歩幅に合わせてくれて、遅れたのは私の責任なんです。』
そう書いた紙を彼女が先生に見せていた。
「もしかして君が鏡さんかい?」
そう先生が聞くと彼女はこくり、と首を動かした。
「そうか……いろいろと大変だっただろう、とりあえず中に入ろうか。藤浦、お前遅刻初めてだよな、それに人助けしていたのだから今回は丸く収めよう。でも、次からはみっちり説教するからな。」
俺はそう言われ先生達に押し込まれるように校舎に入った。
一時間目が終わった直後、俺は教室に入った。
「大希が遅刻なんて珍しいな。こいつなんかずっと心配してたんだぞ?」
「ちょっ、陸!私そんなことしてないんだけど!」
彼らは俺の幼少期からの友達、皆野陸と南加恋だ。
「二人とも心配かけてすまん。」
「あれか?光さんの。」
「んー、まあ、それもあるんだけど……」
「だけど……?」
「人助けしてた。」
「はぁーー?」
二人揃ってそう言われた。まあ、そういう反応になるよな。
「まあ、そんな感じ。」
俺はこれまでの成り行きを一通り話した。
「んー、なるほど、なんか大希お前、青春してるなー。」
「そうか?」
「ああ、少なくとも俺から見たら充分青春してるよ。」
「ならそうなんだろうけど、てか加恋はどうしたんだ?」
「ま、まあ、そっとしておいてやれ。」
「大希が一目惚れ……一目惚れ……そんな……」
加恋はなにやらぶつぶつ呟いている。
「にしてもすげーな。」
「え、なにが?」
「いやだって自分が遅刻しそうなのに困っている人助けたんだろ?普通無視するだろ。」
「そんなもんなんかな?」
「そうだよ!だからすげーなって。まあ、そういう行動力があることは長所だと思うぜ。」
「ありがとな。」
「おう。」
そして俺は自分の席に戻り、二時間目の準備を始めた。