い始める。
 
  突然だが、言葉が好きか?と誰かに問われたら、貴方は何と言うだろうか。ちなみに私の場合はNOだ。では、なぜ本を読んでいるかって?きっとそれは、現実逃避なのだろう。私なりの。それから、言葉は人を傷つける。それが何より嫌いな理由だ。言葉がなければ傷つかなかったのにと、何度私は言葉を憎んだだろうか。図書室の奥へふっと目線をやると、クラスの人気者で明るくて優しい図書室には似合わない少女が私に背を向けて本を選んでいた。夕凪のばらだった。彼女の肩が震えているような気がして、思わず息を呑んだ。それから、私が彼女の元へ足を運ぶ決意をするまでに数秒もかからなかった。