日向が自分の部屋に帰ったのを確認した蒼さんが、俺に「大丈夫か。」と短く一言聞いてきた。彼は、日向同様とても整った顔立ちをしている。まさか、彼に話しかけられると思っていなかった俺は、多少驚きつつも首を立てに振った。彼はそうか、と薄く笑うと俺に「眠れないな。」と言った。クールな見かけによらずなかなか優しい人だ。少し話をしなかいかと蒼さんは、言った。彼は、日向の話を始めた。彼曰く彼女は小さい頃、天真爛漫で明るい少女だったそうだ。四歳の時に、実の母親が病気で亡くなっているそうだ。義理の母親に引き取られた日向は、家内でひどい扱いを受けていたそうだ。日向の実の母親の姉に引き取られたのだが、彼女は有名な財閥の社長の妻で、日向のことを認めていなかったそうだ。そんなとき長女の初音さんが雨に濡れている日向を見て、慌てて家に引き取ったそうだ。つまり、今日会った蕾やかすみ、椿たちは義理の妹だそうだ。彼女が家に来た当初は失声症という心因性の病気にかかっており、声が出ていなかったという。それから二年して彼女はこの家に打ち解けてきたと言う。そこまで言って、蒼さんは一回息を吐いた。日向にそんな過去があったとは知らず、あまりにも壮絶すぎる過去には俺も動揺を隠せなかった。蒼さんは、日向が今も学校であまり声を出さないのはその過去も原因となっているそうだ。そんな彼女の話を聞いたその日の夜はなんとなく眠りに着くのが遅かった。
次の日の朝、五時に「おはよう。」と声が聞こえて思わず顔を上げる。蒼さんだ。「おはようございます。」と俺が返すと彼は少し笑った。「向日葵!行ってきます。」と彼が言うと、「行ってらっしゃい!蒼!」と日向の声が聞こえる。もう起きているのだろうか。日向は、居間に来ると、「おはよう。」と話しかけた。「おはよ。」と俺が返すと少し日向は微笑んだ。やはり彼女は蒼さんに似ている。昨日の話を聞いていて、一つ彼女に聞きたいことがあった。「色々聞いた。日向のこと。」俺がそういうと大きな瞳を更に大きく見開くと「そう。」と言った。「それでさ、聴きたいことあるんだけど。」「何?」「特技ある?」俺の質問が予想外だったのか彼女は笑った。
「私の特技はないけど、得意なことはあるよ。私の得意なことは、よつ葉のクローバーを探すことかな?」と彼女は微笑んで言った。予想外な答えに、「トランペットじゃなくて?」と聞き返すと、彼女はえっというように、「それを特技っていうの?」俺に聞いた。なんだかそれがちょっとおかしくって笑うと更に彼女は首を傾げた。「得意なこといっぱいあんじゃん。数学だってできるし、トランペットだってできるし、まあよつ葉のクローバーを探せるっていう人は人生で二回目か。」と俺が言うと「二回?」と彼女は聞いた。「嗚呼。」と俺は頷いた。俺の初恋の女の子だ。俺によつ葉のクローバーをくれたのは。そして特技はよつ葉のクローバーを探すことと答えたのだった。日向は、「そうなんだね。私も昔小さい頃にね?男の子によつ葉のクローバーをあげたことがあるの。」と彼女は言った。そうかと俺は頷いた。彼女は一見冷たく見えるけれど、とても優しい少女だ。彼女はきっとそうなのだろう。初恋の女の子によく似ている。それから部屋にあった野球ボール、あれは、あれは、’’雨竜’’という名字は・・・俺の、俺の、名前だった。きっと彼女は、俺の・・・
次の日の朝、五時に「おはよう。」と声が聞こえて思わず顔を上げる。蒼さんだ。「おはようございます。」と俺が返すと彼は少し笑った。「向日葵!行ってきます。」と彼が言うと、「行ってらっしゃい!蒼!」と日向の声が聞こえる。もう起きているのだろうか。日向は、居間に来ると、「おはよう。」と話しかけた。「おはよ。」と俺が返すと少し日向は微笑んだ。やはり彼女は蒼さんに似ている。昨日の話を聞いていて、一つ彼女に聞きたいことがあった。「色々聞いた。日向のこと。」俺がそういうと大きな瞳を更に大きく見開くと「そう。」と言った。「それでさ、聴きたいことあるんだけど。」「何?」「特技ある?」俺の質問が予想外だったのか彼女は笑った。
「私の特技はないけど、得意なことはあるよ。私の得意なことは、よつ葉のクローバーを探すことかな?」と彼女は微笑んで言った。予想外な答えに、「トランペットじゃなくて?」と聞き返すと、彼女はえっというように、「それを特技っていうの?」俺に聞いた。なんだかそれがちょっとおかしくって笑うと更に彼女は首を傾げた。「得意なこといっぱいあんじゃん。数学だってできるし、トランペットだってできるし、まあよつ葉のクローバーを探せるっていう人は人生で二回目か。」と俺が言うと「二回?」と彼女は聞いた。「嗚呼。」と俺は頷いた。俺の初恋の女の子だ。俺によつ葉のクローバーをくれたのは。そして特技はよつ葉のクローバーを探すことと答えたのだった。日向は、「そうなんだね。私も昔小さい頃にね?男の子によつ葉のクローバーをあげたことがあるの。」と彼女は言った。そうかと俺は頷いた。彼女は一見冷たく見えるけれど、とても優しい少女だ。彼女はきっとそうなのだろう。初恋の女の子によく似ている。それから部屋にあった野球ボール、あれは、あれは、’’雨竜’’という名字は・・・俺の、俺の、名前だった。きっと彼女は、俺の・・・