「よし、これでちらしは完成っと」
 あの後、西条くんが帰ってきた頃にはすっかり私の目頭も熱くなくなりちらしも完成していた。
 時間もだいぶ遅くなっていたのでまた木曜の夜、再集合という形でお開きになり今またいつもの神社で二人座っている。
 今回捌けなくてもまた使えるからという理由で二百枚近く刷ったらしいちらしは分厚い。
「ねえ、雪ってさ顔が似てる双子とかいる?」
 あまりにも唐突な質問に私は眉間に皺を寄せる。
「双子はいない。お姉ちゃんならいるけど顔は全く似てないよ」
「そっ、か」
「え、何、何。え、怖いんだけど」
 意味が分からず怖がっていると西条くんは笑った。
「いや、姉ちゃんがこんな美人が世の中に二人いたら幸せなのにねって」
「何だそれ」
 二人で話している時はそんなに感じなかったが実はちょっと変な人なのかもしれない。
「それでさ、いつやるの?」
 どこかの土日で申請が通ればと話していたけれど結局いつにしたのかは聞いていなかった。
「えーっとね。申請が通ったのが……再来週の土曜日の夜かな」
「再来週の土曜日……」
 何か予定はあっただろうかと頭の中を検索にかける。
「……あ」
「ん?」
「その日、模試だ」
「あー」
 授業くらいならサボってしまおうかなんて考えていたけれどさすがに模試はサボれない。
「確認取れば良かったかな、ごめん」
「いいよ、私に予定合わせてたらいつ出来るか分からないし」
「ごめん」
 私は首を振りながら何とか行ける方法はないかと考えていた。