誰も知らないはずだった。
私だけの世界。今、この瞬間だけはこの世に私一人なのだと思える世界。
水中をもがいているかのように重い足も溺れているかのように苦しい呼吸もここでだけは正常に動かすことができる。
普通に歩けているか、普通に笑えているか、そんなことを気にしなくてもいい世界。
──そんな世界が今、壊されかけている。
「ねえー、聞いてるー?」
こちらが何を考えているのか、なんてことは一切気にせず私の顔の前で手をぶんぶんと振る彼は私が渋い顔をしても何故か楽しそうでそんな彼の態度に私はまたむかついた。
「あの、この間決めましたよね。私はいつも木曜日に来ているからそれ以外の曜日ならどうぞって言いましたよね」
「でも、俺別にそれにいいよって言ってないし。雪が一方的に決めただけじゃん。だから俺もここに来る権利がある!」
へへっと笑いながらドヤ顔をする彼に私はまだまだ文句を言いたかったが彼が私の言葉なんかでひかないことはもうたった二回会うだけで分かっていた。
私だけの世界。今、この瞬間だけはこの世に私一人なのだと思える世界。
水中をもがいているかのように重い足も溺れているかのように苦しい呼吸もここでだけは正常に動かすことができる。
普通に歩けているか、普通に笑えているか、そんなことを気にしなくてもいい世界。
──そんな世界が今、壊されかけている。
「ねえー、聞いてるー?」
こちらが何を考えているのか、なんてことは一切気にせず私の顔の前で手をぶんぶんと振る彼は私が渋い顔をしても何故か楽しそうでそんな彼の態度に私はまたむかついた。
「あの、この間決めましたよね。私はいつも木曜日に来ているからそれ以外の曜日ならどうぞって言いましたよね」
「でも、俺別にそれにいいよって言ってないし。雪が一方的に決めただけじゃん。だから俺もここに来る権利がある!」
へへっと笑いながらドヤ顔をする彼に私はまだまだ文句を言いたかったが彼が私の言葉なんかでひかないことはもうたった二回会うだけで分かっていた。