次の日。僕はいつものように日付が変わる頃まで家の自室で勉強をしていた。

いつものように頃合いを見計らって時計に目をやると、珍しく今日はまだ日付が変わるまで三十分もあった。

時計を見るタイミングなんて今までほとんど変わらなかったのに、珍しく今日は集中力が切れるのが早い。

あいにく再び集中する気力なんてもう残っていない。いつもより早めに外に出るとしよう。

今日は一平さんが夜勤の日だから本当は母さんを一人にしない方が良いはずなんだけど、少しくらいは許して欲しい。

僕は家を出る前に母さんが寝ている寝室前で立ち止まり、ちゃんと寝ているのを確認してから外に出る。

昨日と同じ道を辿って線路沿いの道に出て、線路の向こうを注意深く見渡す。けれど小夜の姿は見当たらない。

よくよく考えれば、今日も必ず小夜と出会えるなんて思うのは都合が良すぎる。住む世界が違う僕らが出会えるのは、ある意味奇跡みたいなものだったのかもしれない。

そうやってわざと悪い方に想像し直しながら公園に向かっていると、意外とすぐに小夜と再会ができた。

ブランコに座っている小夜は、相変わらず真っ白なワンピースを着ているから闇夜で良く目立つ。

生身の人間なら不審者に絡まれないかと心配もするけれど、彼女は普通の人間じゃないからまあ安心だ。もしかすると僕だけが小夜を認識している可能性だってある。