私が面接したのは学校と駅の丁度真ん中にあるコンビニだ。ここが良かった訳ではない。色んな所に面接に行って、受かったのがここだけだったから。本当は書店とかで働きたかったが年齢がダメで叶わなかった。それに早く働きたかったからいいだろう。
「いらっしゃいませー」
他の人の声で、我に返った。今はバイトに集中しよう。初日で失敗なんて、絶対に出来ないのだから。
「お疲れ様、田辺さん。」
控え室で着替えていると、私に色々教えてくれた女性が話しかけてきた。
「ありがとうございます。」
「田辺さんは高校生になったばかりよね。若いわぁー」
女性は三十代前半ぐらいだろう。若いのになと思いつつ、私と比べると歳だなとも思った。
「今日はありがとうございました。お先に失礼します。お疲れ様です。」
「お疲れ様ー」
外に出るとまだ少し寒かった。だけど私はこの寒さが好きだ。寒いの中に春らしさがあり、少しだけ心が明るくなる。
電車に乗ると帰宅する会社員で席は埋まっていた。この人達はなんの為に働いているのだろう。
あっと言う間に最寄り駅に着いた。とても栄えている所ではないから降りる人はあまりいない。
改札を抜け、すっかり暗くなった空を見上げる。こんな時間に外を出ているなんて。しかも親に何とも言われない。早速バイトを始めて良かったと思えた。
家の前に着きドアノブを引くと開いた。それもそうか。時刻は二一時。彗が帰って来ているはず。
「おかえり...って、桜か。」
彗は母親だと思って部屋から降りて来た。そんな露骨に嫌な顔して欲しくない。
「ただいま。鍵、開いてたよ。危ないから気をつけてね。」
「わかってるよ、うるせーな。」
なんだこいつ。もしあんたに何かあったら私が言われるんだよ。
「ごめん。」
「それと作り置きの料理の味薄かった。」
「作り置きは私、作ってないよ。」
キッパリ言うと彗は私を睨んで部屋に戻った。一人残された私はイライラした気持ちを手の平を握って我慢した。
落ち着いたから身支度を整え、スマホを開いた。純からの通知でいっぱいだったが既読をつけずに最近のだけ読むと、今度遊びに行かないか、一緒に勉強しないかとどうでもいい内容だった。だから返事をせず、そのままにした。私なんかと関わらないで、もっと気の合う人といればいいのに。
次の日。一階に降りると母親が作り置きを作っていた。その姿を見て、昨日の彗の言動を言いつけたくなった。
「あらおはよう。」
「おはよう。そういえば昨日彗が、作り置きの味が薄かったって言ってた。」
「え?そうなの、彗。」
母親が声を掛けた方を見ると、彗が立っていて、目を大きく見開いていた。そして母親にバレないように私を睨んだ。
「どうなの、彗。」
母親は私を問い詰める時とは違って、優しかった。
「いらっしゃいませー」
他の人の声で、我に返った。今はバイトに集中しよう。初日で失敗なんて、絶対に出来ないのだから。
「お疲れ様、田辺さん。」
控え室で着替えていると、私に色々教えてくれた女性が話しかけてきた。
「ありがとうございます。」
「田辺さんは高校生になったばかりよね。若いわぁー」
女性は三十代前半ぐらいだろう。若いのになと思いつつ、私と比べると歳だなとも思った。
「今日はありがとうございました。お先に失礼します。お疲れ様です。」
「お疲れ様ー」
外に出るとまだ少し寒かった。だけど私はこの寒さが好きだ。寒いの中に春らしさがあり、少しだけ心が明るくなる。
電車に乗ると帰宅する会社員で席は埋まっていた。この人達はなんの為に働いているのだろう。
あっと言う間に最寄り駅に着いた。とても栄えている所ではないから降りる人はあまりいない。
改札を抜け、すっかり暗くなった空を見上げる。こんな時間に外を出ているなんて。しかも親に何とも言われない。早速バイトを始めて良かったと思えた。
家の前に着きドアノブを引くと開いた。それもそうか。時刻は二一時。彗が帰って来ているはず。
「おかえり...って、桜か。」
彗は母親だと思って部屋から降りて来た。そんな露骨に嫌な顔して欲しくない。
「ただいま。鍵、開いてたよ。危ないから気をつけてね。」
「わかってるよ、うるせーな。」
なんだこいつ。もしあんたに何かあったら私が言われるんだよ。
「ごめん。」
「それと作り置きの料理の味薄かった。」
「作り置きは私、作ってないよ。」
キッパリ言うと彗は私を睨んで部屋に戻った。一人残された私はイライラした気持ちを手の平を握って我慢した。
落ち着いたから身支度を整え、スマホを開いた。純からの通知でいっぱいだったが既読をつけずに最近のだけ読むと、今度遊びに行かないか、一緒に勉強しないかとどうでもいい内容だった。だから返事をせず、そのままにした。私なんかと関わらないで、もっと気の合う人といればいいのに。
次の日。一階に降りると母親が作り置きを作っていた。その姿を見て、昨日の彗の言動を言いつけたくなった。
「あらおはよう。」
「おはよう。そういえば昨日彗が、作り置きの味が薄かったって言ってた。」
「え?そうなの、彗。」
母親が声を掛けた方を見ると、彗が立っていて、目を大きく見開いていた。そして母親にバレないように私を睨んだ。
「どうなの、彗。」
母親は私を問い詰める時とは違って、優しかった。