「教えてくれるんじゃん。痩せすぎじゃない?」

「私だから教えてくれるんだよ。他の女子には聞いちゃいけないよ。それに痩せすぎじゃないし。入院しててこれだけあるっていい方でしょ。」

「軽くて心配だよ。退院したら美味しい物、沢山食べに行こうな。」

「はは、そうだね。」

退院、本当に出来るのかな。

一瞬、本当に一瞬だけそんな事が頭をよぎった。そんな縁起でもない事を思うのはやめよう。

「なあ桜、俺と付き合ってくれてありがとな。」

「え?急にどうしたの?」

純は私の肩に頭をのせた。だから表情は見えない。

「ほら、桜は俺の今後を考えてもう会わないって決断をしてくれたのに、俺が病院まで行って付き合う事を頼んだから。お礼言ってなかったと思って。」

「そんな事気にしてたの?私は純が病院まで来てくれたから本音を言えたし、治療ももっと頑張ろうって思えたんだよ。今生きてるのは純のおかげと言っても過言ではない。」

「俺は桜の支えになれてる?」

「もちろん。」

「そっか。それなら良かった。」

こんな弱気な純は初めて見た。純はあの日病院に来てくれてから泣かないし、弱音な事は言わない。ずっと笑顔で私に愛を伝えてくれた。その裏ではずっと苦しかったのかな。俺は桜の支えになってるのかなって。それもそうだ。好きな女性が病気で、余命が半年と言われたら普通、離れていく。でも純は一緒に居る道を選んでくれた。苦しくない訳ない。けれどそれを言ったら私を悩ませてしまうと思ったから言えなかったのだろう。

「純、ごめんね。こんな彼女で。」

「違う。桜は悪くない。俺が弱いのが悪いんだ。桜を支えるって決めたのにこんな事言ってごめんな。」

肩から頭を離した純は笑っているのに悲しそうだった。純だって、不安に決まってる。なのにどうして笑うの?

「純、無理して笑わなくていいんだよ。」

「無理なんてしてないよ。」

「ううん、してる。だからさ、不安になったら私にいつでも言ってよ。」

「いや、それは...」

「純、私に言うよね。なんでも言ってって。だったらお互い話し合えばいいんだよ。」

「でも俺の不安を話したら桜はまた離れようとするだろ?そんなの嫌だし、いつも不安な訳じゃないから。」

私が純を思って決めた事が、純を苦しめている。私はもう純から離れないのに。

「私は純の不安を話されてももう離れようとしないよ。そりゃあ悩みはするかもだけど、生きてるこの時間を全て純と使うって決めたんだから離れない。」

「桜...」