それからの事はよく覚えていない。どうやって病院まで帰ったのか。ただ一つ覚えているのは別れ際の純の一筋の涙だ。滅多に泣かない純の涙は私の心に残り、脳裏から離れない。
私のせいで泣かせてしまった。私が変に関わったせいで純は辛い思いをしてしまった。そう自分を責めて一日が終わる。そのせいか体調は悪くなる一方で、吐き気は治まらない。食べ物が食べられないから点滴で栄養を補っている状態だ。
純と一緒に食べた海鮮丼、美味しかった。前に水族館に行った時の帰りに食べたオムライスも美味しかった。料理自体も美味しかったのだろうけれど、純がいたからあんなに美味しく感じたのだろう。
暇さえあれば純の事を考えていた。体調が悪すぎてベットから起き上がれないから、悲しい事にする事がそれしかないのだ。
そんな毎日を過ごしていたある日、体調がすこぶるいい日があった。久々にベットから起き上がれて、少しだけど食事もできた。先生も祖母も喜んでいた。
純はどうしてるかな。最後に会った日から二ヶ月が経った。連絡は一切来ない。あんな別れ方したのだ。来なくて当然だ。
窓際に立って、外を見る。私の余命は半年から四ヶ月となっていた。すっかり秋らしい風が吹くようになったが、まだ暑い日はある。これから冬が来て、春が来る。桜が咲く時、私は生きてるかな。
今年の春はそんなに早く死ぬなんて思っていなかったから桜をきちんと見なかった。こうなるのだったら見とけば良かった。どうして後悔は先にきてくれないのだろう。
スマホを開き、写真フォルダを見る。純を久々に見たかったからだ。
「え...なんで...?」
しかし写真は全て消えていた。どうやらスマホが壊れかけているらしく、写真が正常に保存されなかったみたいだ。あの日、写真が保存されたか確認すれば良かった。
これは純を悲しませた罰だ。会わないと決めたのに写真だけ見ようとか甘えてる。そういえば純が前に言っていたな。携帯の写真だと消えるかもしれないから、形に残すのだと。だから水族館ではペンダントを買っていた。本当に私は詰めが甘い。
「はぁ...純、会いたいよ...」
空の写真フォルダを見ながら呟いた。その時。
「俺も桜に会いたかったよ。」
聞こえるはずのない声がした。ついに幻聴まで聞こえる程病気が進行してしまったと少し落ち込んでいると、後ろから抱きしめられた。そしてやっと、幻聴ではなく本当の純がいる事が理解出来た。
「桜、すごく細くなった。体調はどうなんだ?」
純は私の隣に腰掛けると、何も変わらない表情で聞いてきた。まるであの別れ方なんてなかったかのように。
私のせいで泣かせてしまった。私が変に関わったせいで純は辛い思いをしてしまった。そう自分を責めて一日が終わる。そのせいか体調は悪くなる一方で、吐き気は治まらない。食べ物が食べられないから点滴で栄養を補っている状態だ。
純と一緒に食べた海鮮丼、美味しかった。前に水族館に行った時の帰りに食べたオムライスも美味しかった。料理自体も美味しかったのだろうけれど、純がいたからあんなに美味しく感じたのだろう。
暇さえあれば純の事を考えていた。体調が悪すぎてベットから起き上がれないから、悲しい事にする事がそれしかないのだ。
そんな毎日を過ごしていたある日、体調がすこぶるいい日があった。久々にベットから起き上がれて、少しだけど食事もできた。先生も祖母も喜んでいた。
純はどうしてるかな。最後に会った日から二ヶ月が経った。連絡は一切来ない。あんな別れ方したのだ。来なくて当然だ。
窓際に立って、外を見る。私の余命は半年から四ヶ月となっていた。すっかり秋らしい風が吹くようになったが、まだ暑い日はある。これから冬が来て、春が来る。桜が咲く時、私は生きてるかな。
今年の春はそんなに早く死ぬなんて思っていなかったから桜をきちんと見なかった。こうなるのだったら見とけば良かった。どうして後悔は先にきてくれないのだろう。
スマホを開き、写真フォルダを見る。純を久々に見たかったからだ。
「え...なんで...?」
しかし写真は全て消えていた。どうやらスマホが壊れかけているらしく、写真が正常に保存されなかったみたいだ。あの日、写真が保存されたか確認すれば良かった。
これは純を悲しませた罰だ。会わないと決めたのに写真だけ見ようとか甘えてる。そういえば純が前に言っていたな。携帯の写真だと消えるかもしれないから、形に残すのだと。だから水族館ではペンダントを買っていた。本当に私は詰めが甘い。
「はぁ...純、会いたいよ...」
空の写真フォルダを見ながら呟いた。その時。
「俺も桜に会いたかったよ。」
聞こえるはずのない声がした。ついに幻聴まで聞こえる程病気が進行してしまったと少し落ち込んでいると、後ろから抱きしめられた。そしてやっと、幻聴ではなく本当の純がいる事が理解出来た。
「桜、すごく細くなった。体調はどうなんだ?」
純は私の隣に腰掛けると、何も変わらない表情で聞いてきた。まるであの別れ方なんてなかったかのように。