その日の夜。消灯時間が過ぎても起きていた私は巡回している看護師さんにバレないように、スマホを使った。純へ返信する為だ。こんな時間に迷惑かもしれないが、返信がこなくてモヤモヤしているかもしれない。
─返信遅くなってごめんね。土曜、その時間で大丈夫だよ。─
送ったが当然既読はつかず、そのうちに私は眠ってしまった。
「田辺さん、朝だよ。」
「ん...先生...」
あっという間に朝が来て、先生が診察に来た。特に異常はなく、予定通り退院出来た。
「じゃあ田辺さん。また来月ね。それまでの間に来ないようにしてよ。」
「約束は出来ないけど、大丈夫だよ。昨日の結果、悪くなってなかったんでしょ?」
「そうだけど、油断は禁物だからね。」
「はいはい。また来月ね。ありがとう。」
「うん。お大事に。」
先生と別れ、祖母が運転する車で学校まで送ってもらった。時間的にまだ二時間目が始まったばかりだから三時間目には余裕で間に合うだろう。朝は退院の手続きとかで純に連絡出来ていない。先程チラッとスマホを見たら沢山通知が入っていた。学校に着いたら説明すればいいやと既読をつけなかった。それがいけなかった。
「おはよ桜。俺、ちょー心配したんですけど?」
丁度二時間目が終わった時に学校に着き、靴を履き替えてると横から純が覗き込んできた。
「うわ...急に話しかけないでよ。びっくりするじゃん。」
「俺の方が朝桜来てなくてびっくりしたからお互い様だよ。で、どうしたの?」
「色々あっておばあちゃんの家に泊まってたの。だから遅れた。」
「連絡してくれても良かったじゃん。」
「忙しかったの。ごめんね。」
「まあ桜来たから許す。あー、良かった。」
純は本当に安心したのかその場に座り込んだ。私が朝来ないだけでこんなになるって事は病気でしかも治らないとわかったらどうなるんだろう。絶対に言わないと改めて心に誓った。
「それよりさ、土曜楽しみだね。」
なんとか話題を変えようと頭をフル回転させた結果がこれだった。純は目を大きく開けて私を見た。
「え、なに?」
「だって桜から楽しみって言うの中々ないから。」
「まあそうだね。」
これまで生きてきて楽しいと思う出来事がなかったから言わなかっただけで、楽しいという感情はある。純と一緒にいることは楽しいと感じている。それを言うのはちょっと恥ずかしいから内緒だ。
「今、楽しみって言われて凄く嬉しかった。桜が楽しいって思える事沢山しような。」
一瞬、病気の事を見透かされたかと思った。だが純は私を楽しませたいからそう言っただけだ。この笑顔を守る為にも、病気の事は言わない。ごめんね、純。
─返信遅くなってごめんね。土曜、その時間で大丈夫だよ。─
送ったが当然既読はつかず、そのうちに私は眠ってしまった。
「田辺さん、朝だよ。」
「ん...先生...」
あっという間に朝が来て、先生が診察に来た。特に異常はなく、予定通り退院出来た。
「じゃあ田辺さん。また来月ね。それまでの間に来ないようにしてよ。」
「約束は出来ないけど、大丈夫だよ。昨日の結果、悪くなってなかったんでしょ?」
「そうだけど、油断は禁物だからね。」
「はいはい。また来月ね。ありがとう。」
「うん。お大事に。」
先生と別れ、祖母が運転する車で学校まで送ってもらった。時間的にまだ二時間目が始まったばかりだから三時間目には余裕で間に合うだろう。朝は退院の手続きとかで純に連絡出来ていない。先程チラッとスマホを見たら沢山通知が入っていた。学校に着いたら説明すればいいやと既読をつけなかった。それがいけなかった。
「おはよ桜。俺、ちょー心配したんですけど?」
丁度二時間目が終わった時に学校に着き、靴を履き替えてると横から純が覗き込んできた。
「うわ...急に話しかけないでよ。びっくりするじゃん。」
「俺の方が朝桜来てなくてびっくりしたからお互い様だよ。で、どうしたの?」
「色々あっておばあちゃんの家に泊まってたの。だから遅れた。」
「連絡してくれても良かったじゃん。」
「忙しかったの。ごめんね。」
「まあ桜来たから許す。あー、良かった。」
純は本当に安心したのかその場に座り込んだ。私が朝来ないだけでこんなになるって事は病気でしかも治らないとわかったらどうなるんだろう。絶対に言わないと改めて心に誓った。
「それよりさ、土曜楽しみだね。」
なんとか話題を変えようと頭をフル回転させた結果がこれだった。純は目を大きく開けて私を見た。
「え、なに?」
「だって桜から楽しみって言うの中々ないから。」
「まあそうだね。」
これまで生きてきて楽しいと思う出来事がなかったから言わなかっただけで、楽しいという感情はある。純と一緒にいることは楽しいと感じている。それを言うのはちょっと恥ずかしいから内緒だ。
「今、楽しみって言われて凄く嬉しかった。桜が楽しいって思える事沢山しような。」
一瞬、病気の事を見透かされたかと思った。だが純は私を楽しませたいからそう言っただけだ。この笑顔を守る為にも、病気の事は言わない。ごめんね、純。