それから私は両親に期待するのをやめた。だからと言って何もやらなくなった訳ではない。いつも通りのことをやるが、目立たないようにした。どうせ頑張っても何かと文句を言われるのだったら、目立たないようにやる方がいい。

そうして迎えた高校の入学式。やはりと言うべきか、両親は来なかった。姉さんが行った高校とは別で、偏差値も低いからだろう。私が通う高校も周りから見れば偏差値は高い方だけれど。

高校には幼なじみの今野純と一緒のクラスになった。純は明るくて、いつも周りに人がいる。私とは正反対だ。だけど純はそんな私でも変わらず接してくれた。

「あんま無料すんなよ。俺、いつでも桜のこと助けるから。」

そう言ってくれる人は私にいなかった。私は完璧にこなせないダメ人間。辛いとか苦しいって感情は思ってはダメだと自分に言い聞かせていたが、純の一言でそれらを思ってもいいのだと教えられた。

それから少しずつ私は純を頼るようになった。心なしか純は、嬉しそうだった。嬉しそうな純を見て、この人とずっと一緒にいたいと思った。

「桜、俺、桜のこと好きだ。ずっと大事にするから付き合ってくれないか？」

だから純からそう言われた時、とても嬉しかったがお断りした。私には時間がない。時間がない私と一緒にいるより、もっといい人を見つけて欲しかった。

ねぇ、純。私の事好きになってくれてありがとう。助けてくれてありがとう。私も大好きでした。

お互い生まれ変わっても好きでいたら付き合おうね。