「おい、やめろ。これ以上傷増やすな。跡になるぞ。」
「別にいい。跡になっても純には関係ないでしょ!!」
「桜!!」
純に止められても尚切り続けた私の左手首は血まみれだった。純は自分のカバンに入っていたタオルを私の手首に巻き、力強く抑えた。
「こんなのいらない。大丈夫だから。」
「大丈夫な訳ないだろ。とりあえず止血したら病院行くぞ。」
「やだ行かない。」
「ダメだ。ちゃんと手当てしないと。」
「行かないったら行かない!それ以上言うならまた切る。」
「わかった、わかったからそのハサミをおろして。怖いから。」
段々と落ち着いてきて、さっきまでの私を振り返ってみる。いきなり泣いて、純を困らせて。しまいには傷がバレて目の前で切るなんて。頭がおかしい人だ。自分を傷つけている時点でもう色々やばい人だけれど。
「ごめんなさい。」
純に迷惑をかけた。こんな傷を見て、不快な思いをしたかもしれない。そう思うとまた涙がでてきた。
「...桜はさ、小さい頃から一人でなんでも抱え込むよな。そんで急に感情が溢れるの。」
急に何を言い出すのだろう。まあその通りで何も言えないのだけれど。
「だから俺が注意深く見ておかなきゃいけなかった。桜に冷たい態度をとられても話し掛けに行けば良かった。そうしたら色んな所に傷をつけずに済んだのに。ごめんな。」
純は全く悪くないのに謝らせてしまった。私が全て完璧にこなせれば誰も嫌な思いしないで済んだのに。
「私が全部悪いの。私さえいなければ...」
「桜。あんまり自分を責めるな。俺はどんな桜でも受け止めるから。」
その言葉でまた大泣きしてしまった。そうだ。純は小さい頃からずっと私といた。だから今更迷惑とか思わないだろう。性格上、迷惑だと思ったら最初から関わらない人だ。私は結局、純の事を知ったフリをしていただけだ。
「あのね...純...」
私は少しずつ、家での事、学校での事を話した。純は真剣に聞いてくれて、家での事を話した時は家に乗り込もうとした。些か止めたけれど。
「そんな生活してたら傷つけたくもなるよな。味方が一人もいないんだもん。」
全て話し終えると純はポツリと呟いた。その言葉に私は驚いた。自分を傷つける行為を否定しないなんて。だからつい聞いた。
「否定しないの?」
「しないよ。だってこの傷は生きようとした証なんだよ。それを否定したら死ねって遠回しに言っているようなものだよ。」
「私ね、この行為中二の時もした事あるの。すぐ母親にバレて怒られた。」
「怒るなんて酷いよな。桜は人を傷つけない為に自分を傷つけてたのに。よく頑張ったな。」
「うん...」
純は優しく私を抱きしめた。今度は私は抵抗せず、純の腰に手を回して静かに泣いた。
「あんま無理すんなよ。俺、いつでも桜の事助けるから。」
「ありがとう。」
「もう二度と、一人で抱え込むなよ。」
「うん。」
「わかればよろしい。さ、一緒に帰ろう。送るよ。」
その日は純と手を繋いで帰った。最終下校ギリギリの時間で学校を出たから他の人に見られる事はないだろう。仮に見られても今は大丈夫な気がした。だって隣には純がいるから。
だけど私は一つだけ純に言えない事があった。これは何があっても言うつもりはない。
私の命が長くないなんて、口が裂けても言えない。
「別にいい。跡になっても純には関係ないでしょ!!」
「桜!!」
純に止められても尚切り続けた私の左手首は血まみれだった。純は自分のカバンに入っていたタオルを私の手首に巻き、力強く抑えた。
「こんなのいらない。大丈夫だから。」
「大丈夫な訳ないだろ。とりあえず止血したら病院行くぞ。」
「やだ行かない。」
「ダメだ。ちゃんと手当てしないと。」
「行かないったら行かない!それ以上言うならまた切る。」
「わかった、わかったからそのハサミをおろして。怖いから。」
段々と落ち着いてきて、さっきまでの私を振り返ってみる。いきなり泣いて、純を困らせて。しまいには傷がバレて目の前で切るなんて。頭がおかしい人だ。自分を傷つけている時点でもう色々やばい人だけれど。
「ごめんなさい。」
純に迷惑をかけた。こんな傷を見て、不快な思いをしたかもしれない。そう思うとまた涙がでてきた。
「...桜はさ、小さい頃から一人でなんでも抱え込むよな。そんで急に感情が溢れるの。」
急に何を言い出すのだろう。まあその通りで何も言えないのだけれど。
「だから俺が注意深く見ておかなきゃいけなかった。桜に冷たい態度をとられても話し掛けに行けば良かった。そうしたら色んな所に傷をつけずに済んだのに。ごめんな。」
純は全く悪くないのに謝らせてしまった。私が全て完璧にこなせれば誰も嫌な思いしないで済んだのに。
「私が全部悪いの。私さえいなければ...」
「桜。あんまり自分を責めるな。俺はどんな桜でも受け止めるから。」
その言葉でまた大泣きしてしまった。そうだ。純は小さい頃からずっと私といた。だから今更迷惑とか思わないだろう。性格上、迷惑だと思ったら最初から関わらない人だ。私は結局、純の事を知ったフリをしていただけだ。
「あのね...純...」
私は少しずつ、家での事、学校での事を話した。純は真剣に聞いてくれて、家での事を話した時は家に乗り込もうとした。些か止めたけれど。
「そんな生活してたら傷つけたくもなるよな。味方が一人もいないんだもん。」
全て話し終えると純はポツリと呟いた。その言葉に私は驚いた。自分を傷つける行為を否定しないなんて。だからつい聞いた。
「否定しないの?」
「しないよ。だってこの傷は生きようとした証なんだよ。それを否定したら死ねって遠回しに言っているようなものだよ。」
「私ね、この行為中二の時もした事あるの。すぐ母親にバレて怒られた。」
「怒るなんて酷いよな。桜は人を傷つけない為に自分を傷つけてたのに。よく頑張ったな。」
「うん...」
純は優しく私を抱きしめた。今度は私は抵抗せず、純の腰に手を回して静かに泣いた。
「あんま無理すんなよ。俺、いつでも桜の事助けるから。」
「ありがとう。」
「もう二度と、一人で抱え込むなよ。」
「うん。」
「わかればよろしい。さ、一緒に帰ろう。送るよ。」
その日は純と手を繋いで帰った。最終下校ギリギリの時間で学校を出たから他の人に見られる事はないだろう。仮に見られても今は大丈夫な気がした。だって隣には純がいるから。
だけど私は一つだけ純に言えない事があった。これは何があっても言うつもりはない。
私の命が長くないなんて、口が裂けても言えない。