朱莉が倒れた日から三日が経った。
今日も朱莉は学校に来てはいない。
僕は毎日彼女に連絡もしてるし、病院にも行ってる。
だけど、彼女の病気は徐々に悪くなっているとの事だった。
今の僕にできることは彼女の近くにいてあげること。
少しでも彼女に寂しい思いをさせない事だと思う。
どうか彼女の病気が良くなって欲しいと、僕は神に祈りを捧げる。
しかし、そんな僕の願いも無情に、朱莉からの連絡が入る。
『光希くんへ、明日最後の話があるから病院に来て欲しい』
僕はこのメッセージを見て、体が固まる。
──最後の話
すごい嫌な予感がする。
どうしてこんな連絡をしてくるんだ。彼女に返信するのが怖い。
もしかしたら明日で彼女とお別れになるのかもしれない。
いや、そんなはずは無い。こんなことを考えるのはやめよう。
考えたくもない悪い想像が、僕の頭の中を埋め尽くす。僕はベットに入り、無理やり目を瞑る。
結局その日は全く眠れなかった。
次の日、僕は朱莉のいる病院へ行った。
病室のベットに横になる朱莉の姿には、いつもの朱莉の面影は無かった。
「光希くん・・・・・・来てくれたんだ」
「朱莉・・・・・・」
彼女の姿を見るだけで、涙が出そうになる。
「光希くん・・・・・・手握って・・・・・・」
僕は彼女に近づき、彼女の手を握った。
彼女の手に力なんてほとんど入ってなんかいない。
だけど彼女の手の温もりだけはしっかりと伝わってくる。
「私これから死ぬのかな」
「そんな事言わないでよ・・・・・・」
死ぬなんて簡単に言わないで欲しい。
僕は朱莉に死んで欲しくない。
もっともっと朱莉との時間を過ごしたい。
「私の事なんて忘れて今まで通りの日々を送るんだよ・・・・・・」
「そんなこと出来るわけないじゃないか・・・・・・」
朱莉のことを忘れるなんて、僕にはできるはずがない。
朱莉と過ごした日々は、僕にとって全てが大切な思い出になっている。
初めて話した日のこと、朱莉の家で雨宿りをしたこと、二人で花火を見た事。
数え切れないほどの思い出が、僕の中にはある。
そしてそれは全て、朱莉がくれたもの。
そんな大切な思い出を、忘れることなんて出来ない。
「光希くん・・・・・・私ね君に出会えてよかったよ」
「それは僕の方だよ・・・・・・」
僕は君に出会わなければ、ずっと殻にとじこもっていた。
そんな殻を破ってくれたのは、紛れもない君なんだよ。一年生の時は、全てに色がなかった。
何をしていても、楽しいなんて思えなくて全てがどうでもよかった。
朱莉に出会ってからは、僕の世界に色がついたんだ。
いつだって君は僕のそばで好き勝手していて、そんな君と過ごす日々が、僕は楽しいと思えるようになった。
「僕の人生は朱莉が居たから楽しくなったんだよ」
「光希くん、私の事大好きだもんね・・・・・・」
「うん・・・・・・そうだよ。僕は君が大好きだよ・・・・・・」
その時、僕の中で堪えていたものが一気に崩れた気がした。
一つ二つと朱莉の体に、涙がこぼれ落ちる。
「いなくならないで・・・・・・死なないで・・・・・・」
「私も光希くんのこと大好きだよ・・・・・・だから泣かないで・・・・・・」
彼女の手が優しく僕の頭を撫でる。
泣きたいのは僕じゃなくて彼女の方だろう。
そんなことはわかっている。抑えようとしても涙は止まらない。
もしも時間が戻るなら、ずっとこのまま時間が止まるなら、どんなことを願っても、時間は止まらない。
朱莉に残された時間は一秒一秒失われていってる。
どうすればいいんだ。何か出来ることは。
考えたって今の僕にできることは何も無い。
変われることなら変わってあげたい。
僕の寿命を全てあげるから、彼女を生かして欲しい。
誰でもいい、彼女を救ってくれ・・・・・・
「こうき・・・・・・くん? ありがとね・・・・・・」
「やめてよ・・・・・・そんなの最期みたいじゃないか・・・・・・」
こんなところでまだ終わりたくない・・・・・・
僕はまだ朱莉としたいことが沢山あるんだ・・・・・・
だからまだ終わらないでくれ・・・・・・
「あか、り・・・・・・? 朱莉!」
一瞬で頭の中が真っ白になる。嘘だ嘘だ・・・・・・
何度呼んでも反応がない。目を覚ましてくれ。
やめてくれ・・・・・・朱莉を連れていかないで・・・・・・
「嘘だ・・・・・・嘘だ! 」
こんなのなにかの冗談だ。
いつものように僕のことをからかっているんだ。
そんな冗談いいから、いつもみたいに笑ってよ。
そんな僕に神は現実を突きつけてくる。
「っ・・・・・・」
僕の手を握っていた彼女の手から、次第に体温が失われていく。
暖かかった彼女の手が、徐々に冷たくなっていく。
「君は離れて!」
すぐに病室に白衣を着た男性と、看護師の人たちが入ってくる。
そして僕は外へと連れ出させる。
その瞬間、一瞬見えたモニターの心電図は、並行な直線を描いていた。
病室の前で僕は膝から崩れ落ちる。
並行な直線ということは、彼女はもう・・・・・・
夢なんかでも嘘でもない。全てが現実なんだ・・・・・・
「朱莉・・・・・・嘘だと言ってよ・・・・・・いつものように笑って見せてよ・・・・・・」
どんなに嘆いても僕の声は届くはずがない。
僕の目からこぼれる涙が、一つ二つと地面に落ちる。
僕は病室の前で、一人泣き続けた。
その日、朱莉はこの世を去った。
今日も朱莉は学校に来てはいない。
僕は毎日彼女に連絡もしてるし、病院にも行ってる。
だけど、彼女の病気は徐々に悪くなっているとの事だった。
今の僕にできることは彼女の近くにいてあげること。
少しでも彼女に寂しい思いをさせない事だと思う。
どうか彼女の病気が良くなって欲しいと、僕は神に祈りを捧げる。
しかし、そんな僕の願いも無情に、朱莉からの連絡が入る。
『光希くんへ、明日最後の話があるから病院に来て欲しい』
僕はこのメッセージを見て、体が固まる。
──最後の話
すごい嫌な予感がする。
どうしてこんな連絡をしてくるんだ。彼女に返信するのが怖い。
もしかしたら明日で彼女とお別れになるのかもしれない。
いや、そんなはずは無い。こんなことを考えるのはやめよう。
考えたくもない悪い想像が、僕の頭の中を埋め尽くす。僕はベットに入り、無理やり目を瞑る。
結局その日は全く眠れなかった。
次の日、僕は朱莉のいる病院へ行った。
病室のベットに横になる朱莉の姿には、いつもの朱莉の面影は無かった。
「光希くん・・・・・・来てくれたんだ」
「朱莉・・・・・・」
彼女の姿を見るだけで、涙が出そうになる。
「光希くん・・・・・・手握って・・・・・・」
僕は彼女に近づき、彼女の手を握った。
彼女の手に力なんてほとんど入ってなんかいない。
だけど彼女の手の温もりだけはしっかりと伝わってくる。
「私これから死ぬのかな」
「そんな事言わないでよ・・・・・・」
死ぬなんて簡単に言わないで欲しい。
僕は朱莉に死んで欲しくない。
もっともっと朱莉との時間を過ごしたい。
「私の事なんて忘れて今まで通りの日々を送るんだよ・・・・・・」
「そんなこと出来るわけないじゃないか・・・・・・」
朱莉のことを忘れるなんて、僕にはできるはずがない。
朱莉と過ごした日々は、僕にとって全てが大切な思い出になっている。
初めて話した日のこと、朱莉の家で雨宿りをしたこと、二人で花火を見た事。
数え切れないほどの思い出が、僕の中にはある。
そしてそれは全て、朱莉がくれたもの。
そんな大切な思い出を、忘れることなんて出来ない。
「光希くん・・・・・・私ね君に出会えてよかったよ」
「それは僕の方だよ・・・・・・」
僕は君に出会わなければ、ずっと殻にとじこもっていた。
そんな殻を破ってくれたのは、紛れもない君なんだよ。一年生の時は、全てに色がなかった。
何をしていても、楽しいなんて思えなくて全てがどうでもよかった。
朱莉に出会ってからは、僕の世界に色がついたんだ。
いつだって君は僕のそばで好き勝手していて、そんな君と過ごす日々が、僕は楽しいと思えるようになった。
「僕の人生は朱莉が居たから楽しくなったんだよ」
「光希くん、私の事大好きだもんね・・・・・・」
「うん・・・・・・そうだよ。僕は君が大好きだよ・・・・・・」
その時、僕の中で堪えていたものが一気に崩れた気がした。
一つ二つと朱莉の体に、涙がこぼれ落ちる。
「いなくならないで・・・・・・死なないで・・・・・・」
「私も光希くんのこと大好きだよ・・・・・・だから泣かないで・・・・・・」
彼女の手が優しく僕の頭を撫でる。
泣きたいのは僕じゃなくて彼女の方だろう。
そんなことはわかっている。抑えようとしても涙は止まらない。
もしも時間が戻るなら、ずっとこのまま時間が止まるなら、どんなことを願っても、時間は止まらない。
朱莉に残された時間は一秒一秒失われていってる。
どうすればいいんだ。何か出来ることは。
考えたって今の僕にできることは何も無い。
変われることなら変わってあげたい。
僕の寿命を全てあげるから、彼女を生かして欲しい。
誰でもいい、彼女を救ってくれ・・・・・・
「こうき・・・・・・くん? ありがとね・・・・・・」
「やめてよ・・・・・・そんなの最期みたいじゃないか・・・・・・」
こんなところでまだ終わりたくない・・・・・・
僕はまだ朱莉としたいことが沢山あるんだ・・・・・・
だからまだ終わらないでくれ・・・・・・
「あか、り・・・・・・? 朱莉!」
一瞬で頭の中が真っ白になる。嘘だ嘘だ・・・・・・
何度呼んでも反応がない。目を覚ましてくれ。
やめてくれ・・・・・・朱莉を連れていかないで・・・・・・
「嘘だ・・・・・・嘘だ! 」
こんなのなにかの冗談だ。
いつものように僕のことをからかっているんだ。
そんな冗談いいから、いつもみたいに笑ってよ。
そんな僕に神は現実を突きつけてくる。
「っ・・・・・・」
僕の手を握っていた彼女の手から、次第に体温が失われていく。
暖かかった彼女の手が、徐々に冷たくなっていく。
「君は離れて!」
すぐに病室に白衣を着た男性と、看護師の人たちが入ってくる。
そして僕は外へと連れ出させる。
その瞬間、一瞬見えたモニターの心電図は、並行な直線を描いていた。
病室の前で僕は膝から崩れ落ちる。
並行な直線ということは、彼女はもう・・・・・・
夢なんかでも嘘でもない。全てが現実なんだ・・・・・・
「朱莉・・・・・・嘘だと言ってよ・・・・・・いつものように笑って見せてよ・・・・・・」
どんなに嘆いても僕の声は届くはずがない。
僕の目からこぼれる涙が、一つ二つと地面に落ちる。
僕は病室の前で、一人泣き続けた。
その日、朱莉はこの世を去った。