その後、荷物をまとめ終わる頃……ドタドタと足音が聞こえてくる。
そして、扉がものすごい勢いで開かれる!
「アルス!」
「げげっ!? エミリア!?」
そこには、公爵令嬢のエミリア-ミストルがいた。
父親は国王相談役を務めているほど、由緒正しきお嬢様だ。
普段は淑女の鏡のような女の子だが、今は綺麗な金髪を振り乱している。
と言っても、俺の前ではこっちが普通か……いつもライバル視されてたし。
彼女は水魔法の使い手で、闇の炎を駆使する俺と互角に渡り合える主人公側の魔法使いだった……それと同時に俺の幼馴染ポジションであり、更には主人公側の最難関攻略対象でもある。
「げげとはなんですの!?」
「い、いやぁー君は今日も可愛いうぃねー」
「そんな棒読みでは誤魔化されませんわ」
そう言い、何時ものように俺を睨みつけてくる。
気の強い目が特徴の整った容姿、均整のとれた体型。
赤のドレスを見にまとった姿は、美少女のエミリアによく似合っている。
……可愛いっていうのは本音なんだけどな。
「はは……」
「笑ってごまかされるとでも思ってますの!?」
「あばばばば! わ、わかった! わかったから肩を揺らすな!」
身長差がそんなにないから、目の前でおっぱいがぶるんぶるんしてるんだよ!
俺が戦いのたびに、そこに視線を向けないようにどれだけ頑張ったか!
コホン……ひとまず、それは置いておこう。
「だよなぁ。んで、どうした?」
「どうしたって……追放されるって聞きましたわ」
「ああ、そうだな。そりゃ、あれだけのことをしたなら当然だろ。むしろ、温情があるくらいだし」
「もう! だから、あれほど言いましたのに! どうしてここまで状況を悪化させなくてはいけなかったのです?」
「すまんすまん……だが、仕方がないだろう? 俺は邪神に身体を犯されていた……まあ、言い訳にはならない」
「それは、そうですけど……私はそれでも……」
「エミリアには、苦労をかけたな」
この子には二つのルートがある。
俺の味方になり、闇落ちするルート。
主人公側につき、幼馴染を正すために戦うルートが。
俺は彼女を巻き込みたくなく、今回は無理矢理にあちらのルートに追いやった。
こちらについだ場合、彼女は自分の家族と決別して戦う運命にあったから。
「な、急に何を……」
「いや、本音さ。本当なら、君を巻き込みたくはなかった。それに、君が俺を止めてくれようとしたことはわかっていた……それを受け入れなかったのは俺のエゴだ」
「アルス……だって、貴方は私の幼馴染にしてライバルですもの。私だけ、蚊帳の外は嫌ですわ」
「そういや、ライバルでもあったわな。すまん、あの時の約束は果たせなさそうだ。すぐにでも、ここを出ないといけない」
戦いが終わったあと、エミリアに約束された。
邪神の力がない状態の俺と、真剣勝負をしてくれと。
しかし、事故処理がありそれどころではなかった。
「ちょ、ちょっと待ってますの! 私が話をつけてきますわ!」
「お、おい!? ……相変わらず、人の話を聞かない奴だ」
制止も聞かず、慌てて部屋から去っていった。
思い立ったら、すぐに行動してしまうからなぁ……そして強引でもある。
「ふふ、本当ですね。というか、私には挨拶もなしですしー」
「多分、目に入ってなかったかもな。基本的に、一つのことに集中するタイプだし。さて……今のうちに出て行くとするか」
「……待たなくて良いんですか?」
「ああ、これで良い。せっかく、平和になったのに無駄な争いをすることもない。何より、変な誤解を招くこともある。エミリアも、どうしてそんなに戦いたいんだかわからん」
「いや、アレはそういう感じではないかと思いますが……まあ、良いですかねー」
「ん? どういうことだ?」
「いえいえ、何でもないですよー。ご主人様は、相変わらずだなと思っただけです」
そう言い、なにやら呆れた表情を向けられる……解せぬのだが?
そして、扉がものすごい勢いで開かれる!
「アルス!」
「げげっ!? エミリア!?」
そこには、公爵令嬢のエミリア-ミストルがいた。
父親は国王相談役を務めているほど、由緒正しきお嬢様だ。
普段は淑女の鏡のような女の子だが、今は綺麗な金髪を振り乱している。
と言っても、俺の前ではこっちが普通か……いつもライバル視されてたし。
彼女は水魔法の使い手で、闇の炎を駆使する俺と互角に渡り合える主人公側の魔法使いだった……それと同時に俺の幼馴染ポジションであり、更には主人公側の最難関攻略対象でもある。
「げげとはなんですの!?」
「い、いやぁー君は今日も可愛いうぃねー」
「そんな棒読みでは誤魔化されませんわ」
そう言い、何時ものように俺を睨みつけてくる。
気の強い目が特徴の整った容姿、均整のとれた体型。
赤のドレスを見にまとった姿は、美少女のエミリアによく似合っている。
……可愛いっていうのは本音なんだけどな。
「はは……」
「笑ってごまかされるとでも思ってますの!?」
「あばばばば! わ、わかった! わかったから肩を揺らすな!」
身長差がそんなにないから、目の前でおっぱいがぶるんぶるんしてるんだよ!
俺が戦いのたびに、そこに視線を向けないようにどれだけ頑張ったか!
コホン……ひとまず、それは置いておこう。
「だよなぁ。んで、どうした?」
「どうしたって……追放されるって聞きましたわ」
「ああ、そうだな。そりゃ、あれだけのことをしたなら当然だろ。むしろ、温情があるくらいだし」
「もう! だから、あれほど言いましたのに! どうしてここまで状況を悪化させなくてはいけなかったのです?」
「すまんすまん……だが、仕方がないだろう? 俺は邪神に身体を犯されていた……まあ、言い訳にはならない」
「それは、そうですけど……私はそれでも……」
「エミリアには、苦労をかけたな」
この子には二つのルートがある。
俺の味方になり、闇落ちするルート。
主人公側につき、幼馴染を正すために戦うルートが。
俺は彼女を巻き込みたくなく、今回は無理矢理にあちらのルートに追いやった。
こちらについだ場合、彼女は自分の家族と決別して戦う運命にあったから。
「な、急に何を……」
「いや、本音さ。本当なら、君を巻き込みたくはなかった。それに、君が俺を止めてくれようとしたことはわかっていた……それを受け入れなかったのは俺のエゴだ」
「アルス……だって、貴方は私の幼馴染にしてライバルですもの。私だけ、蚊帳の外は嫌ですわ」
「そういや、ライバルでもあったわな。すまん、あの時の約束は果たせなさそうだ。すぐにでも、ここを出ないといけない」
戦いが終わったあと、エミリアに約束された。
邪神の力がない状態の俺と、真剣勝負をしてくれと。
しかし、事故処理がありそれどころではなかった。
「ちょ、ちょっと待ってますの! 私が話をつけてきますわ!」
「お、おい!? ……相変わらず、人の話を聞かない奴だ」
制止も聞かず、慌てて部屋から去っていった。
思い立ったら、すぐに行動してしまうからなぁ……そして強引でもある。
「ふふ、本当ですね。というか、私には挨拶もなしですしー」
「多分、目に入ってなかったかもな。基本的に、一つのことに集中するタイプだし。さて……今のうちに出て行くとするか」
「……待たなくて良いんですか?」
「ああ、これで良い。せっかく、平和になったのに無駄な争いをすることもない。何より、変な誤解を招くこともある。エミリアも、どうしてそんなに戦いたいんだかわからん」
「いや、アレはそういう感じではないかと思いますが……まあ、良いですかねー」
「ん? どういうことだ?」
「いえいえ、何でもないですよー。ご主人様は、相変わらずだなと思っただけです」
そう言い、なにやら呆れた表情を向けられる……解せぬのだが?