それぞれ解散して、ユキノとアイザックだけを残す。
「んで、早速だが仕事を頼みたい」
「へいっ! なんでも言ってくだせい!」
「お前には、魔獣狩りのリーダーをやってもらう。いわゆる、食料確保の担当だ」
「了解っす! それじゃ、行ってきますぜ!」
走り出そうとするアイザックの肩を掴んで、どうにか押しとどめる。
相変わらず、俺の周りにいる奴は猪突猛進な者が多すぎる。
「待て待て、一人で行く気か?」
「ダメっすか?」
「いや、ダメではないが……そもそも、一人で来たのか?」
「へいっ!」
……相変わらずの体力おばけだな。
それに、やはり強さもあるか。
「……まあ、良いや。んじゃ、適当に頼む」
「では行ってきますぜ! ウォォォォォォ! 兄貴の役に立つんじゃァァァァ!」
そして、風のように去っていく。
何処に行くとも、いつ帰ってくるかも言わずに。
そもそも、あいつには土地勘がないだろうに。
「あちゃー、相変わらずですね。でも、これで助かりましたね?」
「ああ、正直言ってな。ただ、あいつだけで補えるわけはない。改めて、編成隊を組織するべきだろう」
「ですねー。後の問題はなんでしたっけ?」
「色々ありすぎてあれだが……まずは、魔石の確保だ。あとは、住民をここに集めていく」
「ふむふむ、そうなると村を見回りつつも鉱山がある位置を探すってことです?」
「そうなるな。火の魔石を用意しないと俺が死ぬ。俺の魔力も無限じゃないし、何よりそれで1日が終わってしまう……というわけで、面倒だが早速いくか」
そうと決めた俺はユキノとフーコを連れ、都市の外へと出ていくのだった。
◇
まだ昼前だというのに、外は途轍もなく寒い。
外套を着用しているが、それでもまだまだ寒い。
「っ〜、本当なら火の魔石に熱を込めたやつを使いたいが……残りの魔石も少ないから我慢だな」
「ご主人様が作成した熱のこもった魔石は、ほとんど道中の村々に配っちゃいましたし」
「仕方ないだろ。あのままじゃ、寒さで死んでしまう。というか、もっと作っておけば良かった。あっちは寒くなかったからしな」
「それは仕方ないですよ、必要がなかったんですから。それにしても、なんだかんだで優しいですねー」
ここにくる前に、俺は前世の記憶を元に火ではなく熱を込めた魔石を作成した。
それを配ってしまったので、結構まずいことになっている。
王都から大量の魔石は持ってきたとはいえ、この世界にはアイテムボックスはないから限界はある。
「何か、他でも寒さを凌げたりしません?」
「そうなると、建物……そうか、どうせ家を建てるならそうするか」
俺は都市を出る前に、作業をしているドワーフのダインのところに寄っていく。
他の者に聞いた所、建物の修理中という事で中に入る。
「ダイン殿、いるか?」
「これはアルス様。先ほどあったのに、わしに何か用事か?」
「いや、すまん。実は、寒さ対策をしたくてな。今はまだ住民が少ないからどうにかなるが、俺の火魔法にも限界はある。今のうちから、建物の対策を聞いてもらいたい」
「これはワシとしたことが……そうですな、全てを頼りきるなど考えてはいけませんな。そうなると、材料が必要になるかと。そもそも、家を建てるには材料が足りない所でしたわい」
「何か望みの物はあるか?」
「ここは数百年も寒い場所。なので、その土地で育った木は寒さに強いかと。その木材を使って建てれば断熱性の高い家が出来るかと思うかのう」
「そうなると、森に行く必要があるか。どちらにしろ、ダンジョンや鉱山、岩塩などは探さないといけないし」
ダンジョンは突然変異で現れるが、大体が人里を離れた場所に出現する。
魔石を生む鉱山には岩塩もあるので、どちらにしろ見つけなくてはいけない。
「うむ、そうなりますな。ですが、まずは木材を持ってきてくれると助かるわい。そうすれば、死人が減るはず」
「わかった、早急に対策しよう。それまでは、俺の火属性魔法でどうにか凌いでもらうか」
「……貴重な魔法を民に使うことを何も考えずにやる……」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ……木材さえあれば、ワシが責任を持って作ると約束する」
「よし、決まりだ。あと……」
その時、俺は肝心なことを頼むのを忘れていた。
幸い、ドワーフが作った装置のおかげで井戸から水は引ける。
しかし、作ったは良いが腹を壊す者も多かった。
ただ俺が浄化の炎を使ったことで、今後は腹も壊すことはない。
そのお礼に、多少は使っても良いと許可が出た。
「何かありましたかな?」
「頼むっ! お風呂を作ってくれ!」
「お、お風呂? できないこともないが、温める……それはアルス様ができるし、アルス様なら井戸水を使うことに文句も出ないか」
「もちろん迷惑をかけないように最低限にする!」
「わ、わかったわい! だから揺らさんでくれ!」
「恩にきる!」
いやっほー! これで風呂に入れるぜ!
暑いタオルで拭いたり、温めたお湯を被ったりはしてるが……やはり元日本人としてお風呂は入りたい!
当面の目標が決まった俺は、獣人数名とフーコとユキノを連れて都市から出るのだった。
「んで、早速だが仕事を頼みたい」
「へいっ! なんでも言ってくだせい!」
「お前には、魔獣狩りのリーダーをやってもらう。いわゆる、食料確保の担当だ」
「了解っす! それじゃ、行ってきますぜ!」
走り出そうとするアイザックの肩を掴んで、どうにか押しとどめる。
相変わらず、俺の周りにいる奴は猪突猛進な者が多すぎる。
「待て待て、一人で行く気か?」
「ダメっすか?」
「いや、ダメではないが……そもそも、一人で来たのか?」
「へいっ!」
……相変わらずの体力おばけだな。
それに、やはり強さもあるか。
「……まあ、良いや。んじゃ、適当に頼む」
「では行ってきますぜ! ウォォォォォォ! 兄貴の役に立つんじゃァァァァ!」
そして、風のように去っていく。
何処に行くとも、いつ帰ってくるかも言わずに。
そもそも、あいつには土地勘がないだろうに。
「あちゃー、相変わらずですね。でも、これで助かりましたね?」
「ああ、正直言ってな。ただ、あいつだけで補えるわけはない。改めて、編成隊を組織するべきだろう」
「ですねー。後の問題はなんでしたっけ?」
「色々ありすぎてあれだが……まずは、魔石の確保だ。あとは、住民をここに集めていく」
「ふむふむ、そうなると村を見回りつつも鉱山がある位置を探すってことです?」
「そうなるな。火の魔石を用意しないと俺が死ぬ。俺の魔力も無限じゃないし、何よりそれで1日が終わってしまう……というわけで、面倒だが早速いくか」
そうと決めた俺はユキノとフーコを連れ、都市の外へと出ていくのだった。
◇
まだ昼前だというのに、外は途轍もなく寒い。
外套を着用しているが、それでもまだまだ寒い。
「っ〜、本当なら火の魔石に熱を込めたやつを使いたいが……残りの魔石も少ないから我慢だな」
「ご主人様が作成した熱のこもった魔石は、ほとんど道中の村々に配っちゃいましたし」
「仕方ないだろ。あのままじゃ、寒さで死んでしまう。というか、もっと作っておけば良かった。あっちは寒くなかったからしな」
「それは仕方ないですよ、必要がなかったんですから。それにしても、なんだかんだで優しいですねー」
ここにくる前に、俺は前世の記憶を元に火ではなく熱を込めた魔石を作成した。
それを配ってしまったので、結構まずいことになっている。
王都から大量の魔石は持ってきたとはいえ、この世界にはアイテムボックスはないから限界はある。
「何か、他でも寒さを凌げたりしません?」
「そうなると、建物……そうか、どうせ家を建てるならそうするか」
俺は都市を出る前に、作業をしているドワーフのダインのところに寄っていく。
他の者に聞いた所、建物の修理中という事で中に入る。
「ダイン殿、いるか?」
「これはアルス様。先ほどあったのに、わしに何か用事か?」
「いや、すまん。実は、寒さ対策をしたくてな。今はまだ住民が少ないからどうにかなるが、俺の火魔法にも限界はある。今のうちから、建物の対策を聞いてもらいたい」
「これはワシとしたことが……そうですな、全てを頼りきるなど考えてはいけませんな。そうなると、材料が必要になるかと。そもそも、家を建てるには材料が足りない所でしたわい」
「何か望みの物はあるか?」
「ここは数百年も寒い場所。なので、その土地で育った木は寒さに強いかと。その木材を使って建てれば断熱性の高い家が出来るかと思うかのう」
「そうなると、森に行く必要があるか。どちらにしろ、ダンジョンや鉱山、岩塩などは探さないといけないし」
ダンジョンは突然変異で現れるが、大体が人里を離れた場所に出現する。
魔石を生む鉱山には岩塩もあるので、どちらにしろ見つけなくてはいけない。
「うむ、そうなりますな。ですが、まずは木材を持ってきてくれると助かるわい。そうすれば、死人が減るはず」
「わかった、早急に対策しよう。それまでは、俺の火属性魔法でどうにか凌いでもらうか」
「……貴重な魔法を民に使うことを何も考えずにやる……」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ……木材さえあれば、ワシが責任を持って作ると約束する」
「よし、決まりだ。あと……」
その時、俺は肝心なことを頼むのを忘れていた。
幸い、ドワーフが作った装置のおかげで井戸から水は引ける。
しかし、作ったは良いが腹を壊す者も多かった。
ただ俺が浄化の炎を使ったことで、今後は腹も壊すことはない。
そのお礼に、多少は使っても良いと許可が出た。
「何かありましたかな?」
「頼むっ! お風呂を作ってくれ!」
「お、お風呂? できないこともないが、温める……それはアルス様ができるし、アルス様なら井戸水を使うことに文句も出ないか」
「もちろん迷惑をかけないように最低限にする!」
「わ、わかったわい! だから揺らさんでくれ!」
「恩にきる!」
いやっほー! これで風呂に入れるぜ!
暑いタオルで拭いたり、温めたお湯を被ったりはしてるが……やはり元日本人としてお風呂は入りたい!
当面の目標が決まった俺は、獣人数名とフーコとユキノを連れて都市から出るのだった。