私は過去、性別というものが嫌いだった。今では無い。過去だ。

かっこいいものが好きだ。可愛いものが好きだ。

私は女という性別を持って産まれた。もちろん、女の子として育てられた。ピンクのものが多かったし、可愛くてキラキラしたものが多かった。だけど、私は、ピンクが嫌いだった。今でもそれだけは変わらなかった。だからといって、青が好きだという訳では無い。でも、青色を使うことが多かったと思う。

そんな私が好きなのは、モノクロだった。黒も白も私を裏切らない。かっこよくいてくれるし、可愛くいてくれる。だから、モノクロが好きだ。

いつからか、ちゃんと、自分というものを考えるようになった。こうして、小説を書くようになったからだと思う。

どうして私は女なのか。男に生まれたかった?いや、そういう訳では無い。私は、女でいたいし、男になりたい。そんな矛盾に気づいた。

アパレルショップに行った時、親は当たり前のように、レディースの服のコーナーに行く。そこに私はついて行く。だけど、そんな時はいつも、メンズコーナーに目がいく。

女の子の服は可愛い。オシャレだし、着こなせたら嬉しい。でも、男の子の服も着てみたかった。たまに、兄のお下がりを貰えた時は嬉しかった。

そのせいか、私が着るレディースの服は、可愛い系より、かっこよかったり、大人っぽかったりする。可愛いよりはかっこいいを求めていた。たまに、メンズの服を見に行く。かっこいいなあと思いながら、サイズが合わないことで、着れないなあとも思う。

ある時、スポーツショップに行った。部活で使うシューズが必要になったからだ。シューズコーナーに行くと、レディース、メンズと並んでいる中に、『ユニセックス』と書かれているものを発見した。初めは意味が分からなかったけど、家に帰って調べてみると、『男女兼用』という意味であることを知った。その時の私の興奮が分かるだろうか。私が肯定された気分が。それだけ、私にとって『ユニセックス』という言葉は、嬉しいものだった。それから、自分を受け入れることが出来た。性別なんて関係ない。私が私でいたいから。

だけど、親には、自分自身を明かすことが出来なかった。今でも明かしていない。察しているかもしれないが、私の口からは話したことがない。ユニセックスの服が欲しいとも言えなかった。まだ、高校生である私は、服を買えるほどのお金を持っていない。それに、服は親が買ってくれるから、勝手に買ったら問い詰められそうで、買う勇気はなかった。

春から大学生になる。親元を離れて、一人暮らしをする。そしたら、自分が着てみたい服を買おうと思っている。

親に、言いたい。その気持ちは今でもある。自分で言う勇気は無いけど、このことが、この文章で伝わればいいなと思いながら、このコンテストに参加することにしました。