1時間程経った頃だろうか。次は学校の近くの最寄り駅に着くというアナウンスが流れた。

 手に持っている読みかけの本に栞を挟み,スクールバッグにしまい,座席を立って電車から降りる。




 改札を抜けると,目の前では桜が舞っていた。その様子があまりにも綺麗で,しばらく眺めていたら――――――

 ―――フワッ。

 風が吹くと同時に,地面に落ちた花びらも再び宙に舞う。

「……綺麗。」

 私はその光景に,目が離せなくなっていた。