本当の「私」でいられる、その日まで。

 ふと耳に入ってきた声。声がした方を見ると,こちらを見る3人の女子生徒。ネクタイの色から見るに,私と同じ1年生であろう。

「分かる!顔もイケメンだし,身長も高いし!」

「っていうか,隣にいる子ってさ……もしかして彼女かな?」

「なんか,不釣り合いだよね(笑)」

「確かに(笑)」

 このような事を言われることは何度かあった。

「玲紬さんと関わるな」「一緒にいると目障り」なんて言われることもあった。

 自分でもなんとなく,『私と玲紬さんじゃ釣り合わない』と感じてはいた。

 玲紬さんは昔からモテていた。クラスメイトや部員の口から,よく玲紬さんの名前が出ていた。